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【感想?レビュー?】パラノマサイト File23 本所七不思議 現代に「蘇った」究極のアドベンチャー(ネタバレ注意!)

こんにちは、なるぼぼです。

3月も中ごろ、様々なゲームが出ている中ですが、とんでもない怪作が出てきてしまいました。
「パラノマサイト File23 本所七不思議」です。
先日ちょっとだけ感想を書いておいたのですが、ここではクリアした状態で、より詳しく感想を書いていこうと思います。

さて、この記事を読むに差し当たって、ネタバレに関する注意を記載しておこうと思います。
本記事にはネタバレが含まれます。
今までもネタバレ記事をいくつか書いてきましたが、このゲームに関しては事前情報を一切入れずに遊んでほしいので、「今気になってるからこの記事読んでみようと思いました!」と思ってる人は、この記事読まずに即刻ゲームを買って遊んでください。
僕はこのゲームは事前情報一切なしでやった方が響くと思います。
何も見ずにゲームを遊んでみてほしいのです。
ゲームを遊ぶ前にこの記事を読むと、作品の魅力が半減し、僕が感じた面白さや衝撃を味わえないと思います。
面白さに関しては確実に保証するので、是非とも買ってください。
2000円とお安いので。ぜひ。

どうしてもネタバレ抜きで情報がという人は、最初の3時間ほどやって書いた簡単な記事があるのでそっちだけ読んでください。

本当にネタバレだけは気を付けてほしい。
僕からのお願いです。





大丈夫そうですか?
もうクリアした人か、やる予定のない人しかいませんね?
後悔しても僕は知りません。




本当によろしいですね?



では行きましょう。


0.ちょっとしたヒント

まず、ネタバレをほんとに避けたいので、念には念を入れて「詰みそうなところの謎のヒント」を書いておこうと思います。
今プレイ中の方、ちょっと参考にしていただければ。

①並垣
彼の声を防ぐ方法はどこかに隠れています。
「遊び方」なんかを見てみるといいんじゃないですかね。

②油性ペンをふやかす
これめちゃくちゃ難しいですが、「待ち合わせ場所に最初についた人たち」の話をよく聞いてみると、ヒントが得られるかもしれません。

③春恵邸、彼女との対話
緊張の一瞬です。
自分から墓穴を掘りに行くようなことは避けましょう。
でも時には負けることも肝心です。

④真エンドのヒント
あの人を止めるためにはどうすればいいか…?
とある場所に戻る必要があるわけですが、晴曼について一度整理してみると何か見えてくるかもしれません。
伝承は嘘つきませんからね。

ヒントに関してはこの辺で。
詰んだところあったらコメントで教えていただければ追記しておきます。

1.蘇った「伝統的」アドベンチャー

まずは本作のジャンルから。
本作は怪異モノを起点としたホラーアドベンチャーゲームです。

本作の特徴として、怪異モノでありながら恐怖シーンにとらわれない、独特な世界観が挙げられます。
舞台は昭和後期の墨田区本所地区周辺になるのですが、工業廃水への言及や地元に根付いた駄菓子屋の存在、高校全入時代による若者の非行など、社会背景も当時に沿った内容で形作られています。
そして、その中にあったオカルトブームの影響をもとにして、江戸時代の逸話から生まれた七不思議と呪いから、物語が進行していきます。

こうした「オカルティズムなホラー」というものは、80~90年代のオカルトブームに直結しており、世代である人は過去の社会と重なるような内容になっています。
また、PS1のアドベンチャーゲームを遊んでいた世代としては、「トワイライトシンドローム」「ムーンライトシンドローム」にあったようなオカルティズムな世界観が重なるようになっており、これまた刺さります。
僕は後者でしたが、当時のオカルトブームのような都市伝説にあやかる人々の存在、怪異の現実性、そういったものがいかにも90年代のホラーアドベンチャーの流行に沿っているようで、「ホントに2023年に出たゲームか?」と思うような世界観になっていました。
ツボだったので最高だったんですけどね。

