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テキスト版:昭和40年男の梶原一騎論

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(株)クレタバブリッシングから刊行されている隔月誌『昭和40年男』にて、2013年から2018年まで連載した「昭和40年男の梶原一騎論」の全話の本文とコラムをテキストのみで再録。
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#紅の挑戦者

第十六回「紅の挑戦者」(その4)(2016年2月号より本文のみ再録)

第十六回「紅の挑戦者」(その4)(2016年2月号より本文のみ再録)

 これまで3回に渡って取り上げてきた『紅の挑戦者』。ラストでは、ついに主人公・紅闘志也の運命を変えた男、タイ式ボクシングの王・ガルーダとのタイトルマッチが描かれる。青春のすべてをこの一戦に賭けて挑む闘志也の宿願の結末を、高森朝雄(=梶原一騎)はどう描いたのか。また、そこにどのようなメッセージを込めたのだろうか。

※『紅の挑戦者』の作品データとあらすじ

闘志也VSガルーダ戦に込められた想い 前回

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第十五回「紅の挑戦者」(その3)(2015年12月号より本文のみ再録)

第十五回「紅の挑戦者」(その3)(2015年12月号より本文のみ再録)

タイ式ボクシングの絶対王者・ガルーダとの出会いに運命を変えられた男・紅闘志也。果てなき死闘の道を一途に進む彼の物語を追った本連載もこれで3回目となる。今回は闘志也がとった意外な行動による急展開から、悲願叶ってついに実現するガルーダ戦の直前までを語っていくこととしよう。

※『紅の挑戦者』の作品データとあらすじ

 「ガルーダさん あんたのキックボクサー秘密養成所!“蛇の巣”に入所させてほしい!」

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第十四回「紅の挑戦者」(その2)(2015年10月号より本文のみ再録)

第十四回「紅の挑戦者」(その2)(2015年10月号より本文のみ再録)

「会長...おもしろいな...」
 キックボクシング協会から除名処分を受け、師弟二人だけで地方をめぐるドサ興行を経て、悲願のプロデビュー戦を迎えた主人公・紅闘志也。しかし、サッカーからの転向間もないため、技術の未熟さゆえに大苦戦を強いられる。血みどろで奥歯も折られ、唯一頼みの必殺技・オーバーヘッドキックも封じられてしまった紅がつぶやいた台詞が冒頭の一文である。
 言葉の意味を問う会長に対して、なお

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第十三回「紅の挑戦者」(その1)(2015年8月号より本文のみ再録)

第十三回「紅の挑戦者」(その1)(2015年8月号より本文のみ再録)

 「燃えたよ…まっ白に…燃えつきた…まっ白な灰に…」
1973年4月。『週刊少年マガジン』誌上にて5年4ヶ月に渡って長期連載された『あしたのジョー』が完結した。この作品で“高森朝雄”という別名義を使ったのは、連載開始当時に熱狂的ブームを巻き起こしていた『巨人の星』との差別化のためで、読者に“スポ根作家の原作”という先入観を与えぬための配慮であったという。だが、梶原の本名(高森朝樹)の一文字だけを変

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