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沈思黙読会⑧から

2024年6月8日(土曜日)、神保町expressionで行われた沈思黙読会、第8回目に参加された方々のご感想を公開します!(順不同です) 

●Aさん
2回目の参加でした。
初回は「公共空間の中で読書する自分」をかなり意識しましたが、今回は読書に集中している周りの皆さんの存在が励みになり、リラックスして読書できました。
コロナ禍では日常が非日常になってしまい、物語が読めなくなってしまいました。前回、スマホの電源を切った環境で、長時間読書に没頭することができ、「私の人生に読書の時間が戻ってきた!」という喜びを味わいました。
長編小説と短編小説集と評論。3冊を選んで参加しました。
自分の読書のバイオリズムにはフィクション期とノンフィクション期があり、今日はフィクション期だったようで、小説を集中して読むことができた代わりに評論の方は目が滑ってしまった。
松田青子さんの小説を読むのは初めてでしたが、短編集に収録されていた「桑原さんの赤色」に出会えてよかったです。
倉本かおりさんが「時限式で発動する闇のシスターフッド」と解説されていましたが、まさに!でした。お2人の方が紹介されていた「台湾漫遊鉄道のふたり」、とても心惹かれたので読んでみようと思います。

●川延富士子さん
午前中2時間、重信房子「パレスチナ解放闘争史」を読む。
知らない人物名・知らない地名・知らない歴史ばかりでしたが、読みやすい文章で何もわからない私にも少しだが理解できた。ただ内容も量もとても多くこの本を読み終えるまでにどれくらい時間がかかるのか全くわからない。
午後1時間半ヴィクトール・フランクルの思想に触れた。
「夜と霧」という著作を探したが、5軒訪ねた書店ではいずれも在庫がなかった。この本を知るきっかけになった「NHKこころの時代」のテキストを購入して、午前に読んだ。「パレスチナ解放闘争史」が、印象深く、なかなかヴィクトール・フランクルの思想が頭に入らなかった。パレスチナとイスラエル(ユダヤ)なぜ?人はなぜ理解し合えないのか? 解決のつかない問題を私のように知識のない人間にも考え続けるということはできる。

●AWさん
初めて&ようやく参加できてよかったです。
2時間以上読書に集中するのは本当に久しぶりのことでした。計3時間20分でしょうか。
時計も全くみずにすごく集中して読み、むしろ時間を足りなく感じるほどでした。
全員が同じ本を読む読書会と異なり、内容というより、むしろどう本に、読むことに向き合うかを語るのは新しい体験でした。普段は往復30~40分程度の通勤列車でよむばかりですが、自分でも意識的に沈思黙読タイムをつくりたいと思いました。

●Bさん
前回参加した時の体験に圧倒されながらの2回目の参加です。
今回も場の力に支えされながら集中して読書ができて嬉しかったです。

●Coさん
貴重な体験でした。集中することと、周りの空気感の味わいが独特だったと思います。参加者の皆さんの本の組みたてがステキでした。神保町に来ること自体がイベントなので、おすすめ「ランチ以外」のマップ充実を期待します。

●富田さん
3度目の参加です。
今回が一番読むことに集中できた気がします。
小説(夏目漱石「三四郎」)と戯曲(シェイクスピア「マクベス」)を持ってきて、午前中に小説から読み始めました。私は他の著者の小説だとあまり絵が浮かぶことはないのですが、漱石は情景が浮かぶなあ、と思いながら自分の中でぐっと読み進められた感覚がありました。
そして午後に戯曲を読み始めたものの、苦戦しました。これは戯曲を読み慣れていないこともあるし、登場人物が多く、更に西洋の名前で混乱しました。
どちらも50ページ読むのにどのくらいかかるか測ってみたところ、ほとんど同じ時間だったのが驚きです。
読みにくいと感じた戯曲の方が時間がかかったかと思ったのですが…時間が長く感じる方が集中してたくさん読める、というわけでもないですね。読書は時間が伸縮するという感覚も味わえて面白かったです。
斎藤さんのお話はもちろん、皆さんと読書空間を共有するという贅沢さに浸りました。ありがとうございました。

●Cさん
2回目の参加となった今回の沈思黙読会は、前回の充実度を超えるものとなりました。
日頃から本に触れ、本中心に生活が回っているように思っていましたが、「自分のために読む」行為がいかに大切か、目的や締切のない読書時間を作ることがいかに日々のモチベーションにつながるかを実感しました。普段、「心を解放する」目的で読書を試みると、エッセイや短編集などさらりと読めるものに手が伸び、その時間は確かに疲れが癒やされ、ふっと軽くなる気がします。ただしその安らぎはなかなか長続きせず、「リセットしたい」ループから抜け出せずにいるように思います。
この会ではあえて長編小説など、集中力を求められる本を選び、じっくりと向き合うことで、普段追い求めながらもなかなか辿り着くことのできない場所へ連れて行ってもらえると感じています。他の皆さまと同じ空間で読むことができることで、物語に圧倒されても孤独感を感じずにいられることが、この場所と時間を特別なものにしてくれるのだと思います。
一回の読書会が実生活を長く充実させてくれると、今回も感じました。ありがとうございました。


いつも素敵なリアクション・ペーパーを書いていただき、ありがとうございます。丁寧に書きたいからと、沈思黙読会は終了後ではなく、後日メールで送ってくださる方もいて、ほんとうにうれしい限りです。

川延さんが、ヴィクトール・フランクル「夜と霧」を探しして、書店を5軒回ったが、どこも在庫がなかったと書かれています。今回の沈思黙読会終了後、小社・営業Y(前職は書店員)が、昔は大きな書店であれば、どこも「夜と霧」は常備してあって、着実に売れる本だったんだけどね、と話していました。この「2000年にある大手新聞がおこなった、21世紀に残したい世界の名著というアンケートで、海外の名著ベスト3」となった名訳(旧訳も新訳も)で知られる「夜と霧」もリアル書店ではなかなか入手できなってしまいました。「NHKこころの時代」で取り上げられたというのに。

※トップの画像は、ヴィクトール・フランクル「夜と霧」旧版のカバーより。1943年5月、ワルシャワのゲットーにおける蜂起が鎮圧されたのち、降伏する女性と子供。

沈思黙読会では、純粋に読書を楽しむということど同時に、読むという行為の奥深さを追求していきたいと思っています。
次回の沈思黙読会(第9回)は、7月20日(土)、詳細は
こちら
基本的に月1で、神保町EXPRESSIONで行われます。
学割(U30)有。オンライン配信はありません。



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