システム面においても、懐かしいアドベンチャーの雰囲気が残っています。
本作は基本的には選択肢を選んだり、テキストを読み進めたりと、ノベルゲーム的感覚で進行していきますが、時々脱出ゲームのように道具を組み合わせて攻略していくような、アドベンチャー的要素が織り交ざってきます。
その一方で、本作は常にプレイヤーに対して謎が投げかけられているので、ストーリーの本筋としては「誰が黒幕なのか」「誰が危険なのか」というものを追っていくような、推理ゲームとしての様相も含んでいます。
このため、基本的なゲームプレイは、推理を張り巡らせながらストーリーを追う、古典的な推理ゲーム(例えば「オホーツクに消ゆ」など)のようになっています。

そして、この推理ゲーム的要素の補強として、本作は「資料」が用意されています。
この資料は量もえげつないものの、図解や物語の配置、ヒントをさりげなく置くところや当時の社会像の表現まで、幅広く知識を詰め込んでいる読み物です。
しかも、ゲームが進むごとに情報が更新され、より詳しいものになっていくというのも、知的好奇心を刺激します。
ゲームの世界観への没入もさることながら、伝承への理解や用語の確認、人物リストによる背景の描写など、細かなところにも手が入っており、常に更新して情報を追加してくれるので、見逃せない要素でした。

さらに、システムの重要な要素として「オムニバス形式」と「ザッピング」があります。
本作は呪われた人物たちを複数の目線から見ていくことで、ストーリーの流れを俯瞰的に見ることができます。
さらに、あるキャラの選択肢がほかの選択に影響を与えるような、いわゆる「ザッピング」という要素もあります。
この「オムニバス形式」や「ザッピング」は、おそらく「街 ~運命の交差点~」から影響を受けていると思います。
他者の運命が自分の運命を変える、オムニバス形式なのにゲーム的に他人のストーリーを変えられる面白さは、いかにも「街」らしいものです。
スリリングな話や推理ものであるという点を見ると、ある種精神的続編の「428 閉鎖された渋谷で」に近いような気もします。

さて、ここまでリスペクトの話をしてきましたが、本作がすごいのはこうした各要素が絶妙な塩梅で組み合わさっていることにより、新鮮な体験に昇華されているということです。
オムニバス形式になっていることで、元ネタとなるゲームの持っている「らしさ」が絶妙にちょこちょこ出てきて、ゲームの中で顔を出すようになっています。
そのため、どこか懐かしさを感じながらも、それが目まぐるしく変わっていくような、不思議な感覚を体験できます。
僕は特に「トワイライトシンドローム」と「街」のらしさを、それぞれ「逆崎約子編」と「津詰徹生編」から感じていました。
特に約子編はミヲちゃんの雰囲気がもろチサトで、なんとなく秋にプレイした「トワイライトシンドローム」に面影を重ねていたような気がします(実際は性格が結構違ったりするんですけどね…)。

本作は、こうして様々な部分からリスペクトを得ているという印象を強く受けた点がよかったです。
僕は、この時代に90年のアドベンチャーを意識してくれるゲームが出てくれたというだけでとても嬉しいです。
僕がここ2年でPS1のアドベンチャーにかなり惹かれていたので、ここまでハッキリとリスペクトが伝わるゲームが、このタイミングで新規IPとして出ることに感動しました。
本当にうれしいです。

2.現代的な再解釈の面白さ

さて、ここまでの評価だったらこのゲームは単なるおっさんホイホイのアドベンチャー、古臭いゲームです。
しかし、本作のすごいところは「過去のゲームの面白さを取り入れたうえで、トレンドである現代的解釈を加えている」点にもあります。

トレンドである現代的解釈とは何か。
僕は「メタゲーム性」だと思っています。
「Undertale」や「ドキドキ文芸部!」、「Needy Girl Overdose」に代表される最近のストーリー性を持ったインディーゲームは、ゲームキャラがプレイヤーの選択を理解している演出を物語に導入することで、ゲームがこちらに干渉してきているような驚きを与えてくることが増えています。
僕のNoteでも、「Needy Girl Overdose」や「Milkシリーズ」を通じて、こうしたメタゲームの存在について言及しています。
本作は、こうしたトレンドとなるメタゲーム的なシステムを取り入れることで、ノベルゲームやアドベンチャーゲームという、シンプルなゲーム性から脱却した面白さを提供してくれます。

