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実録ICT支援員「ライブ配信禁止」

 夏休みは部活動の季節。しかし、コロナ陽性や濃厚接触者になったために郡大会に出られない生徒が結構出ている。親切な教師が試合のライブ配信を思いついた。しかし、ライブ配信は禁止である。
「授業のライブ配信は実施しているし、部活の試合を写真や動画撮影してもいいのに、何故いけない?」
学校では基本的にインターネット上に写真・動画をアップするのを全て禁じている。授業のライブ配信は保護者も了解しているから禁止ではない。また、部活の試合を動画に撮るのはネットにアップしていないからOKだそうだが、試合のライブ配信は両チーム保護者の了承を取っていないから禁止だそうだ。
 私にはこの説明で納得できる人ばかりなのが不思議である。MEETやZoomを使った配信はミーティングIDとパスワードが分からなければ見ることができない。YouTubeでも公開せずに限定公開ができる。
「URLを知らなければ何も見ることができない。」
「映像を含めたデータを共有(SHARE)する時代に入ったことが理解できていない。」
学校管理者はミーティングIDや限定公開の意味を全く信頼しようとしない。スマホが出始めた頃のLINE等のSNSによるいじめ事件のアレルギーばかりでネットの便利さや有効性や気密性を理解しようとしない。使わなければ問題は起きないのは確かだが、使わなければコンピュータやタブレットを使う意味がない。
 Googleはアプリとデータが共有できる利点から広まった。学校でGoogle Work Spaceを導入したのはGドライブやネット上のアプリを使ってデータを共有するためである。共有するためには教師と教師、生徒と生徒、教師と生徒がつながらないと意味がない。それなのに、生徒間通信を禁止したり、MEETで動画配信を禁止していては導入している意味がない。共有の意味とコンピュータの正しい使い方を教えずに出来るだけ使わせないようにしている。
 ライセンス期間が過ぎて教室の電子黒板からOfficeが消えた。PowerPointが使えなくなった。Googleドキュメント・スプレッドシート・スライドはWORD・EXCEL・PowerPointと互換性があると言う根拠で「Office」は再インストールしてもらえなかった。100%の互換性はないけれども大して困らないだろうと予想したら、職員室のOfficeの入っている校務パソコンを教室に運んでHDMI端子で電子黒板に接続する教員がたくさん出てきた。成績などのデータはサーバに入っているから個人情報が漏れる心配は小さい。しかし、現場の実態は校務パソコンのデスクトップに成績を置いている者も多い。それでも成績表が生徒に漏れる可能性は少ないから黙認されている。昔、コンピュータをスタンドアロンと呼ばれる独立した単体で利用していた。職員の多くの意識もあの頃と変わっていない。
「ネットワークの意味はコンピュータとコンピュータをつなぐことである。」
コンピュータを使って人と人がつながることである。制限をかけるのではなく正しい使い方を指導する方向に進んでほしいと思う。

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