【雑感】2020年J2リーグ 第16節 対ジュビロ磐田~違った感情の悔しさ~

東京ヴェルディ 2-2 ジュビロ磐田

 ヤマハスタジアム・・・ヴェルディに関わるすべての人たちにとっての因縁の地である。18年J1昇格PO決定戦で敗れ、昇格をあと一歩で逃してから1年半。磐田が翌年に降格したことで早い再戦の機会となった。内容も結果も兼ね備えて雪辱を果たしたい一戦を振り返ってみたい。

スタメン

 前節・京都戦に快勝したヴェルディ、クレビーニョと優平がスタメン復帰、磐田から移籍してきた大久保が前線の中央に入り14141でスタート。井出がベンチへ戻ってきた。高橋祥平は磐田からのレンタル移籍のため出場不可となっている。
 対する磐田はここ最近と同様の3バックを採用して13421システム。前節・群馬戦から大胆に8枚入れ替えて臨む。

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狙い通りの先制点

 試合立ち上がりからヴェルディが果敢に攻撃を仕掛けて先制点を奪いに行く姿勢を見せる。この日のビルドアップは磐田が1541で守ることもあり最終ラインを2CBのみに残してその前に藤田譲瑠チマを置き、サイドにクレビーニョと福村を置き、1列前に佐藤優平と森田晃樹に大久保がボールを受けに下がってくる。
 磐田は前線からマンツーマン気味にプレッシングをかけて、ジョエルには山田が、大久保に大武がマークにつくという徹底ぶりである。フロントボランチの優平と晃樹には山本康1枚のみになるため大久保がポストプレーでボールを繋ぐとここで2対1を作れる。前線も小池、井上潮音対山本義、伊藤と2対2の状況であり、特に小池は対面するのが本職ではない伊藤という事もあって個的優位になっていた。
 縦パスが大久保へ入り、優平へ繋ぐと右SBクレビーニョがタイミングよく攻撃参加して小池と上手い連携から右サイド中心にシュートチャンスを作っていく場面が目立った。

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 先制点も時間の問題だった。8分、自陣からのビルドアップを繋ぎ、中央で優平がボールを持つと、攻撃参加するクレビーニョへパス。クレビーニョから強いパスを小池が上手いトラップでボールを貰うと、ニア上へ強烈なシュート叩き込み、ヴェルディが先制する。

 開始8分までに3回ものチャンスを作った右サイド小池が見事に先制点を挙げる。

攻勢を弱めた磐田の修正

 しかし、思わぬ形で同点に追いつかれてしまう。11分、自陣からビルドアップを試みようとした際にGKマテウスがボールコントロールを誤り、ルキアンにボール奪取されると藤川へ繋がれ、左サイドから中へ切れ込んだルリーニャが落ち着いてゴールへ流し込みあっさりと同点となる。

 磐田の選手たちを上手く剥がし、ボールを前進させてチャンスを作り、勝ち越しを狙うヴェルディであったが、徐々に磐田がリトリートして5-4ブロックを形成して中盤4枚も横幅をコンパクトにすることで大久保、優平、晃樹が自由にボールを握れなくなり、藤川を左サイドへ一時的に回してクレビーニョを封じることでゴールから遠ざかせることに成功した。

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 このまま同点で前半を終えるかと思った44分だった。ピッチ中央でボールを受けたルキアンがドリブルで仕掛けていきヴェルディ守備陣を1枚2枚と交わして最後はマテウスを交わしながらループシュート、クレビーニョが懸命なカバーリングで帰陣するも追いつかず、ゴールイン。個の力でねじ伏せるかのようなパワーを見せつけ、1-2で磐田リードで前半を折り返す。

困ったときの・・・

 後半になって磐田の5-4ブロックはさらに縦を圧縮したような感じにも見えた。2CBの近藤と平も敵陣へ入るくらいに全体を押し込み、右に左に揺さぶるヴェルディと耐える磐田という構図が出来上がった。サイドで起点を作り、磐田守備陣の背後を取るように斜めのボールを入れてチャンスを見出そうとすると、59分、潮音からのパスをPA内で受けた小池が折り返す。大久保が待ち構えていたが磐田守備がクリアしてシュートならず。大久保はこの直後に井出と交代する。投入された井出は左フロントボランチへ入り、晃樹が前線の中央でフリーマンになる。

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 井出は選手同士の距離感を適切に保つ立ち位置を取り、左ワイド潮音、晃樹らとワンタッチパス、ワンツーと変化をつけてここまで前向きに構えて守備をしていることが多い磐田守備陣にダメージを与えていく。71分、CB平が持ち運び、高い位置まで上がると潮音、平、井出の連携から潮音がPA内へ切れ込み左足でシュートを放つ。押し込みながらもシュートが足りなかった状況で流れを変える。

 この流れで獲得したCK、優平が蹴ったボールにニアへ飛び込んだ近藤が合わせてヴェルディが同点に追いついた。崩すに崩し切れなかった磐田守備をセットプレーから見事に仕留めて、試合を再び振出しへ戻した。

 同点になり、磐田が守備ラインを上げて全体的に前へ出てきたことでスペースが生まれ俄然ヴェルディペースになる。76分、CKからの二次攻撃で福村のクロスをファーの右大外でフリーになる小池がシュートを放つも八田がセーブ。その後も晃樹、井出らの連携からに縦へ速い攻撃を仕掛けるヴェルディ、磐田は大森、中野らを入れて活性化を図り右サイドからのクロスボール中心で攻撃するが、両者ともに決勝点は奪えずにこのまま2-2でタイムアップ。先制点を取り、逆転されるも同点に追いつき試合の主導権を握っていたヴェルディにとっては勝ち点2を取りこぼす悔しい引き分けとなった。

まとめ

 立ち上がりから果敢に攻撃を仕掛け見事に先制点を取った。勿体無いミスでの失点から逆転を許すもベンチワーク、選手たちの攻撃的な姿勢は変わらず同点では無く勝ち切ろうとする気持ちが見えた良い一戦であった。攻撃は勿論ながらボールを失った後もすぐに相手ボールホルダーへプレスをかけて奪い返す、長い距離を走る帰陣も多くの枚数が戻ってきての守備と献身的な姿勢が見えただけに引き分けがとても悔しく感じてしまった。全く歯が立たずに敗戦したJ1昇格PO決定戦の時とは違いポジティブな悔しさであった。
 久しぶりにスタメン起用されたクレビーニョ。持ち味である攻撃面での迫力を発揮して確りと1アシストと結果を出した。守備でもルキアンやルリーニャと競る場面がありファイト見せるプレーであったと思う。
 相変わらずの連戦が続き、選手たちも疲労からくるコンディション不良という問題が出てくるだろうが、代わりに出てきた選手たちの頑張りがチームの底上げに繋がっていくだろう。