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「組織人」から「組織個人」の時代へ

「従業員は組織の歯車」と言われた時代
私が会社に入社した30年前だと当たり前の時代でした。

どこの組織で誰の下で仕事をしていたのか?
そんな事を聞かれることが当たり前の時代、まさに個人ではなく組織の一員、つまり「組織人」の時代だったんだと思います。

この「組織人」の時代が今「新型コロナウイルス」の影響で一気に個人に変化しようとしていると感じます。

そもそも「組織人」は日本独特?

皆同じ時間に出勤し、同じ場所で組織活動を行う「組織人」

日本では組織の一員は組織の指示通りの仕事を行う。組織の中で周囲の方と相互協力しながら組織全体の成果を上げる。組織単位で評価され、各組織人に成果が分配される。組織のために仕事しているため、タレント化より組織内の協調を重視する。

全ての基準が組織であって個人ではないと長年感じていました。

私自身の会社におけるプロフィールが少し特殊だからこそ感じていた事柄かもしれません。

私は富士通という皆様もご存じの企業にもう30年も勤めてます。
ただ、普通の企業人と違い、これまで15部門38部署で仕事をしてきました。

仕事の内容もソフトハード開発から事業企画、サービス企画から販売推進、営業支援まで、入社当時6万人を超える企業の中を色々回ってきました。
最初は若干流されて取り組んでいるところもありましたが、途中から「新しい事を色々出来て面白い。企業の中の歯車ではない働き方にやりがいがある」という感覚になり、今はエバンジェリストという企業内タレントの様な事をしています。

正直私のような感じで仕事をする「組織の中の人」って特殊、と10年くらい前までは感じていました。

感じた理由の中の一つはやはり組織内の組織としての組織行動基準です。

・「組織人」として組織のために目立たず周りと合わせる。
・「組織人」としてその他の組織人と常にオフィス内で膝詰めで協調する。
・「組織人」として自分のスキルに関係なく、存在する仕事をこなす。

周囲とあわせ、周囲を汲み取り、周囲と連帯で仕事をする。
これが企業の組織に属する人、「組織人」として当たり前のことでした。

この働き方について、大きく疑問を持つきっかけになったのが2012年から初めた自主海外視察です。ちょうど10年前から、中国の深圳や香港、バンコク、クアラルンプールなど成長している国々を回りさまざなな現場を見てきました。

そこでの印象は「日本と違い、特にオフィスワーカーと言われる方々は個人を尊重し活躍をしている。個人を尊重できないのは、工場勤務の工員の方々」というものでした。

日本はそもそもオフィス勤務の方々も含め、工場のラインから派生した働き方をしていました。管理監督者の元、作業員が一体となって、ものを作りあげる。与えられた仕事を与えられた通りに熟す。自分で考えるよりも依頼される働き方が一般的。

海外では、真逆の、「自分が何ができて、その能力を活かしてスキルを身につける、キャリアを形成する、将来を考える」という感覚でした。

日本って独特だな。と改めて思った瞬間でした。

働き方改革とパンデミック

パンデミックが働く現場を大きく変えた

働き方改革、2016年に国が方針を上げ、実現に向け家事を切りました。メディアの注目はあくまでも「残業時間削減」でしたが、本来は、効率化を進め、国際競争力をつけ、人手不足の解消をしよう。というものだったと思います。

現在、既に6年が経過しましたが、3年前の2019年時点で取り組んでいる企業は1000名の従業員を抱える企業のうち8割と多いものの、現場の働き方が効率化したか。というと6割近くの方が何も変わっていない。と感じられている状況でした。

しかし、今回のパンデミック時に大きな変化が生まれたと考えています。
きっかけは「会社に出社」できなくなったことです。

日本の働き方としてのメインストリームである「組織人」としての働き方が難しくなりました。

・「組織人」として組織のために目立たず周りと合わせる。
・「組織人」としてその他の組織人と常にオフィス内で膝詰めで協調する。
・「組織人」として自分のスキルに関係なく、存在する仕事をこなす。
これらの状況3点が、出社制限が要求される現状に合わないことが原因です。

各「組織人」が在宅勤務をすると感じられるのは「目立たない仕事の仕方では各個人の現状が把握できない」「膝詰めで会話できなくなり協調できない」「存在する仕事の分担がリモートでは行いにくい」という現実です。

パンデミックによって、まさに強制的に今までの働き方を変えなければならない現状が生まれてきました。

この現状において注目されるのが「組織個人」だと思います。
今、「組織のネコ」という働き方が注目されています。今までの日本の組織では「組織のイヌ」的な働き方が当たり前でした。
ですが、日本社会が大きく変化する中で、各企業ともジョブ型制度など、どちらかというと海外の働き方に近い働き方への転身を目指しています。

そのような状況の中、今後は「組織のネコ」が重宝される時代なのでは?と感じます。

「組織人」から「組織個人」へ

自分は何が出来るのか?が求められる時代へ

「終身雇用の終焉」「ジョブ型雇用」「テレワーク」・・・
今、働く現場が大きく変わる中で注目されるのは「組織のあり方」ではなく「各個人のあり方」では無いかと感じています。「あなたは何ができる人ですか?」と聞かれた際に具体的に答えられる人がその人の得意分野で会社という大きな組織を導いていく。そのような「組織個人」が今後は求められる時代に変わるのでは無いかと思います。

このような現状の中で、個人のパフォーマンスをフルに発揮できる制度や環境を用意した企業が今後伸びていくのだと思いますし、そういう会社にこそ、良い人材が集まるのだと思います。

逆に、今仕事をしている人は「組織人」から「組織個人」への転身が求められる時代でもあります。「自分の能力はなにか?」「何ができる人なのか?」という自問自答を繰り返しつつ、自立的なリカレントを進める時代なのかも知れません。

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