例えば興家彰吾編での並垣との呪い合い。
アドベンチャーゲーム的に並垣と話を進めていくと、並垣は逆上してプレイヤーを呪い殺そうとしてきます。
これをテキスト送りしてしまうと、普通に殺されてしまいます。
並垣は呪影から発した音を聞いた人間を殺すことができるという呪いを持っていました。
対処法など当然わからず、何度もやられていました。

そして死んだあとに、案内人から「この呪いを回避するすべをあなた様はすでに教えてもらっておいででは…?」とヒントをもらえます。
僕は「???」となってしまいましたが、色々なところを読み込み、「遊び方」を見ていたところで驚きの一文を発見します。

「例えば 声を聞こえなくしたい場合は サウンド設定から《ボイス音量》を0にすると良いでしょう。」

そう、システムでボイス音量を0にすることで並垣の呪影が放つ怨念を消し去り、呪殺を回避できるのです。
なんだそのヒントの出し方は…!
頭が爆発するような文章でした。
そのままボイス音量を下げるとなんとゲームが進行。
システムで音量を操作してゲームを進行させるという手法で、攻略の糸口を配置しているのにはぶったまげました。

まさにシステムの妙を生かした戦術ですが、これは「ドキドキ文芸部!」や「One Shot」に見られるような、システムを用いた攻略にあたります。
ここ最近のメタゲームで使われるトレンドの一種なんですね。
プレイヤーを驚かせたり、ストーリーに没入させたり、そういった手合いで使われることの多い技法です。
こうした技法が「古臭い世界観」や「古臭いストーリー」に用いられていることで、「古いのに新しい」という、独特なゲーム感を作り出しています。
これは革命です。本当にすごい。
アドベンチャーゲームの伝統を守りつつも、飽きないような新しい技法を積極的に入れるというのは、とんでもない話です。
すごすぎる。

3.あまりにも完璧な導入

さて、ここまでゲームの新しい部分と古い部分を見てきましたが、ここで少し話を変えて、本作にのめりこむ原因となった「導入の面白さ」をお話していこうと思います。

本作の導入は「興家彰吾編」です。
興家はひょんなことから知り合った福永葉子と共に、七不思議の怪異を調査しに来ました。
そこで彼は霊夜祭に巻き込まれ、呪詛玉「おいてけ堀」を手にします。
彼は呪主の一人として、突然殺された葉子を救うため、呪主同士のデスゲームに巻き込まれていきます。

本作の特徴は、最初に主人公だと思っていた興家がまさかの前座役で(実際には前座役ではないのですが)、物語の根幹を担うのはオムニバスストーリーを紡ぐ「津詰編」「約子編」「春恵編」になっているという点です。
興家はストーリー早々に死亡しゲーム本編から脱落していきます。
それでいて、今まで主人公だと思っていた興家が突如として死んでしまったこと、それもあっけない死に方だったことが、プレイヤーを驚かせるようになっています。
そしてそれが発覚するまでのストーリーの組み立て方も見事です。

興家はストーリー攻略中、デスゲーム的に他の呪主を呪い殺していきます。
最初に呪詛玉の効果がわかることや、チュートリアルとして呪詛の使い方を示すかのようにストーリーが展開されていきますし、プレイヤーも「あぁ、これは相手をいかにして殺すかという、腹の探り合いをする戦略ゲームなんだな」と思って興家編を遊んでいくようになります。
実際、春恵は櫂と組んで焼死を狙ってきますし、並垣も当たり前のように主人公を殺そうとしてきます。
そうした「敵」を退けることで、興家の物語は進行し、呪詛玉には蘇りを叶えるため滓魂が溜まっていきます。

しかし、滓魂を集めた興家は結局死んでしまいました。
そして、葉子さんの目を覚まさせ、興家が呪詛玉を持たない結果となった世界線でも、彼は「おいてけ堀」の呪詛の効果によって死亡してしまいます。
しかも、その興家の死亡シーンは冒頭で見た「ネタバレ」と全く同じものでした。

ここも衝撃的です。
つまるところ「ネタバレ」した世界線が本編であり、興家が当然のように呪殺しまくる世界線はifだったということが明かされます。
今までの常識がことごとく塗り替えられた展開に、驚かされっぱなしでした。

