音楽の暗黒面

面白いツイートを見かけた。

ツイートの意図としては「だからヴィンテージ厨はクソったれの勘違い野郎ばっかりなんだよ」くらいの嫌味なのでしょうね。
問題は何故こんな嫌味が出てきたのか、というところ。

楽器の当たり外れの基準は2種類ある。

①自分にとっていい楽器と思えるかどうか
②自分が参加するアンサンブルや音楽制作に対して求められる音かどうか


これはヴィンテージに限った話ではないし、ギターやベースに限った話ですらない。
どんな楽器にも言える事です。

①を重視する場合、買う前の試奏でしっくりこない時点でそもそも買いませんよね。
買うという事は即ち、当たり(自分にとっていい楽器)だという確信が持てたからということ。
従って「自分の持っている楽器は全て当たりである」というのは、至極当然の事です。
そして飽きたり、趣味が変わったら売ったり譲ったりと手放すわけです。
現状手元にあるという事は、自分にとって当たりであるという証左でしょう。

②については主にプロ、プロと言い切れないまでも本格的な合奏や音楽制作に関わる人なら、多かれ少なかれ意識する事でしょう。
単に自分の趣味というだけではなく、成果物を大なり小なり世に出すのですから、プロジェクトに対して求められる道具かどうかというのは楽器に限らず重要なファクターです。
自分が参加するバンド、クリエイター集団において、自分の演奏や楽器の音が本当に求められているのか?制作する楽曲に合っているのか?
そういう観点での当たり外れというのも当然あります。
で、①と同じく、この意味でもハズレなら「そもそも現場に持ち出さない≒不要」なわけですから、所有し続けるということは稀ですよね。
コレクション目的であるのなら、音なんてどうでもいいわけですし。

という事を考えた時、この発言が何故出てきたのかが本当に難しい事になります。

単なる対立煽り厨である可能性が高いと考えられる

先述の通り、論理的かつ現実的な思考をしたのであれば、この発言はどうやっても出てきません。
従って「ヴィンテージ使いが憎い」とか、「ヴィンテージの存在が気に入らない」といった理由から、現行品を主に使う人たちとの対立を煽る、所謂「対立煽り」であると考えるのが、まぁ妥当ではないでしょうか。

音楽というのは不思議なもので、「どんな楽器を使っている音楽なのか」という部分は、その音楽の精神性を表す要素でもあります。
カントリーミュージックにバリバリの変形ソリッドギターを使う人は珍しいでしょう。
ステレオタイプなイメージで言うと、リッケンやグレッチの箱ものが多い印象が強い方が多いのでは?

ツイート主がどんな音楽をやっているのかは存じ上げませんが、恐らくはこういった精神性が「ヴィンテージを使う音楽」と対を為すものなのでしょう。
そして、そういった精神性は時に憎悪すら生むのです。
パンクとメタルの仲が悪いといったような。
これは偏に「音楽の暗黒面」と呼べるのではないでしょうか。
暗黒面に落ちぬよう、他人事と考えずに気を付けていきたいものです。

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