【雑感】2020年J2リーグ 第42節 対水戸ホーリーホック~どんな明日が待っているのだろうか~

東京ヴェルディ 0-1 水戸ホーリーホック

突如として明るみになった経営問題。"消化試合”とは思えない異様な雰囲気に包まれたなかでの試合で選手たちの奮起を期待したが、この状態を示すかのように力なく完封負け。どんな攻撃から得点を奪おうとしていたか試合を振り返りながら考えてみたい。

スタメン

 6試合勝ち無しのヴェルディ、引き続き馬場晴也が3戦連続でCBに入る。左SBには山本理仁が起用され、中盤は藤田譲瑠チマ、佐藤優平、井出のトリオが久しぶり揃い踏み。前線には小池、森田晃樹、井上潮音の3トップとなる。この日をもって現役引退となる近藤はベンチスタート。
  対する水戸はJ2最多得点を誇るもここ2試合は無得点が続く。前節琉球戦からはメンバー7名入れ替えて1442システムで臨む。

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前半

 ヴェルディはボール保持時に理仁が偽SB化して1325へ可変する。左サイド理仁、井出、潮音が上手くローテーションしながら攻撃を伺う。水戸は1442で守りジョエルに対してはDHが縦関係になってマークをする。中盤が1DHのようになるため空いたスペースで井出や優平がビルドアップの出口になる場面が見られた。

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 この日、ヴェルディは右サイドから何度か再現性ある攻撃が見られた。小池が大外に張り対面する外山を引っ張り出しSBCBの距離を開かせてそのスペースに優平がインナーラップからPA内へ入っていきチャンスメイクする。決定機も作ったもののフィニッシュの精度に欠き、得点を奪えない。

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 一方の水戸は、攻撃参加したSBとSHが幅を取り、2DH+2CFが中央レーンを埋める1442のオーソドックスな攻撃をみせる。サイドから崩して中央で仕留める狙いがあった。

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 上記のような攻撃の形があったが、両者ともに自陣PA近くでのパスミスが目立ち、高い位置でボール奪取してシュートへ持ち込む場面が相次いだ。言わゆる消化試合からか軽率なミスが目立つ試合であった。

 ヴェルディの右サイドの攻撃に対して手数を焼いた水戸であったが、修正を図る。CB細川が横スライドで小池へ対応、SB外山は縦スライドでヴェルディへ圧をかけて攻撃を沈静化していく。水戸最終ラインは3枚になりヴェルディ3トップと数的同数からピンチを招く場面もあったが、早い帰陣から守備陣形を整えて決定機を与えなかった。

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後半

 ヴェルディは、山下を右ワイドに投入して裏抜けの動きを入れて得点を目指す。しかし、水戸がさらに攻勢を強めていき、積極果敢にミドルシュートを放っていく。

 自らのミスがきっかけで試合が動く。51分マテウスからジョエル、右サイドに開いた晴也がパスカットされて持ち運ばれてシュートを打たれる。ポスト直撃もそのあと押し込まれて水戸に先制点を許す。

 左SBに奈良輪を入れて理仁を右フロントボランチへ回す。右・山下、左・奈良輪とスプリント力ある選手を置いてスピードを活かして深い位置まで侵入して、水戸の最終ラインと中盤を間延びさせてバイタルエリアを使う狙いがあった。

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 80分すぎには、現役引退を表明した近藤が最後のピッチに立ちキャプテンマークを巻く。 

 山下、佐藤優平、森田晃樹、さらに終盤に投入された大久保が決定的なチャンスを迎えるもシュートは枠を捉えられず空しくもタイムアップの笛がなった。

まとめ

 積極性、大胆さで相手に劣る今季を象徴するような試合内容で7試合勝ち無しで今季を終えた。勝ち無し負け無しが極端な1年間であったのもチーム全体の完成度が未熟がゆえに勢いに乗ったら止められないが、調子を落とすと浮上のきっかけをつかむまでに時間がかかってしまった。
 この試合を見ていて何度もカウンターからチャンスがあったが”ストライカー”が居ないため明確なターゲットマン不在で誰に合わせたら良いのかと考えてしまいプレーが遅くなってしまったように見受けられた。
 この1年間戦って浮き彫りになった課題、停滞感、先が見えない不安とこれほどネガティブな感情を抱きながら今季が幕を閉じるなんて想像すらしていなかった。