また、この展開の中で案内人から投げかけられる「興家は何人殺したか?」という質問の答えがたいてい食い違うため、プレイヤーは大混乱を引き起こします。
そうして、プレイヤーは「なぜ興家の呪殺した人数が食い違ったのか?」という「大きな問い=ゲームをプレイする目的」をもって、本編に挑むのです。
ここまで完璧な導入がありえるのでしょうか。
導入の流れすべてをぶった切って、謎を残しながらもゲームの本編へとプレイヤーをいざなう。
推理アドベンチャーとして、申し分ない導入部分です。

この導入部分の時点で舌を巻いて、僕は記事を書いたぐらいですから。

それでいて、導入部が常に本編でも首をもたげているのは印象的でした。
例えば興家の行動。
興家は当然のように呪殺をしますが、本編の約子編、春恵編では、ミヲや櫂によって「殺人はいけない!」と強くたしなめられるシーンが何度かあります。
それが、プレイヤーが興家編でやってきた呪殺行為の反省へとつながっていきます。
「俺はなんてことをしてしまったんだ…!」とまではいかなくても、「アレは良くなかったな…」と徐々に思うようになります。
あと、いなくなった葉子はどうなったのかとか、プレイ中に「おいてけ堀はどうなったんだ…?」と思うようになります。
そのような、導入部分で行ってきたことや謎が、本編でもプレイヤーに心残りを与えている点も見事です。

4.オカルティズム×サイコホラーの両立

このゲームのすごいところはこんなもんじゃあない。
すごいところは、「オカルティズムでありながら、本質的にはサスペンスでサイコホラーである」という、ホラーの2面性にもあります。

僕は「トワイライトシンドローム」や「ムーンライトシンドローム」で、オカルト的なゲームは苦手だと言ってきました。
それは、内容があまりにも非現実すぎることや、超常現象との出会いは恐怖としては「よくわからないもの」であり、「人間という恐怖」を扱ったサイコホラーよりは理解しづらいという点にありました。
詳しくはトワイライトやムーンライトの記事を読んでみてください。

そんな悩みを持ちながら僕はサイコホラーを好んでいたので、本作にも「オカルトかよ~」みたいなガッカリ感を持っていました。
しかし、そんなものは杞憂でしかありませんでした。

一部シーンにはオカルトチックな演出が含まれてはいるものの、本作の本質は「呪いによる殺し合い」です。
だからこそ、当然のように狂人が出てきますし、彼らの思考はちゃんちゃらおかしくて理解ができません。
こういった狂人は僕のツボなので刺さりました。

そのうえで、呪殺の内容もオカルティズムでありながら「人が意思をもって行使しなければ発動しない」ので、人間心理的な描写がかなり多いんですね。
本作は推理アドベンチャーでもあるので、犯人の人間心理の狂気なんかも表されていたり、追いかける警察側のストーリーラインもかなり細かく設定されていたりと、ヒューマンドラマの良さも持っています。
オカルトゲームの皮をかぶっていながら、徹底的に人間の本質的な狂気や異常性を表す本作のコンセプトは、オカルトとサイコのホラー演出に悩んでいた僕を救ってくれたかのようでした。
トワイライトにあった違和感がなかったのは本当にすごいと思います。

あと、ホラー演出が多めだったり、呪殺という重いテーマを扱っているにもかかわらず、登場人物のコミカルな演出が多かったのもよかったです。
ホラーとしてのジャンプスケアも最初の一幕ぐらいで、ギャグテイストな空間が随所に配置されていたのは、ゲーム中の推理の息抜きにもなってよかったです。
プロタンの櫂さんも面白い人物でしたが、刑事バディーの面白コントやミヲちゃんの「がんばれ、国家権力…!」とかは好きでしたね。
ホラーのジャンルとは関係ないですが、こうしたひょうきんさもゲームのアクセントになっていて良かったと思います。

