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実録ICT支援員「CDラジカセ」

 現代的で稀な職業をしている。立派な職業だが私の場合は派遣社員でアルバイトです。中学校でのICT支援員がどんな仕事をしているかは意外と知られていない。中学校職員室の仕事内容も合わせてお伝えしよう。
 最近、音楽用CDをロイロノートに入れる仕事が増えました。タブレットのストレージ(ハードディスク)に入れるのではなく、ネットドライブであるGドライブやロイロノートに入れてタブレットを使えばラジカセを持ち運ぶ必要がなくなる。学校にあるCDラジカセ数十台は英語科と音楽科と体育科の授業とテストなどで使っていた。あるいは今も使っている。タブレットが導入されBluetooth対応のスピーカーで音を流す教員も増えたが、Bluetoothスピーカーは学校に数台しかない。だから合唱祭の練習になるとパート別練習のため出力の大きいCDラジカセの出番となり、前からあるパート別の音源が録音してあるCDを使う。だが新しい曲だとCDがないのでダビングを頼まれる。ところが最近の学校には書き込みのできるCDデッキがない。校務パソコンに付属しているCDデッキは費用削減のため再生専用である。コンピュータ室の教師用パソコンのCDドライブだけが唯一書き込みができるので、頼まれれば授業のない時間を見つけて私が1時間以上かけて数枚をダビングする。もうCDの時代ではないと数年前から言ってきたが、それが理解できずに今まで馴染んできたCDを使いたがる。そうであってもタブレットに慣れクラウドドライブの便利さに気づいてCD音源をネットに上げる仕事も増えてきた。
 CD音源をネットにあげるのは私の仕事である。合唱練習ではタブレットだけでは音量不足だからと言ってラジカセにCDを入れて使う。そして、またしてもダビングの要求がやってくる。しかし,ここで少しばかりの反論を試みる。
「ラジカセのAUX端子とタブレットのphone端子を繋ぐとCD使わなくて大きな音が出ますよ。なんと言っても、接続に必要なコードは千円以内で買えますよ。」
こんなアドバイスも私の仕事である。最近やっとこの辺りまできた。タブレットとラジカセのAUX端子の接続の仕方が分からずに呼ばれたり、タブレットのロック機能が2,3分で働いてしまい、画面が消えて音が出なくなったりして、原因がわからず質問を受けたり、授業中に呼ばれたりする。この苦労も最初だけだと思って呼ばれる機会を楽しんでいる。そして、これらのトラブルは一度経験すれば2度目からは先生たちで対処できる様になる。こうなるように指導するのが元教師であるICT支援員の仕事である。

 iPadを使っていてもiCloudは使えない様に設定してある。当然、ゲームなどをインストールするアプリストア(app store)は使えない様になっている。音楽ならiTunesが使いたいところだが、これも許可されていない。フィルターが幾重にもかかっているので、極端に遅くなったりフリーズすることも起こる。また、ネットが繋がらないことも起こる。便利な機械に色々な制限をかけて使っていることによる障害は頻繁に現れる。特に厄介なのはOSのバージョンアップだ。制限がかかっているので手動で行う。生徒へ説明する動画や手順書を作る。学校で一度に行えばWi-Fiが止まって授業に支障をきたすから夏休みに持ち帰った時に家庭のWi-Fiで実行してもらう。Wi-Fiのない家庭には市がモバイルWi-Fiを 無料で貸し出す。これも結構な金額だと思う。また、夏休みにiPad用電源コードがない家庭には学校のものを貸し出す。希望を取り名簿を作って一台ずつ封筒に入れるのも支援員の仕事だ。こんな仕事を忙しい時期の教員ができる訳がない。
 私が勤務しているもう一つの市ではOSのバージョンアップも卒業生のiPadの初期化も全て業者が回収して行う。そして,こちらの市ではWi-Fiを使わずに4Gの回線を利用している。つまり、iPadすべてに通信料金が発生して市が負担している。そんな状況の支援員は週一日勤務でも時間が余る。一方の市は支援員を週2.5ほど勤務させてWi-Fiを使う。果たしてどちらが得策かは私では判断ができない。

 今日は珍しく個人的な意見を書かずにICT支援員の身の回りに起こっている事実だけを記した。

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