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DXの誤解 〜本当に全てデジタル化しないといけないの?〜

DX、難しく考えすぎる人が多いように感じています。

「DXっていう位だから全部デジタルにしないといけない」
「デジタルを駆使し、全てデジタル化された世界観、デストピアがDXなの?」

DXが進む世界の事例から読み解くと、DXの根幹は「人」であることが見えてきます。

今回の話はデジタルだけがDXじゃない。という話です。
DXが進むと仕事がなくなるのか?というところにも注目です。

現在存在するDXの多くは「デジタル接点」

「DXが進むとデジタルに仕事を奪われる。」
AIやデジタルが進化する中で良く言われ、新聞や雑誌で特集されることもありました。

本当にデジタルが人の仕事を奪うのでしょうか?

身近なDX事例として分かりやすいのは、UberEatsや出前館など、フードデリバリーサービスです。

各デリバリーサービスは、お客様やお店の従業員との接点をデジタル化(スマホアプリ化)しています。

このDXにより、
「電話で注文を受ける仕事」
「紙に注文を書き出す仕事」
「伝票をお客様に渡す仕事」
「現金でお金を受け取る仕事」
という点ではデジタルに仕事を奪われています。

しかしながらフードデリバリーが登場したことで「配達員」という新しい仕事が生まれています。

「配達専門の人」という仕事が新たに登場した

つまり、ミクロな仕事はデジタル化によりなくなっていますが、マクロ的には新たに「人の仕事」が生まれているのです。

実際にデリバリーに従事している人の数を考えると、膨大な雇用が生まれています。

また、フードデリバリーというDXは、「お客様、従業員との接点としてのデジタル」以外は、「調理人」「配達員」全てに置いて「人」、つまり「デジタル」ではない存在が支えています。

「単なるIT活用」とは異なり、DXはデジタルが発展することで、人の活躍シーンが増えているとも言えます。

実際、今まで利用しなかった店ですら、「配達してもらえるなら利用する」なんて人も増えたのではないでしょうか?店にとっても一つの新たな機会になっています。

一方で、ビデオオンデマンドや音楽配信など、DXによって奪われている仕事もあります。「パッケージの製造」「配送」「レンタル・販売店」などです。

オンデマンド配信によりレンタル業などの仕事は減少しているが・・・

これらはデジタルが仕事を奪ったことになるのでは?
と指摘されれば「その通り」かもしれません。

ただ、「人々はパッケージをお店で購入(借り)たかったのに、デジタルによって配信に切り替わり、利用者(購入者)が困っている」という状況では“ない“ところがポイントです。

人々が本来しかたっか事を、「実現していた人」の仕事は奪われていないのです。

映画であれば製作関係者の仕事は奪われていないわけですし、むしろオンデマンドで配信先や視聴者が増え、制作機会が増える。なんてことにも繋がります。デジタルを駆使することで新たな撮影手法が登場したりもしています。

世界が便利になると必要な仕事も変わる

ビデオオンデマンドや音楽配信などはデジタルが変えてしまった。というよりは「人々のニーズにより変化した形」ではないでしょうか?
一方でフードデリバリーも「人々のニーズにより変化した形」です。

奪う、奪わないというよりは「人々(利用者)のニーズを満たす新しい仕組みができたとき、古いものが変化した形になり、以前の仕事形態自体が残らなかった」という事になります。

人々(利用者)は不便でも使い続ける。という人は少ないのです。便利なものが出てきたらそちらに移り変わってしまいます。

ただ不便なものが全くなくなるわけではなく「少なくなる」のです。

レコードやカセットが今ブームになって復活しています。
一方、その業界が過去の様に潤沢に人が必要なビジネスか。と言われるとそうではありません。完全に消える訳ではないですが、その仕事に関わる人口。という点では大きく減ってしまいます。

「便利」に合わせ、人のニーズは変化します。その変化に合わせ仕事も変わる。その影響によるものです。

つまり、「デジタルに仕事を奪われた」、というよりは「世の中の流れに合わせニーズが変わった」という捉え方になります。
奪われる。というよりは「利用者」のニーズが変化し仕事が変わった、という捉え方の方が正しいのです。

変化しない仕事とは何か?

ここまで新たな仕事や変化した現場のお話をしてきましたが、大事なことは人々(受益者)にとって必要な仕事をしているかどうかです。

映画を作る人、食事をつくる人。が人々(受益者)にとって必要なものです。
一方でレンタル店舗などは人々(受益者)が映画を見るのに必ず必要ではなかったものです。

ロボット化により調理や映画も自動化するのではないか。ということが言われることもありますが、嗜好的なものはなかなか人からの置き換えが進まない領域だと思います。

これから「仕事」については、この「人々(受益者)にとって必要」「人にとって代替えが難しいもの」の2点がデジタル化が進んでも。もっと先の便利な時代になっても「必要なもの」であり、「置き換えられない領域」になると思います。

人々のニーズに合わせ、世界はどんどん変わります。
全く変化しない世界はないのです。

「明日には自分の仕事がなくなる。」ではなく、「受益者にとって、自分という「人」が行う今の仕事は必要なものであるかどうか。」という事を常に意識しながら進めることで、デジタルが浸透する世界でも「求められる人」になれるのではないでしょうか?

変化の激しい世界によりジョブ型人事制度が注目される

今、世の中ではジョブ型人事制度を導入する企業が増えつつあります。

今までは、組織の中で細かな仕事を分担しながらこなしていく協働が当たり前でした。この協働の際に行われてきた細かな仕事はデジタルに置き換えが可能です。

これからは
「自分が何をする人」
で、
「人々(受益者)にどの様な価値を与えられるのか」

そのような事が求められる時代へのシフトすると考えられます。

自分の能力は人々(受益者)にどんな価値が与えられるのか

そのためには、
「デジタルを理解する」
「デジタルとうまく付き合う」
「任せられるところはデジタルに任せる」
ことが大切です。

以外の自分の仕事は「自分のコア能力」を確立して伸ばしていくことが求められます。

便利なデジタルの裏側には必ず「人」がいます。
今まで以上に「人」が必要になることもあります。

「全てをデジタル化しなければならない」ではなく、「デジタルを活かして「人」の能力を最大化する」


仕事をする一人ひとりが「自分を見つめ直す時代」に変わってきています。

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