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『論点・西洋史学』を使った授業 ~ローマ帝国はなぜ滅びたか~


 今回のブログは、ミネルヴァ書房の『論点・西洋史学』をつかった高校世界史の授業の第二弾である。「ローマ帝国はなぜ滅びたか」という、伝統的でいまだに議論が続いている問いについて、ジグソー法を活用して高校生に考えてもらおうとするのが今回の授業実践の狙いだ。なお、ジグソー法(知識構成型ジグソー法)については、東京大学 CoREFのHPが詳しい。


 資料Aは、帝国滅亡の原因を帝国の外側(「蛮族」の侵入など)に求める外因論が理解できるように用意した。教科書のゲルマン人の大移動についての地図と記述、『論点・西洋史学』から外因論について述べている個所を掲載した。

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 資料Bは、帝国の衰亡がその膨張とキリスト教によるものであるとする、ギボンの『ローマ帝国衰亡史』から引用した。ギボンは内因論の立場に立っており、資料Aと対照的な位置に資料Bはある。

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  最後の資料Cは『論点・西洋史学』の「3.内因論と外因論の相互影響と衰亡論の今後」から引用した。この節は項目のまとめの部分であり、内因論と外因論はお互いに影響を及ぼし合うものであり、0-100でどちらが正しいというものではない、という近年の研究の潮流を紹介している。資料Aと資料Bの折衷案を提示するのがこの資料Cとなる。


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 以上の資料A~Cを用いて、ローマ帝国が滅びた理由を生徒に考えさせる。古代ローマ世界の講義をおえて、①最初にいま考えている滅亡の理由を書かせる。そして②エキスパート活動として、資料A~Cをおなじ資料をもった生徒同士でグループを作らせて資料の内容について分ったこと/分からなかったことを話し合わせる。
 次に③各々が別々の資料をもった生徒同士で3人1組でグループを作らせて、ジグソー活動に移る。それぞれの資料について説明させて、再び分かったこと/分からなかったことを話し合い、最終的にグループがどの立場をとるかを決めさせる。
 次に④ジグソー活動ででたグループの結論を、クラス全体で共有する。そして最後に、⑤ここまでの活動を振り返って、ローマ帝国滅亡についてのいまの考えを再び書かせる。

 ご意見や感想、資料が欲しい!などありましたら、TwitterのほうにDMいただければと思います。対応します。

ワークシート↓
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