【雑感】2020年J2リーグ 第40節 対V・ファーレン長崎~歴然とした差~

東京ヴェルディ 0-2 V・ファーレン長崎

 前半立ち上がりこそ、良いリズムから攻撃を仕掛けていくが試合が進むにつれて地力と勢いの差が表れてJ1昇格を目指す長崎が盤石の試合運びを見せた。試合のなかで光った長崎の守り方とヴェルディのSB絡めて攻撃などを触れながら振り返ってみたい。

スタメン

 前節・町田にシュート2本で完封負けを喫したヴェルディ。CB馬場晴也がプロ初出場を飾る。福村、佐藤優平、新井もスタメン復帰を果たす。
 長崎は3位につけJ1昇格へ残り試合全勝が必要な状況。CBフレイレが出場停止で、エジカルジュニオがベンチ外。ルアンが久しぶりにスタメン復帰を果たし、14231システムで臨む。

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見事な連携を見せた長崎サイド守備

 J1昇格のためには勝たなければいけない長崎に対して、ホームのヴェルディが新井、晃樹と左サイドに配置された2名が積極果敢に攻撃を仕掛ける。

 ボール保持時に福村が偽SB化して3-2でビルドアップ。新井と小池の両ワイドが大外に張り、中央を優平、端戸、晃樹が占める。対する長崎は1442で守りSH大竹が一列上がりルアン、富樫と3トップ化して2DHへのマークを受け渡ししながらプレスをかける。但し、プレッシング強度はさほど高く無く(上手く調整しながら)リトリートしながらブロック形成する。ヴェルディは敵陣へ進入するくらいに全体を押し上げて行くと左サイドに起用される晃樹、新井が積極的にミドルシュートを放つなどリズムを掴む。

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 しかし、大竹と毎熊、氣田と米田の両サイド守備が機能し始めて徐々に勢いを失っていく。特に攻撃のキーマンである小池に対して、氣田と米田の守備は目を光るものがあった。
 小池へSB米田がマークに付くのでは無くて、SH氣田がプレスバックする形で対応。米田は前進方向での対応をすることで小池に得意の裏抜けをさせず、スタート位置を徐々に下げることに成功した。立ち上がりこそヴェルディはシュートを放つ場面もあったが次第にフィニッシュへ持ち込むことが出来なくなった。

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 対する長崎の攻撃。ブロックを敷きヴェルディの攻撃を受けて立ち、ボール奪取すると、ポジトラ時は2DH化するジョエルと福村の脇へボールを入れてサイドへ散らしてクロスボールを入れる。ルアンはトップ下で比較的自由に動き回ることでボールを引き寄せてチャンスメイク。

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 また、ボール保持からのビルドアップではDH秋野が最終ラインへ下りてSBを押し上げる。秋野の相棒であるカイオセザールと縦関係になる。ボールを前進するとカイオセザールはどんどん高い位置へ入っていき迫力を見せる。守備時に目立っているサイドの選手たちも深い位置まで抉りクロス供給する場面があった。

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 28分、左サイド攻撃から獲得したCK。秋野が正確なボールを入れると角田が上手くヘディングシュートを決めて長崎が先制。
 すぐさま32分に氣田がPA内へ進入してこぼれ球を拾った大竹がボールを浮かせて身体を反転させながらボレーシュートを突き刺し、立て続けの得点であっという間に2点差とする。

 2点リードを奪い、ヴェルディ攻撃をうまく抑え込み折り返す。

SBがフィニッシャーとなるヴェルディ攻撃

 後半開始からヴェルディは井出と山下を入れて左サイドを総取り換えする。山下には前半皆無だった裏抜けの役割、井出は中盤の高い位置でボールを収めてチャンスメイクする役割があった。反撃に出るヴェルディであったが直後に端戸が負傷するアクシデント発生して井上潮音と交代する。

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 ボールを握り敵陣へ入っていくが長崎の守備陣形を崩すことが出来ない。サイドの選手たちは前半から引き続き上手く機能して挟み込み、全体的にサイドへサイドへヴェルディを追い込むことで危ない位置へ進入させない。特にDHカイオセザールの球際での激しさ、強さは際立った存在感を魅せて別格なプレーを披露する。この牙城を崩すことが出来ず時計の針は進んでいく。

 60分すぎ、ヴェルディは福村に代えてタイミング良い攻撃参加が持ち味の奈良輪を投入する。

 タイミング良く、思いっきりの良さから左サイドを駆け上がることで深い位置まで入っていくことでようやくリズムが戻り始める。逆サイド目掛けて浮き球のクロスを入れて反対サイドのSBが仕留めるようにPA内へ進入してボレーシュートを放つ攻撃から奈良輪、若狭が積極的にフィニッシュに絡みゴールを脅かす。特に若狭が攻撃に絡むことが増えていく長崎ゴールへ迫るも得点を奪えず、試合終了間際には右サイドから崩してゴール目の前で井出がダイレクトシュートを放つも枠を大きく外してこのままスコア動かず0-2で敗戦を喫した。

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まとめ

 チャンスクリエイト回数で言えば、あまりにもひどかった前節町田戦に比べると増えており、PA内の深い位置まで侵入することも出来ていた。結果論ではあるが、決めるところを決めていればという個に依存する部分にも左右されていた。
 FWがチャンスを作りSBがフィニッシャーになる場面が何度かあり永井監督らしい全員攻撃サッカーの絵ではあるがチームでシュートが上手い選手たちがフィニッシャーでは無いとなれば得点を挙げるのも苦労してしまうだろう。ここ最近、3トップがPA内へ進入して連携から崩す場面がめっきり減ってしまい、その原因はスタート位置が低い事や裏抜けが少ない(相手マークにピン留め)が考えられる。選手たちのモチベーションが上がり切れないようにも見受けられ来季への取り組みが始まっているとは残念ながら言えないだろう。