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ロッテに入団したアデイニー・エチェバリアの成績を予想する

 アデイニー・エチェバリアがロッテに入団するということが確定したようです。まあそんな感じで今日はエチェバリアの成績を予想する記事を書いていきたいと思います。

 前回のルスネイ・カスティーヨの記事はこちらです。

1.はじめに

 アデイニー・エチェバリアはキューバ出身の内野手ですがアメリカに亡命してメジャーリーガーとなりました。エチェバリアは一体どんなプレーヤーなのでしょうか。

 動画でも同じような話をしているのでそっちも見ていただければと思います。

2.基本データ

 エチェバリアは2009年にアメリカに亡命しました。20歳にして亡命するという決断をするというのは個人的にすごいなと思います。1989年4月15日生まれの31歳で来年には32歳になります。右投げ右打ちの内野手でメジャーリーグでは922試合に出場し37本塁打を記録しました。メジャー通算778安打を記録するなど実績は十分です。キューバでは若くしてショートで起用されるなどその守備力が高く評価される選手でした。
 ロッテは藤岡裕大がショートとして起用されていましたが打率.229と十分な結果を残したとは言いづらく、ショートのオプションの一つとしてエチェバリアを獲得したと思われます。

 個人的にエチェバリアの記憶というとこのバット投げのイメージが強いです。バット投げの美しさでいうと個人的にはエチェバリアというイメージがあり、日本でもこの美しいバット投げを見たいところです。

3.通算成績

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 通算成績ですがここ7年はずっとメジャーを主戦場にしており、多くの実績を残しています。しかし打撃能力についてはやはりショートということもあり特筆した部分はあまりないというところです。キューバ出身らしくフォアボールをあまり選ばず積極的に打っていくというスタイルは2020年のエスコバーを彷彿とさせるバッティングスタイルです。

 井口監督はエチェバリアに対し20HRを期待しているようですがメジャーで二桁本塁打を打ったことはなく、長打力を期待するのは少し酷ではないかという感じもあります。一方2017年から2019年までの3年間は長打力が少し向上しており、フライボールレボリューションによって長打力が向上した可能性があります。それでもメジャーで年間10HRぐらいのペースであることに変わりはなく、2019年はホームランが非常に増えていますがその数字をどこまで信頼できるかというところには疑問符がつきます。結局2020年はホームランを一本も打つことができず、残念な数字に終わってしまいました。

4.打球の傾向

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 2018年から打球に角度が少し付き始め、これが長打力向上に貢献していると思われます。バレル率も2019年には過去最高を記録しましたが2020年は逆に0となってしまい、これが長打力不足につながったと考えられます。特に2020年は打球速度が低下しており、ボールを捉えることができなかったと言えるでしょう。同時に95mph以上の打球の割合をしめすHardHit%も2020年は低下しており、これらの数字をいかに改善できるかというところが大事な要素になってくるでしょう。

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 やはりゴロの多いタイプの選手で基本的にコンタクトヒッターらしい部分があります。ラインドライブの割合もあまり多くはなく、ゴロでヒットを打つタイプの選手と言えそうです。しかしやはり2018年からフライの割合が上昇していてこれが長打力上昇の原因といえるでしょう。HR/FBに関しても低い数字に終わっていてパワーという部分を期待するのは難しそうです。

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 キャリア当初は逆方向への打球の割合が非常に多く、引っ張りよりも逆方向への打球の方が多いという特徴的な選手でした。しかし長打力が上昇して以降は引っ張り方向への打球が増加し、2019年には過去最高となる41%を記録、結果として広角に打ち分けることができるタイプとなったといえるでしょう。センター方向への打球の割合も減少傾向にあり、引っ張りと流し打ちの両翼に打ち分けるタイプとなったと言えるでしょう。

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 このように引っ張り方向の外野への打球の少なさはかなり気になる部分です。ただホームランはひっぱり方向が多い傾向にあります。

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 やはり左に強い傾向にあり、左相手にはフォアボールが増えることもあり左投手をかなり得意にしていると言えるでしょう。

