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テキスト版:昭和40年男の梶原一騎論

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(株)クレタバブリッシングから刊行されている隔月誌『昭和40年男』にて、2013年から2018年まで連載した「昭和40年男の梶原一騎論」の全話の本文とコラムをテキストのみで再録。
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#新巨人の星

第二十回「新巨人の星」(その4)(2016年10月号より本文のみ再録)

第二十回「新巨人の星」(その4)(2016年10月号より本文のみ再録)

 『巨人の星』がそうであったように、『新巨人の星』もまた、読売巨人軍という実在の球団が背負う“常勝”という宿命に強く影響された作品であった。
 前者は巨人V9のうちの6年という黄金期に連載(1966~71年)されたことが相乗効果となって一大ブームを巻き起こしたのは誰もが認めるところだろう。だが、『新巨人の星』では、そのことがネガティブな影響を及ぼす。
 「青年、成人向けの豪華巨編劇画」、「人生一大

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第十九回「新巨人の星」(その3)(2016年8月号より本文のみ再録)

第十九回「新巨人の星」(その3)(2016年8月号より本文のみ再録)

長嶋監督就任3年目のシーズンとなる1977年のペナントレースは巨人の独走だった。開幕後の4月に首位に立つと、その座を一度もゆずることなく9月にはそのままリーグ2連覇を達成する。しかも対戦チームすべてに勝ち越しという完璧な優勝である。この結果に梶原は安堵で胸をなで下ろしたことだろう。これで1年分のストーリー展開が作りやすくなった...と。
 『巨人の星』『侍ジャイアンツ』『おれとカネやん』(※)など

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第十八回「新巨人の星」(その2)(2016年6月号より本文のみ再録)

第十八回「新巨人の星」(その2)(2016年6月号より本文のみ再録)

 前回『新巨人の星』をあえて「失敗作の烙印を押された作品」と書いた。だが、それは作り手の思惑や目論見について十分な成果をあげられなかったことに対しての評価であり、作品そのものが読むに値しない駄作という意味では決してない。特に序盤から中盤にかけての、飛雄馬の巨人復帰から右投手として再びマウンドに立つまでの流れは、さすが稀代のストーリーテラー・梶原一騎の面目躍如だと言えよう。
 旧作の頃よりもさらに密

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第十七回「新巨人の星」(その1)(2016年4月号より本文のみ再録)

第十七回「新巨人の星」(その1)(2016年4月号より本文のみ再録)

 あの『巨人の星』の続きが読める!星飛雄馬に再び会える!それは昭和40年男にとっても壮大な“祭り”になるはず、であった…。
 今回から取り上げる『新巨人の星』が連載を始めたのは1976年のこと。奇しくも『巨人の星』が『週刊少年マガジン』で連載を開始してからちょうど10年の節目に当たる年であった(※)。本連載でも何度か触れているとおり、我々は前作に対してリアルタイムで触れた記憶は薄く、その連載終了か

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