【雑感】2023年J2リーグ 第22節 対モンテディオ山形~雪辱を晴らす貪欲さ~

東京ヴェルディ 2-0 モンテディオ山形

 攻守の切り替え速く、集中して粘り強いプレーで2点奪い、前回対戦のリベンジを果たした。相手の立ち位置をよくみて最後まで主導権を離さず快勝した試合を振り返りたい。

スタメン

 前節・群馬と2-2引き分けてホームでは2か月白星無しのヴェルディ。ただアウェイでは5連勝中と好調である。宮原と齋藤がスタメン復帰をする。
 一方の山形は前節・徳島と1-1引き分け。こちらはホーム5連勝中でありチアゴアウベスは6戦連発と絶好調だ。この日は川井が出場停止でボランチの藤田がSB起用される。前線には藤本が復帰し、古巣対戦の南が腕章を巻く。

前半

 アウェイで強いヴェルディとホームで強い山形のほこたて対決。山形はボール非保持に藤本とトップ下の國分が横並びになり1442で構えてからプレスをかける。國分はアンカーの森田晃樹をマークして、藤本+ボールサイドのSHイサカもしくはチアゴが2CBへプレスをかける。SBにはSBが1列2列と大胆に縦スライドして対応とする構図を開始早々に見せる。前線から圧をかける守り方をして嵌れば良いものの上手く回避され、SH北島がフリーになる場面がいきなり見られた。

 ここをすぐさまテコ入れするようにSB藤田の縦スライドでは無くて小西が横スライドで北島へマークへ行くもそうすると、中央で南1枚に対してヴェルディが稲見、齋藤と2枚が居てスペースで上手くボールを貰うことが出来ていた。

 自陣から敵陣へボールが渡り、スペースがあるとすぐさまヴェルディは仕掛けて行き、早いタイミングでアタッキングサードへ侵入していく。また、ボールを失ってもすぐにプレスバックや後方からのプレッシングでボールカットしてネガトラ、ポジトラも冴えており強度の高いプレーで良い入りが出来ていた。ボールを繋ぐと前節・群馬戦同様に左へ山田が流れてくる傾向が多く、北島との連携からサイド攻撃を仕掛ける。

 一方の山形はボール保持時は右SB藤田が1列2列と上がり中へ絞ったり外で構えたりと流動的な立ち振る舞いをして前節・群馬の岡本のような感じであった。最終ラインを3バックへ可変してビルドアップを試みるも西村が序盤からパスミスを連発し相手へボールを渡す危険な場面が続く。すると6分、西村のパスをカットしたヴェルディは左へ開いた山田へ繋ぎ余裕を持ってクロスを上げると最後はファーで待ち構える齋藤が頭で合わせて勢いそのままに先制点を挙げる。

 そのあとも3バックで守る山形に対してヴェルディは2トップ+4MFの6枚が敵陣へ入ってハイプレスを仕掛ける。最終ラインの谷口栄斗も続いてスライド対応するなどマンツーマン守備を披露する。人数をかけて強度高いプレスを行なうことで相手にパスコースを制限させて後ろの選手がボールカットするもしくはパスがズレて回収と良い具合に守備が機能する。

 ヴェルディのプレスに苦しむ山形は足元でパスを繋ぐところで野田が浮き球パスを使いバイロンの裏へ下りてくるトップ下の國分へ通すことが何度か見られた。ここがビルドアップの出口となり敵陣へ入りフィニッシュまでと行きたいところであったが宮原、山越らが身体を張った守備を見せてそうはさせなかった。時間が経過するなかで晃樹がプレスに行かず、國分をマークすることで沈静化を図っていく。

 何度か山形がチャンスクリエイトするが前半はヴェルディの攻撃が圧倒するものであった。ボール奪取位置が比較的に高かったためビルドアップ、遅攻よりはボールを持つと山形守備陣が整う前に多くの選手がスプリントをしてゴール前へ駆け上がり、バイロンや北島といったSHに限らずSB深澤大輝も何度もPA内へ顔を出し果敢にシュートを放つ。開始早々に得点を挙げたもののそのあとも2点3点とチャンスはあった45分となった。

