【雑感】2020年J2リーグ 第20節 対レノファ山口~痛すぎる今季初の連敗~

東京ヴェルディ 1-2 レノファ山口

対戦相手、試合展開、時期と今季初の連敗を喫したタイミングが悪すぎるの一言。対戦時にいずれも最下位相手だったゆえに確りと勝ち点を挙げなければいけないなかで、停滞した攻撃陣。折角のPKのチャンスも生かせずに自滅。試合を振り返りながらその原因を考えてみたい。

スタメン

 前節・群馬戦に手痛い逆転負けを喫したヴェルディ。CBに近藤、フロントボランチに井出、右ワイドに山下と3枚を入れ替えて臨む。スタートはいつも通りに14141システムとなる。
 対する山口は7戦未勝利と苦しい状況である。前節・水戸戦から3枚入れ替える。システムは後半から採用していた4バックで臨む。高井は18年に半年だけ所属した古巣との一戦になった。

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中央がダメなら外へ

 ヴェルディはボール保持時に福村が高い位置を取るようにして13151へ可変する。これに対して山口は14231で守る。藤田譲瑠チマには池上、井出には高、優平にはヘナンと中盤3枚をマンマークする作戦が功を奏した。

 パスの出しどころと受け手として機能していた3枚を封じ込められたことで押し込んでいった時に4-2の山口守備ブロック内には山下、大久保、井上潮音の3枚しかいない状態になった。ショートパスから崩していこうとするヴェルディ攻撃をブロック敷きながらコンパクトな陣形を保つことでスペースを与えずにチャンスを与えない。

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 ビルドアップ時から中央を塞がれ気味になったこともあり、前節のようにハーフスペースから対角へのパスではなくて縦方向のパスで山口最終ラインの背後を狙う場面が多く、特に右ワイドの山下は前半開始早々から抜け出してチャンスメイクやシュートというプレーが目立った。

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 また、前半終了間際に左サイド福村、潮音の連携から大久保が枠を捉えるミドルシュートを放ったくらいしか見せ場がなかった。いつもならば中央、サイドを幅広く使うが同サイドのハーフスペースと大外の狭いエリアでの攻撃へ持ち込まれる前半となった。

ピッチを満遍なく使う攻撃

 山口はボール保持時、両SBが高い位置を取るようにオーバーラップをする。特に左SBに起用された田中パウロは果敢に攻撃参加する場面が目立った。左シャドーの高井との連携で対面する若狭に2対1の状況を作り、数的優位からフィニッシュへ持ち込むこともあった。

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 6分、カウンターからパウロがドリブルで持ち上がりそのままシュートへ。36分には右SB田中陸のクロスにパウロが折り返して小松が決定機を迎えるといったチャンスがあった。

 また、1442で守るヴェルディの前線からのプレッシングにビルドアップが苦労するとみるとGK吉満へ戻す。吉満は正確なキックで中距離のパスを入れて一気に局面を打開することが何回も見られた。

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 ゴールこそ奪えなかったが、ビルドアップやカウンター、サイド攻撃と多様な攻撃を魅せた山口の前半プレーぶりだった。

勝負を分けたマッチアップ

 後半開始から井出に代えて小池を投入して右ワイドへ起用する。山下頼みに近い一辺倒になっていた攻撃を左右バランス良く整えたいというヴェルディの狙いがあったのだろうか。また、前半に比べてボール保持時に福村が高い位置を取らず、ジョエルの脇に構えるようにしてパス供給源を中央に絞っていく。


 投入された小池は左SBパウロの背後を取るような動きを何度も見せてる。54分、ボールを持ち運んだ若狭が縦パスを入れると抜け出した小池が右サイドからクロス。PA内へ走り込んできた潮音が左足で合わせるもGK吉満がしっかりキャッチ。先制点を奪えない。

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 一方の山口も負けじと左サイドからの攻撃を仕掛ける。SBパウロは守備時に帰陣する小池とのマッチアップに勝ち、何度も左サイドからチャンスを演出する。

 先制点を挙げたのは山口だった。ヴェルディのプレッシングにGK吉満までバックパスが戻る。吉満はダイレクトでパウロへ繋ぐとこのまま持ち上がり池上とのワンツーから左サイドを上がりクロスを入れる。PA内で外で余っていた浮田にボールが渡ると落ち着いて左足でシュートを放ちゴールを決める。
 前半から見せていたGK吉満のビルドアップと後半開始からの小池とのマッチアップを制したパウロが実を結ぶ。

 続けざまに得点が生まれる。66分、左サイドからの山口FK。パウロのクロスにボールを収めたのは、またしても浮田。反転しながら前を向くと振り向き様にシュートを放ち、そのままゴールイン。山口がリードを2点とする。

 2点ビハインドのヴェルディは山本理仁、森田晃樹、松橋優安、クレビーニョと立て続けに入れて人と配置を替える。リベロに入った理仁は福村と横並びのようになり、山口最終ラインの背後を狙うような浮き球パスを入れる。晃樹と優安はアカデミー時代から連携の良さを見せて中央突破を仕掛け、クレビーニョは右SBの位置から突進力を活かした攻撃参加を魅せる。

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 81分、理仁の浮き球のパスに左サイド山下が抜け出してダイレクトでクロスを入れる。ファーから詰めた小池が流し込み1点を返した。

 その後も攻め続け、晃樹と優安のワンツーからPA内でハンド誘発してPKを獲得する。キッカーはクレビーニョ。願っても無い同点のチャンスであったが、放ったシュートはGK吉満にキャッチされて絶好機を逃す。試合終了間際には潮音がこの日2枚目のイエローカードを提示されて退場するなど結果も内容も悪い試合で今季初の連敗となった。

まとめ

 前節・群馬戦からの悪い流れがそのままピッチに表れてしまったかのような試合になった。ここ数試合は相手チームの守備もヴェルディを研究したかのようにマンツーマンや中央を固めるなどしてきて苦戦を強いられてきた。そのなかでの数少ない流れの中からのチャンスやセットプレーを活かせないと得点が上積み出来ず、勝ち点を積み重ねられないだろう。原点に返り、相手を見ながら自分たちの立ち位置を意識することを思い出してもらいたい。
 期待の大久保もシュート場面では存在感を示すものの、オフザボールでは精彩を欠く。下がったあとのメンバーたちの方が攻撃が活性化されるという皮肉な状況でもある。この日は佐藤優平のプレーにも大事な場面での雑さ、ミスが目立った。シーズン折り返しまであと1試合、上位陣との勝ち点差が離れる一方であり大久保と佐藤優平の活躍が浮上には必要不可欠である。