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愛とは行動すること。強き麗しの妖精・オードリー・へプバーン

美しさについて学べば学ぶほど、それは日々の行動と思考の積み重ねであり、内なるものだと(厳しいけど)思う。ファッションとは移り変わるものなのだが、ここのところ、一過性の美には、興味が持てない。そう思ったら今書くべき女優は、オードリー・ヘプバーンしかいなかった。

ファッションを最大限魅力的に着こなせる女優として、軽快なものから思慮深いシックなものまで、『ローマの休日』『パリの恋人』『ティファニーで朝食を』など、どれだけ見たかわからない。旬な誌面にもファッションのお手本として、いまだ映画の名シーンが載る。

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けれど彼女の本当の魅力は、そこだけではない。1980年代の後半彼女は、ユニセフ親善大使としての活動を始め、人生最後の10年間、同じ空を持つこの世界に、「こんなに悲惨な子供たちがいて飢えている」という事実を、自身のことばで頻繁に訴えた。

彼女があまりにもお洒落で、コミカルな台詞が似合い、スレンダーな姿と顔立ちが今の流行にぴったりなので、アンネ・フランクと同年齢で、戦中同じオランダにいたという事実がピンとこない。同じ苦難を経験していて、アンネが知ることのできなかった「終戦」という喜びを知っていて、その直後に助けられたユニセフを、最後の活動の場に選んだという女性なのだ。

一過性ではないということは、行動し続けるということ。人生のどこを切っても、言動に芯があり、同じ精神を貫いているということ。「奇跡を信じない人は、現実主義者とは言えません」と、さらに悲惨な地域への活動を続けた。なんとした強さか。“永遠の妖精”と呼ばれ続けている所以。

カメラマンであるセシル・ビートンの言葉が印象的だ。“知的で反応が速く、憂いを秘めているけれど情熱的で、気取りがないけれども如才なく、うぬぼれていないが自信に満ち、センチメンタルでないけれども優しい。”これはきっと、映画『マイ・フェア・レディ』(1964)のころの彼女を語ったものだと思うが、生涯を通じて、内から美しく行動の伴った女性として、永遠のお手本なのである。

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