後半

 お互いにメンバー交代無しで迎えた後半。山形は藤田が上がる可変式のビルドアップから4バックを維持したまま2DHが縦関係になるやり方へ変化をつけてきた。前半同様にプレスをかけて嵌めに行くヴェルディではあるがサイドの幅をつかい広くなった範囲にそう簡単には捕まえることは出来ず山形にボールを握られる時間が出てくる。それでも継続して粘り強くプレスをかけ続けるヴェルディに次第に山形のパスもズレが生まれて乱れ始めるとボールを回収することが増えてくる。

 稲見、宮原らが絡みボール奪取すると前線の選手を走らせる機会が出てくると、右サイドを駆け上がるバイロンがカットインするのではなくてそのまま右足でストレートのシュートを放つこれまでにあまりみられなかった光景を見せたり手数をかけない攻撃で盛り返すと、60分すぎ、左サイドでボール奪取すると山田、齋藤とつながり西村とのかけっこに勝ち抜け出した山田へスルーパスを通し、山田はGK後藤の飛び出しに対しても冷静に左足でファーサイドへ流し込みショートカウンターから追加点を挙げる。山田はストライカーらしいプレーで2試合連続得点とプロのプレー強度にもようやく慣れつつ本領発揮してきている。齋藤と山田がお互いに1得点1アシストの活躍を魅せる。

 65分すぎ、ヴェルディは北島、山田に代えて甲田、河村を投入しそのままのポジションに入れる。前節ではバイロンと交代で甲田が入ったがこの日は両翼での共存となった。一方の山形は藤田、イサカ、國分に代えて山田、田中、横山を投入。対戦すること早10年。山田拓巳に苦労することが何度もあっただけにスタメン起用されなかったことがラッキーだった本音である。

 そのあともヴェルディは齋藤に代えて佐川、山形は小西に代えて岡崎、南に代えて加藤を投入しシステムも1442へ変更するも集中力高く球際の激しいヴェルディがことごとく縦パスを潰してはカウンターといった感じで主導権を維持する。絶好調のチアゴアウベスも前半にヴェルディのビルドアップミスからのこぼれ球をシュート放ち、後半にも仕掛けからPAへ侵入することが1度あったが対面する宮原にほとんど封じ込まれ、むしろ、ボールが渡ることも少なく見せ場を作ることが出来ずこの日は無得点。

 前半戦、味の素スタジアムで1-2と悔しい敗戦から雪辱を晴らす2-0で快勝しヴェルディがアウェイ6連勝を飾った。

まとめ

 好調な山形を相手に前節での反省も活かして立ち上がりからプレー強度高く入り込み先制、ダメ押しと危なげない試合運びで勝利。右サイドのバスケスバイロンと宮原の攻撃中心であったが北島×山田の連携から左からの攻撃もこの数試合で迫力が出てきたことは中盤から終盤戦にかけて楽しみである。2戦連発の山田は積極的なシュート、ポストプレー、献身的な守備と存在感が増すばかりである。中盤の稲見、森田晃樹もビルドアップに絡むことがこの日は多くこうしたことも序盤から主導権を取れた要因であっただろう。
 敗れた山形は出場停止の川井の穴が埋まらなかったとも言えるだろう。攻撃時に3バックと4バックで変化をつける策をしてきたもののCBからのパス供給に難があり苦しかったし、前線からの守り方が上手く嵌らず小西や南があまりボールに絡むことが出来ず時間とスペースの貯金を作ることが出来なかった。
 町田、大分と上位2チームが引き分けたことで離された差を詰めることが出来た。これ以上離されないために次節・熊本戦以降でも勝点3を求める戦いが続いていく。