【雑感】2022年J2リーグ 第38節 対モンテディオ山形~雨に唄えば、2連勝飾る~

東京ヴェルディ 1-0 モンテディオ山形

 雷雨による90分ほどの中断を挟んでの長丁場になった一戦。次第に主導権を握り、セットプレーからの得点を守り切り2連勝を挙げた試合を振り返ってみたい。

スタメン

 前節・水戸に2-1で勝利して長いトンネルを抜けたヴェルディ。マテウスと河村以外の9名を大幅に入れ替えて中2日で臨む。馬場はU21日本代表、アルハンはインドネシア代表で不在。
 対する山形。同じく半田がU21日本代表で不在。前節・千葉戦からはここに松本を入れ替えただけでそれ以外は同じ10名で14213で臨む。南秀仁は古巣との一戦になる。

前半

 試合直前から猛烈な雨でピッチには水溜まりが生まれ、視界不良になる最悪なコンディションでキックオフを迎えた。ボールが止まる、予想以上に転がる状態にヴェルディはアバウトなボールを蹴り込むことが多かった。山崎と野田の2CBをゴール前から引っ張り出そうと立ち上がりからSB裏へ蹴り込むことが立ち上がり早々から何回か見られた。

 山形は14411で守り、ディサロが2CBをみてトップ下河井が加藤弘堅をマーク。2DH藤田と南は人につくよりもスペースを埋める守り方をする。先述のロングボールで最終ラインが乱された際も斜めに下りて埋めたりしていた。そのため加藤弘堅の相方・森田晃樹、左SHから中へ絞る梶川がフリーになりがちであった。

 一方の山形は両翼の國分と加藤大樹が幅を取り、SB・中盤の選手たちと絡み大外からゴールへベクトルを向けてサイド攻撃を仕掛ける。最前線のディサロは利き足である左を活かして中央から左へ流れながら速いクロスを入れることもあった。サイドからの鋭いクロスが数本入るものの中に飛び込む選手不在になってしまっていた。後方からのサポート、攻撃力に欠き、最終的にはこの日不在の半田のようにSBの攻撃力に泣いてしまった。


 20分すぎ、雷が鳴り試合が中断する。ここから雨も強まり、結果的に再開までに90分ほど要することになった。水溜まりだらけだったピッチもこの短い時間で乾き、味スタの水捌けの良さには驚いた。

 中断明け、スタジアムの雰囲気も後押ししたのかヴェルディの選手たちがエネルギー溢れているように見えた。フリーになりがちな森田晃樹、梶川が積極的にボールに絡み、この日、久々の出場となったバスケスバイロンが右サイドで幅を取り、個の仕掛けから深い位置まで抉って行き勢いをつける。やはりサイドで仕掛けられる選手の存在は攻撃に迫力を増す。

 フリーの梶川がこぼれ球にいち早く反応して強烈なミドルシュート、そのこぼれ球を河村が詰めるも立ちはだかるのは後藤の壁であった。金沢でキャリアを積み、J2でも存在感を増す守護神をそう簡単には崩せない。2トップ河村と染野は上背は無いが積極的に空中戦に絡み、相手とのフィジカルコンタクトを厭わず、そうした印象からか山崎はファール判定を取られることが多く最後まで審判との相性が合っていなかったように感じた。

 大外で幅を取って仕掛けるだけでなく、SBCB間を2トップ河村と染野が突いてPA内の深い位置まで抉りマイナスのクロスを入れることが見られて、ここ数試合でヴェルディが徹底している形であった。早く実を結ぶことを期待したいばかりである。

 山形のサイド攻撃を警戒して奈良輪と加藤蓮は前半の攻撃参加は抑え気味で裏を取られないように守る。山形は攻撃の形を失いつつあり30分過ぎごろか、國分と加藤の両翼を左右入れ替える工夫も見せた。しかし、前半のシュートは立ち上がりの1本のみで中断明けから主導権を握ったヴェルディペースでスコアレスで折り返す。

後半

 お互いにメンバー交代無しで後半を迎える。ヴェルディはSB奈良輪と加藤蓮も高い位置を取り始めて、山形はWG國分と加藤が最終ラインまで吸収される苦しい形になりヴェルディのゴールの予感が漂う時間帯になる。

 しかし、ヴェルディはリスク管理無視するような前がかりになったことから2CBンドカと谷口栄斗しか残っておらず、山形に重心を後ろへ下がってしまいながらもカウンターから危ない場面を作り出される。PA内に入られてディサロに振り向きざまに右足でシュートを放たれるも、マテウスがセーブをする。

 ヴェルディはサイド攻撃からCKを獲得する展開が出てくると、52分左サイドからのCK。梶川はショートコーナーを選択。バイロン、晃樹と繋ぎ、晃樹がファーへクロスを供給するとンドカが身体能力の高さを活かしたヘディングシュートを決めて先制に成功する。

 自分の時間帯に先制したヴェルディがそのあとも試合を優位に進める。山形の中盤守備も変わらないためヴェルディが敵陣に入りプレーする時間が多い。ビハインドになる山形はPO進出を目指すうえでは勝利が必須の状況だ。反撃に出るべく、河合と加藤に代えてデラトーレとチアゴアウベスを投入。ディサロがトップ下へ下がる。

 ヴェルディは久しぶりの出場のバイロンと左膝に痛々しいほどテーピングを巻く加藤弘堅に代えて佐藤凌我、稲見を投入。河村が右SHへ下がる。山形も國分とディサロに代えて樺山と山田を投入。

 前線を総入れ替えした山形はフレッシュなメンバーで反撃を試みるとヴェルディは河村と梶川の両SHに代えて小池と深澤を投入。加藤蓮を一列上げて左SHに配置して奈良輪が左SBへ深澤が右SBに入る。小池はそのまま右SHに。守備強度を落とさずに追加点を目指す。結果的にこの際が見事に当たった。お互いにシステムは替えずと交代カードを切るたびに配置も変える采配となったがこの日はヴェルディが一枚上手であった。

 70分すぎにオフサイド取りにいったところをデラトーレに裏を取られて決定機を作られるも深澤がチアゴアウベスをブロックして何とかピンチを乗り切る。

 ヴェルディは縦に速い攻撃を繰り広げて小池、佐藤凌我がカウンターで自ら持ち込みシュートするチャンスありながら追加点を奪うことは出来ずにこのまま1-0でタイムアップ。波乱の展開になったこの試合にセットプレーの1点を守り切ったヴェルディが2連勝を飾った。

まとめ

 雷雨での中断もあり難しい状況にもなったが、7連戦の最終戦を見事に勝利した。中2日で9名入れ替えての2連勝は好材料だろう。序盤はピッチコンディションの問題もあり浮き球を多用し、戦術云々どころではない状態であったが鮮やかに復活したピッチで本来の形に近いサッカーを徐々に発揮することが出来た。バスケスバイロンが復帰してサイドから個の力を見せここ数試合のチームのサッカーとは明らかに違いがありテンポの速いサッカーを表現することが出来た。
 山形の守り方もあったが中盤で森田、梶川、加藤弘堅が相手の嫌な位置でボールに触れる機会が多く後半は稲見投入して強度落とさずに終始試合を有利に進められた。シュート数も相手の倍近い17本を放ち、リズムを崩さずに押し込め、山形の攻撃を回数を減らすことが出来た。
 リーグ戦は今季も残り4試合になった。連戦もようやく終わりここからは週1ペースに戻る。連戦時は休養なども考慮したメンバー編成だっただけに最後の締めくくりをどんなメンバー、序列で迎えるか楽しみにしたい。