5.球種

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 通算では速球に対する対応力に少し懸念があり、直球への対策は問題となりうる部分ですがNPBは平均球速が落ちることもありまだなんとかなる余地を残しています。他の変化球に対してはチェンジアップやカーブといった緩い変化球には対応できているといえます。フォークに対してはポジティブな数字が残っていますが日本はフォークボーラーが多く日本のフォークに対してどこまで対応できるかは不明です。スライダーに対しても不安があり、こういった変化球への対応力が気になる部分です。

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 フォアボールを選ばないバッターなのでボール球に対しても積極的に振っていきますが、コンタクト率は高くやはり今年のエスコバーを彷彿とさせる感じです。初球からどんどん振っていくスタイルであり、出塁率という数字は伸び悩むと思われます。

6.コース

 今回は2019年と2020年のゾーン双方を貼っていきたいと思います。まあなんというか2020年は出場試合があまり多くないという部分などもあり、2019年のものと合わせて考えていこうということです。

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 ボールゾーンの球もどんどん振っている傾向は顕著ですがアウトローに対しては我慢ができており外スラ問題に対しては我慢ができる余地があると言えます。

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 全体的に高めのゾーンに苦手コースがあると言え、ストライクゾーン内であっても比較的空振りが気になるコースです。ボールゾーンでは低めも不安があり、積極的に打っていくタイプのバッターなだけにここは不安です。

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 2020年の数字は正直微妙なのでなんとも言えませんが、2019年の数字について触れていくとインローとアウトハイに極端に分かれているという印象です。一方インハイに弱点があり、インハイの直球への対応が課題となりそうです。アウトロー(ストライクゾーン)のコンタクト率は高いのでなんとかなりますがアウトローのボール球についてはコンタクト率に不安があり、外スラへの対処も問題になってくると思われます。

7.走力

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 sprint speedについてはメジャー平均を上回る走力を記録していた時期もありましたが少しずつ低下しており、機動力と守備範囲には不安があるかもしれません。
 盗塁という点でもメジャー通算で盗塁成功率が低くそういった点での機動力は厳しそうです。しかし三塁打は比較的多い打者で走塁能力は高い部分があると言えるでしょう。

8.守備位置

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 メジャーリーグではスタメンショートを任されていた期間が長くショート任せるにあたっての経験値は問題なさそうです。2015年はDRS+12、UZR+10.6と非常に高い守備力を見せています。しかしショートとしての出場機会は近年減少しており、守備指標についても低下しています。
 最近よく守っているセカンドについては以前より指標があまり良くなく、セカンドは不慣れなのか微妙な数字です。
 サードとしてもあまり数字は良くない部分があり、個人的にはショートに期待したい部分ではあります。
 そして守備面の不安ではエラーの部分で、送球エラーが気になる選手です。送球の不安定さを考えると一塁手の守備力も重要になってくると思われます。

 年齢的にも32歳でありショートを任せる価値はあるのではないかと思われます。藤岡選手の守備力も今のところNPBで平均的なショートと言え、エチェバリアと比較して特筆して守備が高いとは言えません。よってエチェバリアにはショートを期待したいと思います。

9.成績予想

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成績予想 140試合/11HR/打率.252/出塁率.303/IsoD.051/長打率.384/IsoP.132/OPS.687

 今回の予想についてはメジャーリーグの数字をもとに年齢とパークファクターを加味した数字となっています。井口監督は20HRを期待していましたが個人的には10HRが期待できるかなという感じです。ただここ数年の打撃スタイルの変更で長打力がアップしたと考えれば15HRぐらいまでは期待できる余地があると思われます。

 積極的に打つバッターなので出塁率はどうしても伸びない傾向にあります。こういうタイプのバッターは長打力がないとなかなか警戒されず数字が伸びない部分があり、エチェバリアもエスコバーとならないためには長打力が必要となる部分でしょう。
 どうしても打率という部分ではメジャーではあまり高い数字を記録できず、そういった部分でも数字は厳しい数字となります。

 一方でエチェバリアにはショートを守ることができるという最大の武器があり、ロッテで言えばクルーズのような魅せる守備ができればそれだけで客を集めることができる選手となるでしょう。そういったメジャー級の魅せる守備を彼には期待したいところです。
 ロッテのマーティンはNPBに来たことでその長打力が覚醒し長距離砲として君臨しています。そういった覚醒があればエチェバリアがリーグ最高のショートになる可能性はあるかもしれません。

 そんな感じのロッテが補強したアデイニー・エチェバリアの記事でした。

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