【雑感】2021年J2リーグ 第12節 対ザスパクサツ群馬~雪辱を果たす逆転勝ち~

東京ヴェルディ 3-1 ザスパクサツ群馬

 前半のモヤモヤを払しょくするかのような豪快なゴール2連発で逆転勝利。スコア経過だけみたら、昨季味スタで喰らった敗北と真逆の展開になっていた。逆転劇に裏に隠されたドラマを探りつつ、試合を振り返ってみたい。

スタメン

 前節・大宮に追いつき1-1の引き分けたヴェルディ。この日は守護神マテウスが欠場してベテラン柴崎が今季初出場、梶川が出場停止で山本理仁が復帰する。システムは14123でスタート。
 対する群馬は前節・山形に敗れ、こちらも同様にGKを変更して松原を起用。山形戦の後半と同じように中山と岩上のDHで古巣対戦の内田をSHに配置。システムは1442でスタート。

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岩上ロールってなんだ

 昨季の対戦時や前節の山形戦を観ていても、群馬はスピード溢れるサイド攻撃が見せており、この日もその持ち味を発揮し、とても面白い多様なサイド攻撃が繰り広げられていた。手こずるだろうなと思ったら予想通り手こずった。

 大外からのサイド攻撃が基本となり、いくつかのパターンが見られた。
1つ目はSHが対面するSBとマッチアップして時間を作り攻撃参加したSBと2対1の数的優位を作りクロスを上げていく。開始早々に左サイドで起点を作り、平尾のクロスにファーで右SH内田が合わせる場面を作った。

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2つ目は同様にSHとSBのコンビネーションからの崩しであり、ヴェルディのSBを喰いつかせたことで生まれたCB脇のスペースに走り込みPA内の深い位置へ侵入して速いクロスを入れる。この時には大前や田中といった2トップも崩しに参加することもあった。

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3つ目が特に面白いと思った2DHの横スライドによるサイドの崩しだ。例えば左サイドで平尾がボールを持った時にSH加藤はハーフスペースで対面する若狭をピン留めする。すると、小池が対応することになるがその際にDH中山が横スライドで大外2枚になって数的優位を作り、そこからクロスを入れていく。連動するように岩上も横スライドしていくがその役割が面白く、セカンドボール回収と二次攻撃は勿論、ボールロスト時にカウンターを受けた際のディフェンス、そして正確なキック精度を持っているから大外の平尾と中山がクロスを上げられないときに戻して、岩上の位置からクロスを上げるなどこの配置によって様々なことが出来た。

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 サイド攻撃を中心に群馬は何度もチャンスを作り、規則性があるのか、浮き球のクロスはほぼファーサイドに入れてグラウンダー性に近いものはニアへ入れることが多かった。

 一方のヴェルディであるが、群馬に押し込まれることが多く、その原因は相変わらずであるがシュートが少なく、敵陣深い位置までボールを持っていけないことにあった。この日はそれに加えて選手たちの距離感も悪く、いつものように左SB福村が攻撃時には高い位置を取り、最終ラインが3バック化、中盤底に佐藤優平で右に石浦大雅、左に山本理仁となるがかなり間延びしているため群馬の選手たちがそのなかに収まってしまい、パスの出しどころを失っていた。距離感が遠いことよりかなり高いパス精度も要求されるため、ちょっとした技術的なミスでパスがズレてタッチラインを割ったり、群馬に奪われる場面が目立った。

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 先制点もその悪いことが重なり生まれた。敵陣に侵入したヴェルディは横パスがズレて群馬に奪われる。加藤がハーフライン付近からドリブルで持ち上がると帰陣するヴェルディ守備陣形はぐちゃぐちゃのまま、右足アウトで巧みなパスを田中へ通すと落ち着いてゴールへ流し込み群馬が先制する。

偶然ではなかった同点劇 

 ビハインドのヴェルディ、依然としてブロックの外側でパスを回す(回させられる)展開が続く。右大外に張った小池へ入れて、ハーフスペースの大雅へ斜めのパスを入れて侵入しようする動きが何度か見られが畑尾や中山にフィジカルコンタクトで負けて攻撃の芽をつぶされる。立ち位置を逆にした方が絶対に良かっただろう。

