【雑感】2020年J2リーグ 第25節 対ファジアーノ岡山~失われたファイティングポーズ~

東京ヴェルディ 0-1 ファジアーノ岡山

 シュート6本、枠内シュートゼロ。。。昇格を目指して戦っているとは思えない散々たる内容と結果であった。前節3-1で快勝したときの思いっきりの良さもどこへ行ったことかと。戦い方や狙い、采配などを通してその原因を試合を通して考えてみたい。

スタメン

 前節大宮に3-1で快勝したヴェルディ、SBに若狭と福村を戻して高橋祥平が従来のCB起用される。中盤以前は前節と変わらない配置で14141システムでスタートする。
 対する岡山。前節水戸戦からFW1枚(斎藤⇒山本)入れ替えて臨む。ポープはアカデミー時代から育った古巣との対戦になる。

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エンジンがかかり切らない

 立ち上がり、岡山の出方を探るかのように試合に入っていったヴェルディ。岡山前線がアグレッシブにプレスかけてくることからこの日の攻撃も前節大宮戦に近い形であった。ゴールキックやビルドアップ時に低い位置から丁寧に繋いでいく。岡山は2トップ山本、赤嶺+ボールサイドのSHの3枚でプレスをかけにいくと、それを見てヴェルディはボールを繋ぎ、縦スライドしてぽっかりと空いた岡山SHをビルドアップの出口に設定する。右サイドならば佐藤優平や流れてくる大久保、左ならば井出や福村が受け手になる。全体的に前進していくことで最終ラインが高くなる岡山守備陣の背後を山下や井上潮音が狙い、サイドから攻撃を仕掛けていく。特に右サイドの山下は優平との連携から対面する徳元や田中とのスピード勝負へ持ち込み、PA付近まで攻め込む場面が見られたが前節のクレビーニョのフォローのような形が無く、孤立する結果に終わる攻撃も見られた。

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 また、最前線中央の大久保が下りてきて中央でボールを受けて組み立てに参加する。この時に井出や山下が最前線中央へスライドする場面が多く、しっかりとした約束事になっている。上述のサイド攻撃は手数をかけずに攻め込むが、中央からの組み立て時は時間と人数をかけてしまうことが多く、その結果、岡山は守備陣形を整えることが出来てブロックを形成して構え、ヴェルディもトラップミスやパスミスと技術的なミスが目立ち、ちぐはぐしてしまった。

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 高い位置でボールを奪われて、岡山にカウンターを許す場面も何度か見られた。岡山は立ち上がり、右サイド白井と椋原のサイド攻撃が中心だった。2トップ山本と赤嶺に加えて左SH上門の3枚がPA内へ入り込み、クロスへ合わせようとしていく。

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 また、ヴェルディのミスから獲得したCK獲得からチャンスを迎えた。キッカーは精度の高い左足を持っている上田。CBながらセットプレーではヘディングが武器の濱田がターゲットになりニア、ファーで合わせる場面が目立った。

 連戦から1週間の時間が空いて迎えた一戦であったが、両チームともに技術的なミスからボールロストする場面が多く、シュートまで持っていくこともほとんどないまま前半をスコアレスで折り返す。

裏目に出た、端戸投入

 後半開始からヴェルディは大久保に代えて端戸を投入する。大久保はシュートゼロ、ボールロストすることも多く精彩を欠いたプレー内容であった。
 端戸はそのまま最前線の中央に入り、中盤まであまり下がらずに岡山最終ラインと駆け引きしながらポストプレーに徹する。

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 これが悪い方向に働いてしまう。前半に比べて枚数が少なくなったヴェルディの中盤に対して、岡山が1段ギアを上げたかのようにプレス、プレスバックを仕掛けてくる。山本と赤嶺がプレスバック、中盤のSHとDHが縦方向のプレスで2枚で挟み込むような守備をして敵陣でボール奪取してシュートチャンスを作る。

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 次第に岡山が主導権を握る。49分、右サイドに開いた白井からのクロスに赤嶺が下がりながらヘディングシュートを放つもポスト直撃、そのあとも前線からの守備強度が高くなり、ヴェルディのビルドアップを封じ込む。
 すると、55分、ファールを得て中央の位置からFK。キッカーの上田は前半から引き続き、ターゲットマンの濱田へ。ファーで折り返したボールに山本が反応、マテウスとの競り合いに勝ちヘディングシュートを決めてアウェイ岡山が先制する。
 前半から続けていた上田⇒濱田のホットラインから得点が生まれた。

待望の先制点を手にした岡山、俄然プレー強度が上がっていく。コンパクトな陣形を保ち、中盤4枚と2トップの前線から守備でヴェルディの中央突破を抑えてサイドへ誘導していく。端戸が相手を背負ったプレーをすること、背後を取られないように岡山最終ラインを低くするなどして上手くコントロールすることで山下とそのあとに投入された小池のスピードを殺すことに成功した。
 62分、敵陣へ進入した祥平が中央を切り裂く縦パスを通す。パスを受けた端戸が藤田譲瑠チマ、井出と繋ぎ、最後は山下が絡んで中央突破からシュートを放つもポスト右へ外れる。後半唯一のチャンスとなった。

 そのあとフロントボランチを山本理仁、森田晃樹へ総取り換え、クレビーニョを投入して3バックで攻撃的な配置にしたものの最後までシュートらしいシュートも無く、力なく完封負けを喫した。

まとめ

 勝たなければいけない試合にもかかわらず、北九州戦、大宮戦でみせたような「テンションの高いプレー」、「勝ちに拘る必死さ」があまり見られずとても残念な内容であった。
 戦い方自体は前節と似たような部分もあったが技術的なミス、プレー判断の遅さや迷いが多かったように思える。大宮戦の山下の得点のような「思い切ったプレー」もこの日は見られずに、それが結果に直結してしまった。昇格争いからの脱落に近い痛すぎる敗戦。。。ただ、ただ悔しさが残る。