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令和5年(2023年)統一地方選を振り返って

こんばんは。今日もお疲れ様です。

先月の話ですが、4年に一度の統一地方選が終わりました。

世の中ではまだまだ、諸事情により先月一緒に実施できず、今月14日に
告示、5月21日が投票日となる足立区議会議員選挙、6月にも東京都議会議員補欠選挙が大田区で実施されますが、ここで、今回の統一地方選を振り
返ってみたいと思います。

自分の考えばかり述べても意味ありませんので、妥当と思える世間の記事を紹介しつつ、それをベースに話をまとめます。

0.数字と数値のおさらい

新聞社大手や報道機関の記事でも、デタラメな数字を挙げて読者を惑わせるトンでも記事が見受けられる状況ですので、まず最初に間違えやすい数字と数値のおさらいを簡単にさせて頂きます。

まず、議席についてです。
改選前議席数: 選挙の前の議席数です。選挙の前の議員数に等しい場合が多いです。議員の辞任、途中引退、死去とかの場合で、補欠選挙や繰り上げ当選を事前に実施しなかった場合、改選前議席数と改選前議員数が等しく
ない場合があります。とある政党が議席を増やした、減らした、という
議論を行う場合、その政党の改選前議席数と改選後議席数を比較して
いないと、意味がありません。

次に、「立候補者数」≠「議員数」でないので、そこも整理しておきます。
立候補者擁立数: 党勢拡大を狙う政党は、現行の議員より多くの立候補者を立てようとします。そんな政党の場合、立候補者擁立数≧改選前議員数と
なります。立候補者擁立数には、まだ議員になってない、新人立候補者や
捲土重来=再選を狙う元職が含まれます。
当選議員数: 選挙で当選した議員数です。とある政党が議席を増やした、という場合、当選議員数>改選前議員数となった、ということです。

おさらいの最後に、投票数と投票率も整理しておきます。
投票数: 本稿では、選挙管理委員会が認めた数値を指します。つまり、
無効票の扱いが済んでる投票数のことです。無効票とは、例えば山口那津男公明党代表・参議院議員に一票と投じた人が、「山口夏男」とか誤記して
投票してしまった場合、これは残念ながら1票になりません。なりませんが、ゼロ票にもしてない様で、0.689票とかにしている様です。
なお、令和元年(2019年)の参議院議員選挙では、実際には山口那津男議員の名前を書き損なった人は、素晴らしいことに一人も居なかった様ですが、
自民党丸川珠代参議院議員の名前を書き間違った人は、僅かかもですが、
実際に居た模様です。
投票率: 有権者のうち、どれ位の割合いの人が投票したのか、を表す数値です。

無効票の定義については、Wikipediaの記述をご参照ください。

1.共産が減

最初にお断りしておきますが、私は共産党が嫌い、という訳では
ありません。
現住所に引っ越してくるまでは、最寄り駅で週一回駅頭していた共産党市議に、「この人は偉いな」と思って選挙の度に投票していました。
但し、国会議員秘書になって投票データを分析するにつけ、私の様な投票
行動をする人は全国でも稀、ということに気づいてしまいましたし、そしてなにより、自分が選挙に出馬した時は、明らかに共産党支援者からの行動
としか考えられない選挙妨害を、あからさまに何度も受けてもいました。

好き嫌い以前に、法令違反すれすれの行為を組織的に行う集団とは、袂を
分かつべきだと思うのです。

共産党は、改選前議席数は、全国で1,214議席あったらしいのですが、統一
地方選で135議席減らし、当選議員数を1,079人に減らしました。

朝日新聞が、『苦境の共産、退潮続く 統一地方選で135議席減、除名騒動も影響か』という有料記事を、4月28日にアップしました。
改選前議席数を記述してない時点でこの記事は落第ですが、その記事が他の記載した数値では正しく伝えているという前提で挙げています。

共産は今回選挙があった全国の議員選に計1396人を擁立し、当選は1079人(推薦含む)。選挙前に有していた議席を全体で135、中でも市区町村の議席で100弱減らした。

苦境の共産、退潮続く 統一地方選で135議席減、除名騒動も影響か [統一地方選挙2023] [共産]:朝日新聞デジタル (asahi.com)

ただ、「1,079人」には「推薦を含む」とありますから、実際の党勢を正しく記述していません。ちゃんと調べてから、有料記事にするのが筋でしょう。
有料の記事のくせに、お金払う価値なさそうですね。

おまけに4桁以上の人数を表記するのに、カンマ区切りも入れてません。
読みづらいこと、この上もありません。

実際に推薦を含むなら、共産党から推薦もらって当選していた議員の数位は大まかにでも把握すべきですね。
そうでないと、正確な議論ができません。

朝日新聞の方が、よっぽど退潮続いてるなとしか思えませんが、本題に戻ります。

「推薦を含む1,079人」ですが、実際のところは共産党所属でもないのに
共産党から推薦もらって当選した候補はそれほど多くないのが実態でしょうから、本稿では無視させて頂き、当選者数=1,079人で議論させて頂きます。

