【雑感】2023年J2リーグ 第15節 対FC町田ゼルビア~追求するものとは~

東京ヴェルディ 0-1 FC町田ゼルビア

 注目の上位対決となった東京クラシック。試合序盤から攻勢に出るもリズムを失い始めて主導権を取られたところでの失点。その後も反撃に出るも審判との相性、町田の露骨なまでの時間稼ぎとプレー以外の部分で最後まで苦しみ敗戦を喫した試合を振り返りたい。

スタメン

 前節・長崎に2-1で勝利し3位浮上したヴェルディ。CB林に代えて山越を入れ替えてそれ以外の10名は同じメンバーで臨む。
 対する町田は前節・岡山と1-1の引き分け。高江に代えて荒木を入れてこちらもそれ以外の10名は同じで臨む。ポープにとっては古巣対戦になる。

前半

 上位対決で迎えた東京クラシック。ここまで盛り上がっているのは2018年最終節以来だろう。今季はお互いに昇格を目指しておりシーズンを占う大一番となった。名前の由来、定義はどちらが美しいサッカーを出来るかということだったらしいが、いまやお互いにその対極にいるようなサッカーを繰り出して結果を出しているのはちょっとした皮肉である。

 試合は立ち上がりから攻めるのはホームヴェルディ。町田はプレスも弱くただ人を置いているだけのような守りであり強度はかなり低い。4バックが横に広がり、サイドで幅を取り、2DH綱島悠斗は基本的にセンターで2CB間に立って相方の森田晃樹はサイドへ流れてスペースに立ち位置を取る。これが自陣からのボール運びの構成になっていた。 
 下田と荒木の2DHの守備強度も低く優位性がかなり出来ていた。ここがボールハンターの高江と稲葉だったら話しは違っていただろう。気になったのはCB池田とチャンの守り方だ。前節の長崎ほどではないが、そこまで喰いついて深追いしてこないため山田と北島も体格差を苦にせずにプレーが出来ていた。サイドではバスケスバイロンと加藤蓮がタッチライン際へ張り、片方のサイドに選手を寄せると大きな展開でサイドチェンジを見せた。

 先述のとおりに町田の守備強度が低く、間、間を上手くボール通して山田と北島がCBDHのスペースでボール貰って前進していた。敵陣へ入って攻撃するもPA前でチャンと池田の壁があり、ボックス内に入っての決定機にはならず。それならばとサイド攻撃、そこから獲得したCKでチャンスを見出すも得点までには至らなかったが、中盤はセンターに君臨する悠斗、3列目で自由にボールを触れる晃樹、前線からの守備とライン間でボールを貰える北島とこのトライアングルは良い組み合わせになっていると感じている。

 一方の町田はカウンターからのロングボールをデュークに当ててエリキを走らせることとスローインの攻撃だけ。デュークとの競り合いには山越と平が対応し、エリキとの駆けっこも宮原と山越が対応し、集中した守備を見せる。J2では体感しないような2人の迫力でありながらも守備陣もしっかりと対処して魅せた。
 あとは、町田はちょっとしたことで倒れては2分3分寝っ転がり立ち上がったらすぐに全力プレーと露骨なまでの時間稼ぎとサッカーのサの字も無いような戦いでこの記事では特に触れる内容は無い。ここまでの対戦相手サポーターたちからも評判が悪く、試合後に毎回選手たちで小競り合いで荒れるのもよく判る。

 30分くらいまではヴェルディが押す展開が続いていたが、ロングスローやセットプレーにたっぷりと時間をかけるチームらしく相手から主導権を取り戻すために、プレーを止めることを意図的に行なう。これは前節の長崎やこれまで戦った千葉や秋田も同様であり一つの戦法である。こういう行為によってここまでの良い流れでプレー出来ていたヴェルディの選手たちのリズムも狂い始め、フラストレーションが溜まってきたのか不要なファールが増える悪循環になる。町田がペースを握り、なんとかスコアレスで前半を終えればと願ったATだった。ピッチ中央付近でバスケスバイロンが不用意なファールでイエローカードを受ける。このリスタートから左サイドを破られてクロス。最後はエリキに押し込まれて町田が先制する。ヴェルディはATに痛恨の失点を許すことになった。

後半

 ハーフタイム明け、ヴェルディは北島に代えて佐川を投入。前節・長崎戦と同じように最前線に山田、トップ下に佐川の配置。佐川は上背があり最前線での起用かと思いきや町田DHとの体格のミスマッチで競り合いに勝てたり、ライン間でボールを受けられるレフティでアクセントをつけられることもあり下がり目が合っているのかもしれない。トップ下の位置で空中戦を受けるのは昨季の染野も同じようなプレーをしており、その継続と何かの布石かもしれない。

 プレスも何も無くただ人を置いているだけの町田なので後半もボールを持ち攻めるのはヴェルディ。勝つには2点が必要な状況で攻め込むも前半途中から守り方を変えて14231として下がり気味になったデュークが自陣深い位置までバックする守備を見せるなど懸命な守りをする。

 攻めるヴェルディであったが右サイドからの仕掛けで山田が接触で倒されるもノーファール。この直後にバイロンが主審への異議とみなされて2枚目のイエローカードを受けて退場に。せっかくのところで水を差すことになった。退場になったバイロンもバイロンで1枚イエローカードを貰っているにもかかわらず主審へ抗議するのも幼稚であり、迷惑をかけることになった。

 主審の田中玲匡は終始、町田が倒されるとファウルで止まり、ヴェルディの選手が倒されても笛は吹かれずと曖昧どころか一方的なレフリング。ストレス、フラストレーションが溜まるものであり審判のレベルの低さは顕著。スタンド観戦していた観客からも罵声やブーイングが飛ぶ酷さであった。
 VAR導入やJ3までのチーム数で絶対的に人数が足りておらず質の低下が深刻である。ただ、試合中にそう思ったとしてもピッチ上でプレーするヴェルディの選手たちは主審に喰いつきすぎており、印象をさらに悪くしているのは事実。主審も人間なので感情的になり判定にも影響が出るのは必須である。もう少し大人のチームに、ずる賢いチームになることも勝点を上乗せしていくには必要だろう。

 10名になったことで負傷明けの河村を山田に代えて投入し、右サイドに配置。町田のプレー強度は低いままで1名少ないと感じさせないような状況でありひたすらボールを握る展開。左サイドにはマリオエンゲルスを入れて単騎突破とプレスキックの武器を投入。綱島悠斗や途中出場の佐川、河村が何てことも無いパスミスやボールロストと技術的なミスで自らボールを手放すことが散見され、リズムがぶった切られて勿体無かった。

 佐川のミドルシュート、右からのクロスにファーで深澤大輝のヘディング、左からのFKをマリオエンゲルスが直接と攻め込むものの最後まで得点を挙げられず大事な上位対決で敗北を喫した。

まとめ

 審判、町田の姑息なプレーの数々とストレスやフラストレーションが残る試合であったが、監督や選手たちのコメントを読んで前向きな気持ちになった。自分たちは簡単には倒れない、目指すべくステージで戦うためにアグレッシブなプレーをする持続すると改めての決意表明は頼もしい限りだ。
 水曜日に迫った次節・栃木戦では直近試合で大車輪の活躍をしているバスケスバイロンが出場停止。誰が代役を務めるのか?また、町田戦で不在だった林や負傷交代した平の具合と気になることが増えてきた。懸念事項が出てきたが次の試合まで時間は無く、上位陣へ喰らいつくためにもスッキリと勝ってもらいたいものだ。