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 ボールを奪った群馬は緩急をつけた攻撃をしていくが、一旦落ち着かせて保持する時はSBが上がり、DHが縦関係になり、1枚は最終ラインへ下がり3バック化する。1442で守るヴェルディに対して数的優位を確保してビルドアップを図る。低い位置の時はDHが下がらずにGK松原が参加して2CBと3バックになり3-2を形成する。

 ゴールキックを短く蹴りPA内でフィールドプレーヤーに渡すこともありGK松原はキック精度に不安があったのかもしれない。参加したビルドアップも来たボールを右足で左サイドへ流す対応を何度もしており、試合後のインタビューでコメントしていた石浦大雅はそれに気づき、松原との駆け引きをするようにしてDFへプレスをかけていた。

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 全く良いところがないヴェルディであった思わぬ形で追いついた。42分、ボールが渡った松原のキックは右足で左サイドに向けて蹴り、大雅が狙い通りにボールカットして、凌我へ繋ぎ、あとは流すだけという状況を確りと凌我が押し込んで同点に追いついて前半1-1で折り返す。

個性爆発のシステム変更

 後半開始からヴェルディは理仁に替えて山下を投入する。優平と大雅の2DHにしてパライバをトップ下に配置する14231ヘシステム変更をした。前半、信じられないくらい間延びしていた選手の距離感をシステム変更で矯正したことが功を奏す。

 前線の4名を近い距離に配置したことでボールがよく繋がるようになりリズムが生まれる。ここに攻撃参加した福村が相手マークが喰いつく前にクロスを上げたり、マークを振り払い深い位置まで入っていきクロスを上げるなどサイド攻撃が活性化していき主導権を握る。

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 対する群馬は押される場面が続くが、ヴェルディの守備時の立ち位置を確りと分析してマイボールになるとシュートまで持っていく。2DHとなった大雅と優平であったが、プレスをかけに行ったことで1DH化になったときに脇にスペースが生まれる。ここで上手くボールを受ける群馬の選手たちは、そのまま前進していったり、サイドへ展開してクロスからフィニッシュという動きが目立った。

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 お互いにシュートまで持っていく展開が続いたなかで、勝ち越し点を挙げたのはヴェルディだった。自陣深い位置での群馬のスローインからのクリアボールに圧倒的なスプリント力を見せて群馬の選手を追いこして奪い取ったのはパライバだった。そのままの勢いで左サイドを駆け上がると並行して走ってきた凌我へクロスを入れる。凌我はスルーしてその横から走ってきた山下にボールが渡り、落ち着いてニアサイドへ蹴りこみ逆転を果たす。

 逆転したことで精神的にもだいぶ楽になれたのであろうヴェルディは、思いっきりの良い攻撃が増え始める。
 86分、一度は相手に奪われたボールを大雅が激しく寄せていき、凌我とともに挟みこみボール奪取する。凌我はそのまま持ち運ぶと右サイドの角度のないところではあったが豪快に右足を振りぬきそのまま佐藤凌はショートカウンターでペナルティエリアに侵入すると、やや角度がない厳しい位置から右足を振り抜いて追加点を挙げる。システム変更が功を奏し、3-1の逆転勝利で5試合ぶりの勝利を手にした。

まとめ

 背水の陣で臨んだ水戸戦で見せた2DH+トップ下を置く14231システムを後半から採用した。選手の距離感を近づけたことでボールがよく回り、選手たちにも流動性が出てきてそれぞれの個性も発揮されて攻撃に迫力が出ることはおそらくほとんどのサポーターが知っていたことだろう。オプションとして機能することが証明できたことは監督、選手たちにとっても自信につながるだろうし、これを今後の軸としていけば攻撃については心配要らないとも思っているが、なぜか、次節になったら元に戻ることが大いに考えられる。(この日のスタートシステムが機能すればベストだ)
 今季初出場を果たした柴崎は先制点こそ許したもののそのあとは落ち着いたプレーで再三のシュートストップを見せて2017年ぶりに出場した試合で勝利に貢献。頼もしいベテランの活躍も心強い。ただ、シュートは相変わらず打たれに打たれ20本。PA内に攻め込まれてシュートも多く、守備構造・構築に手を打たないと失点は減って行かないだろう。勝ったからこその反省を今後へつなげていってもらいたい。中2日で迎えた連戦であったが勝利を挙げたイレブンに拍手を贈りたい。


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東京ヴェルディを中心にしたサッカーメモ、雑感を記します。