立候補者擁立数が、改選前議席数1,214席より172多い1,396人だったと云う点、私はここに共産党の現状が色濃く出ていると思います。
「172」は、「1,396」に対して14.1%。この比率は、共産党が新陳代謝を
積極的に図れない組織なのだ、ということを如実に示しています。

先日の私の投稿でご説明しました通り、共産党は、公明党と同じく、少なくとも地方議会選挙においては、党員とその歴代支援者以外の外部票を獲得
できないので、現役議員への票の割り振りを木目細かく実施することに
よって、議席の確保に努めています。

東京都八王子市では、今回の市議会議員選挙の当落ボーダーラインは3,000票
でした。共産党の4人の現役議員は、全員3,580票から3,200票の間に固まって並んでいます。

株式会社タウンニュース社が発行するタウンニュースより抜粋

もし、より多くの八王子市市民が投票してたら、この4人も危ないところ
でした。

正確に云うと、選挙に行く人が増えても、立候補者数は増えませんから、
今回、八王子の有権者約46万人のうち、選挙に行かなかった人が56.16%も居ました。概算で、263,000人です。

今回、八王子市では58人立候補しましたから、公明党候補10人と共産党候補4人を除く候補者数は44人です。
仮に、もしこの263,000人が全員反省して投票に来て、公明党や共産党の
候補でない人に投票したら、どうなっていたでしょう?
答えは簡単に計算できますよね。
263,000 ÷ 44 = 5,977
ですから、公明党と共産党以外の各候補が、約6,000票ずつ獲得することになります。

当然その分だけ当落ボーダーラインが上がり、4人の共産党所属議員は全員落選してますね。

現実的には、この263,000人が全員反省することは残念ながら私が上記投稿で提案した制度改革を実施しない限りないですので、選挙に行く人が増えても微増、という状況しか実現できないでしょう。まぁその場合は、共産党は事前の割り振りを行い、4名から1名絞って3名に立候補者数を減らせば、
それぞれ4,400票ずつ獲得できる計算になりますので、当落ボーダーラインがそれ以下であれば、3議席とも確保できる訳です。

つまり党勢の退潮を、票読みと票の割り振りで補って対応している、ということです。

なお、わが国の自治体数は、1,724+特別区 23+都道府県47=1,794です
から、当選議員数1,079人ということは、共産党所属議員の全く居ない自治体が少なくとも715自治体になった、ということです。

立憲民主党の一部が(あるいは全部が)、それでも共産党にすり寄ろうとするのは、立憲民主党が出来ないことを共産党が出来るからでしょうかね?
それとも単純に、立憲民主党の人達は、学校や政治家になる前の職場で、
統計学の考え方や論理的思考能力を鍛える訓練を積んでなかったので
しょうか。
いや、自分たちが例え無学であっても、自分たちの戦略・戦術が正しいか
とかより良い方針・方法はないかとか、識者に相談すればいいだけの話だと思うのですがね。

ただ最後に、共産党の組織力をご紹介しますと、彼らはその機関紙赤旗に、選挙直後に次の資料を入れてきたそうです。

赤旗に折り込まれていた資料より

共産党、自民党、公明党、立憲民主党が揃って得票数を減らす中、維新、
れいわ、参政党、都民ファースト、国民民主党に票がいってます。
維新は、新宿区=東京1区で前回衆院選で新人が比例当選してましたから、
それを梃にして支援・支持を増やしたのでしょう。
ただ、改選35議席、総計60議席のうち、獲得できたのはたったの2議席
だけでした。成果としては、月並みです。

2.維新が躍進(?)

次に、そのまま日本維新の会の全体結果を見てみましょう。

統一地方選挙の前半戦で、日本維新の会と大阪維新の会は、41道府県議会議員選挙のうち、18の道府県であわせて124議席を獲得し、選挙前の59議席から倍以上に増やした。
迎えた後半戦。
「東京での地盤づくり」として、首都・東京で行われた区市町議会議員選挙には、あわせて70人の候補者を擁立し、67人が当選した。

統一地方選挙 なぜ東京で「維新」の勢力拡大? | NHK

NHKは、画像ありきの文章を書いているのでしょうから、テキストだけ書かれていてもダラダラで読みづらいったらありません。

おまけに、統一地方選の前半戦では改選前議席数と改選後議席数、後半戦
では東京都内の立候補擁立数と当選議員数しか挙げてないので、それぞれ
合計できません。

NHK、朝日新聞よりダメですね。

NHK党でなくても、受信料返して欲しくなります。
まぁでも、前半戦のうち41道府県議会選挙で、議席が得られたのはたったの18道府県だけ、ということがまず判ります。
その事実だけ見れば、躍進とはとても言えません。
が、そのたった18道府県の中では改選前議席数59から改選後議席数124まで増やしたその部分だけとってみれば、躍進と言えなくもありません。
が、そもそも、都道府県議員総数って、何名か知ってます、NHKさん?

