【雑感】2021年J2リーグ 第33節 対ファジアーノ岡山~共感できないサッカー観~

東京ヴェルディ 1-2 ファジアーノ岡山

 相性なのだろう、お互いに対戦時にホームではなかなか勝てない。今回も終わってみたらそういう結末になった。相性もあるだろうが、90分間見ると明らかにこのチームの弱いなと思ってしまうことばかりがピッチに現れていた。振り返ってみるが、良い点を見つけることに苦労するくらいの試合だった。

スタメン

 前節山口に2-1で逆転勝利したヴェルディ。前節後半から左SBに投入され存在感を示した山本理仁が起用。また、トップには戸島が移籍後初スタメンを飾る。
 対する岡山は前節琉球に1-1の引き分け。リーグ2位の失点の少なさで固い守備を誇るも得点力に苦しみ6試合勝ちなし。FWデュークはW杯予選オーストラリア代表で不在。この日は前節から宮崎と山本の2名が入れ替わり臨む。

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前半

 開始早々から勢いよくプレスをかけてきた岡山。2DH喜山とパウリーニョが縦関係になり、2トップ+3枚で高い位置からプレスかける。パウリーニョがやや後ろで刈る役割に見えた。ボール奪取すると2列目の選手たちがそのまま上がりシュートまで運ぶ。岡山の素早いプレーに引っ張られてボールが行ったり来たりする立ち上がりの展開だった。

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 ようやく試合が落ち着き始めてヴェルディがボールを握りビルドアップ時にIH石浦大雅が下りてきたらそこに徳元がつき、大外の深澤大輝にスペースを作る。サイドにスペースを作ることで前線で張る小池が斜めに裏抜けを狙う攻撃をする。

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 また、岡山は自陣に押し込まれるとリトリートを敷くが、ライン間が空いてしまい、ヴェルディがこのスペースを突くようにサイドから組み立ててスペース見つけて横パス入れる。19分に左から理仁が中へ入れて大雅が落として梶川がミドルシュートを放つ。チャンスらしいチャンスは前半はこれだけであっただろう。

 一方で、ボール非保持時に1442になるヴェルディ。これまでとあまり変わらずにプレス強度低く、ボールホルダーへの寄せも甘くその状況に改善は見られない。よって、岡山はサイドで起点を作り楽々クロスを上げたり、崩してカットインして侵入する場面が目立つ。

 岡山にとって試合の流れを掴むことは容易であり、その流れを渡さずに先制点を挙げる。35分に右サイド持ち上がると河野のクロスからルーズボールとなり、PA内でボール拾った石毛が巧みな個人技で梶川を交わして叩きつけるようにシュートを決めて岡山が先制する。

 直後、またしても攻撃する時間が長くCKを獲得した岡山。井上の強烈ボレーを柴崎がファインセーブを魅せてヴェルディは追加点は割らさないが劣勢のまま1点ビハインドで前半を折り返す。両ワイドの小池と杉本竜士は仕掛ける場面がほとんどなく、守備に追われることも多く消えている時間が長かった。スタメン起用された戸島も中盤省略に近いサッカーなった弊害で孤立することが多かった。

後半

 後半からヴェルディは大輝に変えて森田晃樹を投入。そのまま右SBに入るもボール保持したらDHへ移行して3-2の形を取りビルドアップ。山本理仁が同じ動き出来るだろうからメンバーそのままで良いのではと思うが大輝がCBとしてカウントされてないのだろう。また、前半から優平が下りてきて3枚を形成していたのは一体何だったんだと首をかしげてしまう。
 晃樹がDHに入って3-2を作るが状況に応じてDHに入る選手が左SB理仁だったり、梶川が下りてきて入りその際は晃樹がCB化やIH化しており配置だけ決めて人は誰が入ってもOKという風に見えた。

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 ただ、ビルドアップの出口をしっかりと2枚確保してボール前進させたい狙いがあったが後半開始からプレス強度を再び高めた岡山に苦労して、ボールの出し入れをして崩しているように見えてほとんど前進させることが出来ずに苦し紛れのロングボールで相手にボールを渡していた。

 岡山ボールになった際に前線から戸島がプレスをかけていくも、小池や大雅、優平がそれに連動することが無く、戸島だけが空回りしているかのようでチームとしての約束事が特に無いことがピッチ上から伝わってきてしまった。

 後半も10分程度経過して、岡山がプレス強度を抑え始めたことでヴェルディがボールを持て始めた。ここで3バックにンドカ・若狭・理仁、DH晃樹と優平の2枚がほぼ固定される。中央を経由する機会が増えて行き、これでようやくボールと人が動き始めて連動性が出てきて攻撃のリズムが生まれた。

 すると、60分、理仁が素早いリスタートから若狭へ繋ぐ。若狭からの縦パスを大雅が落として走りこんだ晃樹へ。晃樹のシュートが相手DFにあたりボールは戸島の目の前へ転がり込む。これを戸島が決めてヴェルディが同点に追いつく。攻撃面でポストプレーや高さを活かしたプレーといった見どころは少なかったが守備面でのプレッシングをかけた頑張りが報われる嬉しい移籍後初ゴールとなった。

 同点に追いつき、ボールを動かすテンポが上がりさらにリズムを作っていくヴェルディ。そんななか、64分に一瞬のスキを突かれる。中央でパウリーニョが鋭い縦パスを通すと、背後を取った上門が若狭との競争に勝ち、最後はGK柴崎の上を狙い豪快に決めきり岡山が勝ち越した。

 またも追いかける展開になったヴェルディ。混戦のなかから大雅がシュートが放つも梅田の顔面ブロックでゴールを奪えず、70分過ぎには3枚替えをする。小池を中へ配置して新井と山下の両翼が仕掛けていく。特に新井はカットインからのシュート、縦へ仕掛けてのクロスとキレのある動きを魅せて見せ場を作っていく。

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 一方の岡山は濱田を投入して5バック化で守備を固めて逃げ切りに入る。ヴェルディは84分に、ンドカに変えて福村を投入して、新潟戦に続き、優平がCBに回る。ビハインドにも関わらず空中戦がチーム1強い選手を前線に上げずにピッチから退けて配置をズラすだけの交代を行なう。

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 特に何かが起きることもなく敗戦。攻守において再現性の高いプレーがほとんどなく即興性のプレー中心のチームにあって、単調さばかりでつまらさと不満の残る90分が終わった。

まとめ

 前節山口に勝ったものの内容として相変わらずの酷さであった。今節も内容は依然として悪く改善は全く見られず順当に敗戦を喫した。おそらく、日頃の練習強度がとても低いことだろう。特に守備面での脆さは深刻でこれに残り9試合も付き合わなければいけないのは相当な覚悟が必要である。
 個の力で優れるンドカとの競り合い避けるように対戦相手は露骨に若狭を狙う。弱者との勝負をするだけあり、シュートを放たれることが多くどれだけ失点に絡むのか、なぜフルタイム出場させているのかと呆れてしまうばかりだ。対するンドカは新潟戦に続きなぜか途中交代を命じられる。シュートを打ち、PA内で勝負出来るタイプではない大雅と晃樹、レフティの福村と理仁と被るキャラの選手たちをピッチに残しており、どうも堀監督の哲学には共感することが出来ない。組織的なプレーが皆無であり、結果も出ていないことを監督や選手は認識しているのかとても疑問に思うし、これが続くようならば今年なのか来年なのか近い将来への不安しか残らない。早く新たな指揮官招聘を望むばかりだ。