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現場目線が必要

よくDXや働き方改革でお話をしている「現場目線」、なぜ現場目線が重要なのでしょうか?今回はそんなお話です。

会社の仕組み導入に現場目線が必要なのか?

 働き方改革や、DXにおいても、「休暇取得のルール変更に現場目線が必要なのか?」「基幹システムを導入するのに現場目線が必要なのか?」などと問いかけられる機会があります。

 このような問いかけが出た場合、もうすでに手段の導入がある程度決まっているケースが多いのですが、一方問いかけの背景として「現場目線は持っていない」ということになります。

 こういうケースは実はよくあるのですが、大きな問題を抱えることになることが多いです。

 一体どんな問題につながるのでしょうか?

仕組みを使ってくれない。なぜなのか?

 仕組み(手段)を導入してから数年経ってこんな相談を頂くことが多くあります。

 「現場で使える手段を入れたにも関わらず活用者が3割を超えない。どうすれば利用者を増加させることができるのか?」

 この3割という数字は相談を頂いた際によく聞く割合なのですが、なぜ、7割の人は使ってくれないのでしょうか?
 それは、仕組み(手段)そのものを現場が本当にやりたい「コト」の目的に合っていない場合が多いからではないでしょうか?

 「使い方がわかっていないのではないか?」「現場のリテラシーが低いから」「デジタル自体に関心がないから」など、いろいろなことを考える方々もおられますが、では教育をすれば残り7割の方々が使ってくれるか。というとそう簡単には行きません。

 リテラシーをあげても、デジタルに詳しくなっても、仕組みが現場の目的に合っていなければ利用を促進することが難しいのです。

現場の目的は現場にしかわからない

 では現場の目的を想定した仕組みであれば利用促進が進むのか。というとそう簡単でもありません。
 現場ごとに仕事の仕方も違えば、細かなオペレーションが異なります。チェーン店の様に一律のオペレーションをマニュアル化し、その手順が最適に近い状態であれば仕組みを統一化もできますが、一般的な事務職などの職場の場合は、それぞれに異なります。

 つまり、一律に「想定」して手段を導入するだけではうまく行きません。
 まさに現場目線が必要不可欠なのです。

汎用的な手段は基盤、現場ごとにチューニングできる仕組みが理想

 では、各現場ごとに専門的なものを作り込み個別導入すれば解決するのか。というとそう簡単には行きません。

 現場最適はできても全体最適はできません。

 ですから、現場は現場でチューニングできる仕組みが理想ですが、全社を俯瞰しそれらの仕組みを横断するインフラも必要になるのです。

 このインフラはデジタルであればITと呼ばれる手段ですし、現場最適をデジタルで行うことはDXとなります。

 つまり、DXを実行しながら、IT基盤に繋げてデータ横断や全社活用などを進める必要があるのです。

 現場ごとのチューニングなら今時はノーコード、ローコードなどのツールが存在します。プログラムなどを書かなくても簡単に現場にあった仕組みを作り出すことができます。ただ、目的が明確でなければ、そもそも何を作って良いのかもわからないため、現場ごとにDX人材と呼ばれる「現場のありたい姿に対し、どのようにデジタルで解決するのか?」という目線を持った人が必要になってきているのです。

 一方で、その現場ごとの手段を束ねるのが今までITと言われれきた情報基盤です。

 情報基盤と現場のDX、それぞれの役割を認識したうえで、デジタルでの活用を進めることで全社的なデジタル化を推進することができます。

 どちらか片方だけではうまく行きません。

 それは、業務を行う現場、経営を行う現場、お客様の現場、それぞれにありたい姿を明確化しなければ、何をすべきかが曖昧で、目的も達成できなくなってしまうからです。

 IT部門だけでデジタル化、現場部門だけでデジタル化、ではなく、全体的な変革を見ながら、それぞれが横連携をしながらDXを実現していくことが今求められています。

 また、一気に全てを計画して進めることは難しくなります。最適化がしやすい現場ごとに小さいことから徐々にデジタル化を推進しつつ、データをどの様に活用するのかなど、アジャイル型でのデジタル推進が求められています。

 DXとは、試行錯誤しながらも成功へ導くための道筋を探るしか手がありません。

 手段を入れればDXが実現できる。そんなマジックアイテムは存在しないのです。

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