答えは

Microsoft Bingで、「全国の地方議会議員総数」と入力すると、これが表示されます。

ですので、124人というのは全体の4.77%に過ぎません。
自民党と比べて、1/10未満です。
「124人まで増やした」から、一体どうだって言うのでしょうか?

なお、Microsoft Bingもいい加減でありまして、「全国の地方議会議員総数」と入力したのだから、都道府県議会議員定数だけ出してくるなよ、と
言いたいところではあります。で、検索結果のページを隈なく探すと、33,529人、という数字が見つかります。

33,529人には、都道府県議会議員数が含まれてますので念のため。
このブログを書かれた方は、全国都道府県議会HP全国町村議会議長会HPを参照されたと出典を明記されてます。

日本維新の会の馬場代表は、目標600人に対して774人当選させた訳です
から、それって凄いな~とうっかり思いがちですが、33,529人のうちの774人って、たったの2.3%ですけど。
そう考えれば、よっぽどの要因でこの数字が次は数十倍に増えるとかいうことでもない限り、地方議会における日本維新の会の存在は、ほぼ無視していい筈です。

さらに云えば、今回共産党は当選議員数を1,079人に減らしていますが、維新はそれと比べても305人少ないですよね。

もっと云うと、全国の1,794自治体の中で、維新所属の議員が一人も居ない
自治体は、少なくとも1,000自治体以上もまだある、
ということです。

ちなみに東京都八王子市では、維新の立候補者はゼロでした。

まぁ、NHKに限らず、読売新聞なんかも、馬場代表が地方議員600人にする目標を達成したことは判るのですが、改選前議席数を報道してません。

無論、774人という数字を日本全体の数字と比較できないでビビってる
政治家ばかりだと、この数字も一人歩きを始められるかも知れません。

皆さん、少し冷静に、かつもっと良く考えて議論すればよいと思います。

ただ、報道機関を地方局まで広げると、ようやく欲しい数値が見つかり
ました。
でも、この数値が正しいのか疑問です。

関西テレビのニュースサイトでは、目標だった600人は、改選前の約1.5倍
だったそうです。

そこから計算すると、774人当選は、改選前の1.94倍ですね。
774÷(600÷1.5)=1.935
でも、今はどこかに行ってしまいましたが、「約1.7倍」と報道していた機関もあり、どれかが違っているようです。
1.94倍がもし正しいのなら、いっそ「約2倍になった」と報道した方が、
より強烈で判り易いですし。
でも、全体の数と比較すれば、やはりたったの2.3%しかないです。

そして、東京都区内で47議席を維新が取ったといっても、立候補擁立者数
49人からすれば立派な成績ではありますが、23区の8年前の議員定数総数は902人でしたから、2.3%よりちょっと多い全体の5.2%を取ったことに
なります。
(下記のサイトから、電卓叩いて集計)

この数字にしても、吉村洋文共同代表を徹底的に投入したにしては、全体に何か影響を与えうるものとは、到底考えられません。
またその効果が国政選挙に出てくるのは、楽観的に見ても、早くても
来年かそれ以降でしょうから、その前に解散総選挙が行われたら、効果は
出ないことになります。

なお、この部分は、もう少しマシな内容の記事を見つけたら、NHKとか読売新聞は放って置いて、そちらの記事をご紹介したいと思います。
日本のメディアですと、あまり期待はできそうもないですが。

3.躍進したのは女性議員

維新以外の政党については本稿では言及しませんが、結局躍進したのは女性議員数だけ、という結論になります。

こちらも、道府県議会に絞った記事しかまだ見当たりませんが、ロイターが配信した共同通信の報道記事があります。

「政治分野の男女共同参画推進法」施行から5年。統一選候補者の女性割合を「25年までに35%」とする政府目標に対し、道府県議選の候補者は
15%に過ぎず、女性の議会進出へ底上げが求められる。

上記の共同通信記事より

引用した文章の指摘通りですが、何かもっと具体的な策を講じない限り、
諸外国並みの女性議員比率を達成するのは難しいだろうなと思います。

そのための代案ですか?簡単です。
政党助成金を削って、その分女性候補者が多かった自治体に、使用使途を
制限しない地方交付金枠を増額して払えばいいと思います。女性議員一人につき、その政務活動費を国が全額負担するとか。

では、また。

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