蚊取り線香「パワー森林香」の安全性と効果

エビデンスを求めて三千里、着太郎 (@192study) です。

今度のお盆に一緒に #ゆるゆるお父さんキャンプ をする予定のダチ (@dachi100cm) さんに呼ばれたので調べてみました。

富士錦 パワー森林香

まず商品を確認してみます。株式会社児玉兄弟商会の「パワー森林香」という商品のようです。

成分
 メトフルトリン
適用害虫
 ユスリカ、チョウバエ、アブ

記載されている適用害虫にはブヨは含まれていないようですが、法律の関係で含まれないケースもあるようなので、要調査。

独立行政法人医薬品医療機器総合機構により医薬部外品として承認されたイカリジン審査報告書に忌避効果の対象にはブヨの記載があります。具体的な商品は「最新虫除け成分「イカリジン」を含む商品のコスパ比較」で検討していますのでそちらをご覧ください。

メトフルトリンとは

せっかくなのでメトフルトリンという成分について調べてみました。
日本企業が開発した新しい蚊取り線香の成分のようです。

久保田ら(2004). 新規殺虫原体メトフルトリンを含有した自然蒸散製剤及び蚊取線香製剤のマレーシアにおける実用効力試験. 衛生動物 55巻, Supplement号, p.65.

メトフルトリン(Metofluthrin,開発コードS−1264,商品名エミネンス)は住友化学工業が開発を進めている新規ピレスロイド剤である.本剤は特に蚊に対して卓越したノックダウン効果殺虫効果を有するとともに哺乳動物に対しては高い安全性を有する.

氏原ら(2008). 家庭用殺虫剤メトフルトリンの開発. 日本農薬学会誌 33巻, 2号, p.190-195.

最も古典的な合成ピレスロイドであるアレスリンは,いまだに毒性や使用上
の問題なしに蚊の吸血を防止する殺虫剤
として使用され続けている.
合成ピレスロイドを使用した最もポピュラーで歴史の長い製剤は蚊取り線香であり,蚊取りマットリキッド製剤がこれに続く.いわゆるノックダウン剤と呼ばれるアレスリン,ピレトリン,プラレトリンなどのピレスロイドがこれらの蚊取り剤に使用されている.
メトフルトリンは上記のノックダウン剤のグループに属するが,従来のノックダウン剤には見られないユニークな特性を持っている.その最も主たる特徴は,アレスリンの2倍以上,ペルメトリンの100倍以上の高い蒸気圧で,この高い蒸気圧によりメトフルトリンは大きな加熱エネルギーなしに蒸散させることができる.もう一つの特徴は,アレスリンの28‒79倍にも達する高い殺虫効力である.メトフルトリンのこの2つの特徴は,低コストで長期間の効力を持続させることができ,しかも蒸散のための外部エネルギーを必要としない新しい蚊防除剤の開発を可能にした.

メトフルトリンの安全性

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日本家庭用殺虫剤工業会の「家庭用殺虫剤概論Ⅲ」によれば、メトフルトリンの安全性は上記の通り。

蚊取り線香の代名詞「金鳥の渦巻」の有効成分「dl・d-T80-アレスリン」と比較すると、経口毒性は ≧2,000mg/kg と 900〜2,150mg/kg なので同等かより安全性は高い、経皮毒性は >2,000mg/kg と 2,660〜4,390mg/kg なのでやや劣るくらいのようです。

メトフルトリンの効果

画像2

日本家庭用殺虫剤工業会の「家庭用殺虫剤概論Ⅲ」によれば、メトフルトリンの効力は上記の通り。

蚊取り線香の「金鳥の渦巻」の有効成分「dl・d-T80-アレスリン」と比較すると、同量でより効果が高いようです。

メトフルトリンを含む製品

ライオンかとりせんこう (ライオンケミカル株式会社)
ライオンケミカルの「ライオンかとりせんこう」はメトフルトリンが0.03%含まれるようです。

蚊がいなくなるスプレー (大日本除虫菊株式会社)
大日本除虫菊(KINCHO)の「蚊がいなくなるスプレー」はメトフルトリンが原液100mLあたり15.8w/v%含まれるようです。

Wトラップ ワンプッシュ蚊取り 空間ガード (ライオンケミカル株式会社)
ライオンケミカルの「Wトラップ ワンプッシュ蚊取り 空間ガード」は1本52mLあたりメトフルトリンが1.30g含まれるようです。

ヤブ蚊・マダニスプレー (住友化学園芸)

STRONTEC KA・KO・I (住友化学)

STRONTEC (住友化学)

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