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「偶発的」コミュニケーションのススメ

前回はテレワーク時のコミュニケーション手段としての「チャット」について書きました。今回はそのチャットではカバーできないコミュニケーションのお話しです。

「必然的」コミュニケーションはチャットで可能

 オフィスなどで直接顔を合わせなくても、チャットなら人と人とのコミュニケーションが取れます。というお話しを前回は書きました。

「松本さんに会話をしたい」

 というアクションがきっかけで始まるコミュニケーション手段としては最適なのですが、何も気にしていなかったにも関わらずコミュニケーションができていた。という「偶発的」なものはこの手段では生まれません。

 「誰かがぼそっと言ったことに反応をする」、特にオフィスであれば、そういう体験ができるにも関わらずテレワーク中や移動中はそのようなコミュニケーションが起きにくい。そう感じている人も多いはずです。

 実際、テレワークは疎外感を感じる。という人が多数いるその根本原因は、この「偶発的」なコミュニケーション不足に起因するのではないでしょうか?

オフィスにおける「偶発的」コミュニケーション

 オフィス環境においては偶発的なコミュニケーションが起きやすい環境でした。
 空間的に近距離内に人が集まっていることで何かしらの情報発信が起きればコミュニケーションにつながります。

 ぼそっと口にした一言に誰かが反応して会話に繋がる。なんていうことが多々あったはずです。特に「雑談」はコミュニケーションを取るには最適な手段でした。

 「雑談」については「無駄口」と言われることも多いものですが、今回のパンデミックによるテレワークシフトでほとんどの人が「あの雑談が円滑なコミュニケーションを行うために必要不可欠だった」と感じているでしょう。

 人はオフィスにいても業務だけに集中している時間。というのは長くは続かないでしょう。人によっては、その息継ぎにタバコを吸いにいき。そちらの方が長い。なんて人も多くおられました。「タバコ部屋だと重要な会話ができる」なんてことをおっしゃる人も多くおられましたが、その会話、雑談から始まっています。

 また、少しお茶でも飲んで休憩、なんて瞬間も真面目な会話をしているよりは雑談を行なっていることが多かったのではないでしょうか?

 テレワークが始まりこの「雑談」が一気に失われました。

 例えば、Web会議をコミュニケーションの手段とおっしゃる方もおられますが、決められたアジェンダで決められたテーマでの会話しかできず、かつ複数人が同時に話すことが難しい環境となると「雑談」どころか「発言」も難しい。なんて方も多いのではないでしょうか。

 つまり、必然的コミュニケーションでは、このオフィスでのコミュニケーションが不足するのです。

ではどうやってデジタルで実現するのか?

私自身は2つの方法をとっています。

 一つは雑談用のチャットを立ち上げています。

 このチャットスレッドでは好きなタイミングで好きな話をぼそっと呟いても良く、仕事の話以外を積極的にするようにしてもらっています。
 「会社のリソースなのだから仕事の話以外してはいけない」なんてことをおっしゃるかたもおられますが、オフィスにいる際にも仕事以外の会話をしています。手段が変わっただけでオフラインはOKでオンラインはNGという理由はないと思ってますので、積極的に活用するようにしています。

 不足した偶発的コミュニケーションが実現できれば、「疎外感」「距離感」に対する対策が可能です。
 もし、会社のルール上雑談利用禁止。となっているようなところがあるとしたら「オフィス内の雑談の話をしてみてください。」結果、「全ての私語厳禁」という会社は仕事自体し辛いようにも感じますし、そういう判断をされる企業・団体は少ないのでは?と思います。
 (人の人命に関わるような現場で業務中集中しなければならない最中などは除きます。)

 もう一つの手段はメタオフィスです。

 メタバース上のオフィス。というよりは人との距離感が認識でき、ぼそっと呟いたり話かけたりできる環境がメタオフィスです。
 私の場合は、oviceを使っています。

富士通で利用しているメタオフィス「ovice」

 人がいるの、いないの。が目視で確認でき、近づいてちょっと話しかけてみる。なんてことが可能ですからたまたま見つけた人に少し話しかけてみる。なんてこともできるわけです。

 リアルなオフィスにおいても「あ、あの人に何か話したかったんだ」と思えばよって言って話かけますよね。

 あの環境をデジタル上で実現している訳です。

コミュニケーション種を分類して不足を補う

 コミュニケーション、という抽象的な言い方をしてしまうと、「会議」「ディスカッション」「雑談」「相談」「通知」「情報交換」「情報共有」など、様々な質のコミュニケーションがあるにも関わらず「まるっと」考えてしまい、結果「不足するコミュニケーション」が出てきてしまいます。

 リアルオフィスでどのようなコミュニケーションをとっていたか、細分化を行い、それぞれの方法にあった手段を選ぶことがオンライン時代には必要不可欠です。

 「テレワークを開始したらコミュニケーション不足に陥った」
 なんてことが現場から出てきた時には「必然的」「偶発的」の違いややっていることをデジタル化してみた際どうなるか。などを検討しながら不足部分をカバーしてみてください。

 また、ツールにこだわるよりはそのツール上で実現するコミュニケーションをルールなどを使い実現することも必要です。

 各職場ごとにやり方は違いますので、それぞれの職場に合った手段を検討してみてください。

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