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デジタル化が進める多様化世界

 現在、全世界で進むデジタル化、年間12億台のモバイル端末が出荷され、80億回線ものモバイル回線が世界中の人々を繋ぎます。一方、時代とともに世界でも進む多様化ですが、この多様化とデジタル化は親密な関係があります。今回はそんな話です。

「ブランド」への意識の変化

 最近、ユニクロのバッグが真似られたため、訴えられているのがSHEINです。
 SHEINはSNSの情報をAIで分析する会社から発足したアパレル業ですが、あるバッグがユニクロの商品に酷似している。という話です。

 SHEINは冒頭にも書いた通りAIでSNS分析をする会社です。SNSでの流行りを掴むため、SNSの写真などの分析を日々行っています。当然ユニクロなどのバッグが流行りであれば、それらの情報が引っ掛かります。SHEIN自体は工場など持っておらず、デジタル上で繋がる中国国内の服飾工場などに流行りの商品を作るよう、依頼が飛んでいきます。

 その商品が店頭で気軽に見かける商品であれば、服飾工場が参考にして作ってしまうこともあるでしょう。中国国内の中小工場が請け負っている背景を考えても、同じものを作れば良いのね。という認識で生産をしてしまいます。

 今回の著作権侵害問題はそういう背景から起こっているのだと思いますが、問題はそのSHEINで売られている格安バックで良い。という人が昔に比べ増えていることです。

 その昔であれば、ユニクロなどの、信頼できる「ブランド」を意識し持つことが重要でした。
 その様な意識が最近変わってきていると感じています。

 どうして変わってきたのでしょうか?

デジタルによる情報過多時代

 背景には、「様々な情報が溢れる現在」という状況があるのではないかと感じます。

 情報もそれほどない昔であれば、信頼できるブランドの製品を手に入れることで安心して最新の流行りを手に入れる事ができる時代でした。
 商品ラインナップも多い訳ではなく、ブランドがどの方向性を決め、社会全体を形成する時代です。

 流行りはメーカーやメディアが作り出す時代、当然そのものをほしい場合は自分に合うブランドを選ぶ。ということをしていました。

 しかしながら、現在は全世界がデジタルで繋がり、自分の手の中に収まるデジタル端末でありとあらゆる情報が取れる様になりました。またメーカー側も溢れる情報から人々が欲しい。と思うものを割り出し準備することができる時代です。

 ものづくりの考え方が大きく変わったと言っても過言ではありません。

 様々な情報に触れることができると「自分のための情報のみを掴み、自分に合ったものを手に入れること」ができる時代になるのです。

 つまりは、デジタル化が進むと多様化が進む。という図式が出来上がるのです。

モノづくりの多様化も進む

 この多様化は利用者だけではありません。提供者、つまりメーカー側も昔に比べモノづくりのハードルが下がりました。デジタルや機械化が進み、気軽にものが作れる時代へと変化したのです。

 今まであれば、マスに売れるものを大量生産することが当たり前でした。
 大量に作ることで製造コストを下げ、低価格で多くの人に商品を届けることが可能でした。しかしながら、モノづくりのハードルも下がったことで、多様化したユーザーのニーズを叶えるモノづくり。ができるようになったのです。

 まさに技術の進歩により、多様化したニーズに合った商品を多用に用意できる様になりました。
 この流れは今後さらに進むデジタル化に合わせ、さらに進むのではないかと感じます。

ブランドの危機感

 今まではブランドが良いものを作り購入者がそのブランドを信じ購入を行う時代でした。今現在は、信頼よりも「いかに自分に合ったものを手に入れるか」ということにシフトしている時代です。

 ブランドからすると柔軟に様々なバリエーションを作ってくるモノづくりができる工場が乱立し、多様化したユーザーのニーズを叶える製品が多数出てくることで、従来の商圏が侵されてしまう。という危機感を感じているのではないでしょうか?
 ただ、いくら多様化した社会だからと言って、消費者の全てがノンブランドへ流れるとも考えにくいです。

 良いモノづくりを続けて堅実に提供していくブランドと大量な消費者の誰かに刺さるノンブランドに大きく二分される時代に突入している様にも感じます。

 より広いマス戦略と狭い領域を狙うミクロ戦略、ミクロ戦略が少しずつ浸透してきているためにマス戦略側に影響が大きいのでは?とも感じてしまいますが、一気に置き換わることもないでしょう。

 高級ブランドなどは何十年もかけて作り上げたブランドを武器にこの多様化する現在でも不動の地位を確立しています。

 多様化が進む中でも、良いものは良いと判断されるものが選ばれる。ということでもあります。

 デジタル化され、変化した社会を意識しつつも「お客様に自分たちは何を提供しているのか」を今一度見つめ直し、そのお客様に届くものを提供していくこともメーカーの役割なのかもしれません。

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