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「便利」が進めるDX

 「デジタルって難しい」人たちが口々にこうおっしゃられますが、本当に難しいのでしょうか?というのが今回のお話です。

アナログよりデジタルは難しい。は本当?

 よくデジタル化にネガディブな方々とお話しをすると「デジタルは難しくてよくわからない」とおっしゃります。

「紙でやった方がわかりやすい。デジタルに置き換えた方が面倒になる」

 そのようにおっしゃる方々も多くおられます。
 なぜこのような反応が起こるのでしょうか?

 背景は利用者にとって利便性が上がるDXではなく、単なるIT導入になってしまっているからではないでしょうか?

紙の仕組みをデジタル化したい?

 その昔、タブレット活用などの商談支援を行っていました。導入を検討しているお客様からよく言われたのが「紙のフォーマットを変えずに電子化したい」です。
 背景には「現場の人は紙のフォーマットに慣れている。その慣れた状態をタブレットなどでも使うことでハードルを下げたい」ということがありました。

 ただ、フォーマットを揃える。ということは紙にペンで書き出していたことをそのままタブレットにキーボード入力で入力させることになります。
 文字はスラスラかけてもキーボードなどの入力は苦手。という人も多いです。
 つまり、アナログをデジタルに置き換えることで「キーボード入力などが難しくなるだけ」に見えるのです。

 導入検討する人たちから見ると「紙に書かれた文字を自分たちがデジタルへ入力する手間が減る」ということで効率化が進められますが、システム管理者が行なっていた手間を現場に移しただけともいえます。

 今の仕組みをそのままデジタルへ移行しても全体的に見ると良くならないだけではなく、導入する現場が非効率になることもあるのです。

IT化だけでDXは進まない

 ITの導入、つまりアナログで行なっていたことをデジタルに「そのまま」置き換えることで二度手間を無くすなどの「カイゼン」は行えます。
 「改善ができれば良いのではないか?」と言われることもありますが、せっかくデジタル化するのに、改善レベルで終わらせるのはもったいないです。

 例えば、皆様の私生活を「デジタル」が大幅に暮らしやすくしていませんか?
 それは「スマートフォン」です。

 「スマートフォン、便利ですよね。」という話をして「不便」と答える人が少ないでしょうし、今や多くの人が毎日使うツールになっています。
 このスマートフォンのどこが「便利」なのでしょうか?

 例えば、地図。紙の地図からスマホのデジタルマップへ圧倒的に利用者がシフトしました。
 なぜデジタルマップ利用が増えたのかを考えると「便利だから」という回答が返ってきます。
 紙と一体何が違うのでしょうか?

 「検索ができる」
 「お店の内容や評価が見れる」 
 「道案内をしてくれる」
 「電車などの時刻も確認できる」

 様々な便利な点が出てきます。
 例えば、この中で紙の地図に一番近いのが検索です。
 索引をもとに該当ページの示された座標を見る。ことをデジタルに置き換えました。ただ索引できる情報量は紙時代にはありえないレベルですので、そのままの置き換えというわけではありませんが、機能的な意味でいうと「カイゼン」に近いのかもしれません

 一方で、「お店の内容や評価」「道案内」「電車の時刻確認」などは、元々紙の地図にはないものでした。

 お店の内容や確認は各店舗ごとのWebページや評価サイト、道案内はカーナビアプリ、電車の時刻は紙の時刻表や交通機関のWebサイトです。
 これらは他の便利なものをデジタルで繋ぐことで利用者のやりたいことを実現しています。単にアナログをデジタルに置き換える「カイゼン」ではなく、「ありたい姿」を実現するDXができているのです。

利用者がいかに便利になるかがDXの鍵

 単に紙の地図をデジタルに置き換えだけではIT導入となんら変わりません。
 その昔のカーナビなども道案内機能などはなく、現在の場所を地図で表示することしかできませんしたし周囲の店などの情報もほぼありませんでした。
 ここまでで終わると「IT化」であり、利用者からすると「便利」ではありません。
 カーナビなどが便利になって来たのは「ルート検索」などが搭載されてからです。

 ただ、今となってはデジタルマップが統合的に繋がることでその昔のカーナビを大幅に超えるような便利なものになっています。
 なぜ、そんな進化をしたのか?というと「その方が便利だから」です。

 単なるシステム導入ではなく、「利用者が便利だから」使われるのです。

 「デジタルは難しい」と言われている人の大半が「IT化」で終わっているイメージを持っているようにも感じます。
 「スマホのデジタルマップ並に簡単に色々できますよ」ということになれば大きくイメージが変わるでしょう。

 DXを進めるためには、便利になる姿を示し、実際に便利にする必要があります。

 アメリカのデジタル企業、そして中国のデジタル企業は次々とこの「便利」を提供しています。「便利」を現場へうまく取り込みデジタル化を進めることで日本のDXが進むのではないでしょうか?

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