【雑感】2020年J2リーグ 第12節 対水戸ホーリーホック~眠りから目覚めたら~

東京ヴェルディ 2-0 水戸ホーリーホック

 試合開始から押されに押された展開。。。またも消化不良の内容になることも覚悟していたが、選手交代や配置を工夫することで次第に流れを引き戻していき、終わってみれば後半の2ゴールで見事に完封勝利したこの一戦を時間の経過ともに振り返っていきたい。

スタメン

 前節福岡戦で久しぶりの勝利を挙げたヴェルディ、中3日での連戦となったがスタメン、配置は変えず14141システムで挑む。ベンチには大久保嘉人が開幕戦以来のメンバー入りを果たす。
 対する水戸はこの5連戦をターンオーバーのようにしており、この試合でも大胆にメンバー8名を入れ替える。こちらは1442システムになる。

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押される展開を強いられる

 メンバーを変えずに臨むヴェルディと大幅に変えた水戸。試合立ち上がりからフレッシュなメンバーが多い水戸が試合のペースを掴む。2DH平塚と山田が井出と藤田譲瑠チマをマーク、2トップピットブルと奥田が若狭と平、2SH山谷と森が奈良輪と福村へプレスするようにヴェルディのビルドアップ陣に対してマンツーマンのような形を取る。ここまでの10試合で一番徹底したマークを敷いてきた印象である。

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 水戸は開始早々から出足鋭いプレスをかけて全体をコンパクトにして押し上げてフィールドプレーヤー10枚がすべて敵陣に入る場面も多かった。ヴェルディは圧に負けてミスを起こしては水戸がボール回収という展開になり、いくつかチャンスを作る。
 フリーになった森から左に流れたピットブルが運びそのままシュート、CKからのセカンドボールを山谷がシュートを放つもいずれもマテウスが確りとキャッチしてゴールを割らさない。
  17分、井上潮音からジョエルへの横パスを自陣でカットした山田が左サイドの森へ大きく展開。攻め上がった乾が繋ぎ、最後は奥田がシュートするも枠を捉えられず、決定機をモノに出来ない。

 押され気味のヴェルディであったがマンツーマンの水戸守備を掻いくぐれば一気にゴール前まで運ぶ展開もあった。4バックとジョエル、井出の6枚すべてにプレッシャーがかかるが、右フロントボランチ佐藤優平がフリーになることが多かった。

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 開始早々からの水戸の激しいプレスにも徐々に適用してきたら、フリーになる優平へボールが渡ることが出てきた。ここにトップの端戸も下りてきてフォローに入り、サイドへ展開して攻撃を仕掛ける。
 10分、端戸が下りてきてボールを貰い、攻め上がり左サイドで張る井出へ繋ぐ。そこから仕掛けてシュートへもっていくが松井にセーブされる。
 攻撃を仕掛ける場面もあったが水戸ペースで試合は進む。

配置変更で流れを戻し始める

 飲水タイム明け、ヴェルディはボール保持時のシステムに変化をつけてきた。ここまでは4バックであったが右SB奈良輪が高い位置を取る右肩上がりの3バックへ変更。奈良輪が高い位置を取ることで前節・福岡戦同様に右サイドでトライアングル形成して数的優位を作る。

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 26分、優平⇒小池と繋ぎ、インナーラップしてきた奈良輪がPA内深い位置まで抉り折り返しのクロスを入れるが松井に防がれる。そのあとも奈良輪の攻め上がり、ポジトラ時の3枚4枚と複数名がPA内へ入り込むスプリントを見せて徐々にではあるがヴェルディが盛り返しの兆しを見せるがスコアレスのまま前半を終える。

ズバリ的中した選手交代

 後半開始から小池に代えて森田晃樹を入れて前線中央へ、端戸が右へ回る。最終ラインは再び4バックに戻す。この交代で流れを完全に引き寄せる。晃樹はフリーマンの役割を確りとこなし、最終ラインやジョエルがボールを持った時は水戸2DHの位置まで下りてきてビルドアップの数的優位を作り、2列目の選手たちへボールが渡ると水戸最終ラインの裏を取るような動きで右へ左へ流れて起点になり攻撃にリズムが出来る。サイドでは端戸、潮音が幅を取り、フロントボランチやSBとトライアングルを作り押し込んでいく。

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 先制点もその晃樹が貢献を果たすことになる。56分、井出のスルーパスに抜け出した晃樹が住吉に倒されてFKを獲得。このFKを優平が蹴り込み、水戸の壁に当たりコースが変わりそのままゴールイン。ヴェルディが先制する。

 水戸の攻撃に対してヴェルディは4-4のコンパクトな守備陣形を作り、ブロックの外でボールを回させる。守備時SHになる潮音はプレスバックしてボール奪取する場面がいくつか見られ、そこからカウンターへ転じることで攻守に貢献する。

 その後、お互いにゴールへ迫る展開のなか、メンバー交代をしていくがヴェルディペースで時計の針は進む。途中出場の大久保は短い時間ながら存在感を示し、ボールを預けるとプレーに緩急をつけていく。サイドに流れてはボールキープ、とみせかけてはワンツーで抜けて出して角度が無いところからシュートを放つ。

 このままかと思われて後半AT、左サイドへ開いた大久保が中へ入れてそこから福村を経由して再び大久保へ。山本理仁へ繋ぎ、理仁は最終ラインの裏へスルーパス。抜け出した山下が松井との1対1を落ち着いて決めてプロ初ゴールを挙げて2点差へ突き放す。このまま試合は終了し、2-0で勝利を飾る。

まとめ

 フレッシュなメンバーが多い水戸に押された前半の戦いぶりでどうなるものかと思われたが、飲水タイム、ハーフタイムと試合が区切られたことで配置換えや選手交代で徐々に盛り返していき、後半は主導権を握るとセットプレーから先制。これで完全に目を覚ましたヴェルディはそのあとも見事な試合運びで追加点を奪い2連勝となった。苦しい展開の中でもセットプレーで先制して確りと勝ち切ることはチームとして大きな成果だと思う。
 攻撃面、前節に続き両サイドで数的優位を作るやり方を取っており、縦へ速い仕掛けが多かった。中盤でも確りとトライアングルを作りパスを回すことでリズムを作れており、ここに大久保嘉人という強力なパーツが融合することで、どんな化学反応を起こすのかとても楽しみである。
 守備面では、コンパクトなブロックを形成して相手をブロックの外へ誘導してシュート場面でも後半に関してはシュートコースを限定させるようなこともありマテウスが正面で抑えていた。ここのところの守備陣の頑張りが勝ち点の上積みに大きく貢献していることは言うまでもない。
 猛暑のなかでの過酷な5連戦も折り返した。残り2戦も良い結果になることを期待したい。