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水底から

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藤盛槐第二詩集。2012年発行。 装丁:阿部拓也 売上の2割を被災者支援団体に寄付します。
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水底から 序に代えて

水底から 序に代えて

はるか頭上の水面の上に

泡(あぶく)がひとつ

浮き上がっていった。

微かに届く陽光の線条の中で、

その泡は時折きらきらと

自らを煌めかせ、

鬱蒼と繁茂する藻の間を縫いながら、

濃緑色の海底から浮上していく。

けれどもはやそれを笑うクラムボンはなく、

生命の息吹も感じられない静けさだけが、

それを見守っていた。

瞑(くら)がり……

水底から

冥王(プルートゥ)のその声を泡と

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(献辞)

(献辞)

すべての犠牲者に捧ぐ
――祈りとともに。