5.またね。

さて、続いて僕が好きな話。
僕はこのゲームの逆崎約子編の一幕、「またね。」のチャプターが一番好きでした。
その詳細を軽く話していきます。

「またね。」は、約子に取り付いて復讐をしていた白石美智代の霊を成仏させるという内容です。
美智代は生前から内縁の父に暴力を振るわれ、儀式の生贄として男の子を誘拐するよう強要され、それを弱みとして教師にいいようにされ…と散々な目にあってきました。
そのうえ、死因も並垣の車によるひき逃げでした。
その後は警察のずさんな対応により自殺として扱われ、事件そのものが闇に葬られていました。
だからこそ、美智代は約子の中に入り込んで、無意識のうちに復讐を果たしていきます。
ミヲや津詰はこうした約子の動きに気付いたうえで、こっくりさんを行って美智代と交信し、情報を得るとともに、除霊を行います。

約子は「美智代が殺したのではなく自分もそうした殺人を望んでいた」として絶望しますが、それでも美智代を成仏させてあげたい、せめて復讐は繰り返さないでほしいという気持ちから、こっくりさんを行います。
そして、降りてきた美智代の霊に、約子は最後の質問を投げかけます。
「また私と遊んでくれますか…?」
答えは「はい」でした。

最後に、プレイヤーは「最後の最後に一緒にいれたことだけはどうか忘れないでほしい」という美智代の言葉を実現すべく、ゲームをセーブして記憶を永遠にしてあげます。
セーブが終わった後、美智代はお別れの言葉を告げて去っていきます。
そして、女子高生自殺の謎はすべて暴かれるのでした。

このパート、かなり「トワイライトシンドローム」に近いようなさわやかで切ない気持ちを与えてくれる点もいいのですが、何よりも「今の状況を忘れないことを、行動で示せ」というメッセージが突き刺さるんですよね。
プレイヤーがこの感動的ストーリーにセーブすることで記憶してあげられる。
記憶の中に彼女の思い出を残してあげるという一幕に、自分がかかわることができるという点に驚きを感じましたし、それが自然に思いつけるようになっているのもすごいと思いました。
セーブして、彼女たちの記憶を自分のゲームにも焼き付けておく。
ものすごくエモいシーンだったと思います(技術的な意味でも、ここでプレイヤーにセーブさせて印象付けるというのはすごいと思いました)。

6.最後に用意された「2重の入れ子」

さて、最後に真エンドのお話。
このゲーム、最後まですごかったです。

すべての謎が解けた後も、結局「おいてけ堀」の呪詛玉と持ち主は現れず、最後にすべて終わったと思い込んでいたミヲとエリオは殺されてしまいます。
これを避けるためにはどうすればよかったのか…?

…そう、初めからすべてなかったことにすればよかった。
そうして歯車を回していくのですが、そこに隠された最後の一言が衝撃的でした。
「晴曼の精神」とは誰だったのか。
僕はミヲの「精神は同じじゃない?」という分析を信じて普通にキャラクターの名前を入れますが「違います」との回答。
じゃあ誰なんだ…?

…いやはや、まさか自分自身だったとは。
最後の最後にプレイヤーがキャラクターの一人だったこと、そして神のようにザッピングで人の運命を操作できたことが明らかになります。
プレイヤーの特権ではなく、「外部にいた晴曼の精神だからこそ操作ができた」というメタの辻褄合わせがあまりにも奇麗に決まっていて、最後の最後まで驚かされっぱなしでした。
メタゲームは「プレイヤーを、プレイヤーとしてゲームに介入させる」というのが定番ですが(例えば「DDLC」のモニカは、主人公を操作しているプレイヤーに直接話しかけてきます)、プレイヤーまでもがゲームの登場人物で、自分さえもキャラクターの一人として役を演じていたという事実を突きつけてくるのは、とんでもない終わらせ方だと思います。
あまりにも完璧。
メタゲームの解釈として、そして物語を重視するゲームとして、ゲームと現実を最後に分離させた、とんでもない傑作です。

というか、謎解きだけ見るとその前にある呪詛玉の配置もすごいです。
「送り提灯」の「反射」は「強力な効果だけど出番ないじゃん」と思っていたのですが、まさかまさか初めから機能していたとは…。
真エンドのタイミングで「なんで葉子さんは死んだんだ…?」と改めて考えていたのですが、トイレ休憩で席を立った瞬間に「送り提灯!」と思い出した瞬間は頭に電撃が走りました。
そのあとは「なぜあのタイミングで送り提灯が出てきたのか」という部分までは繋がらなかった(案内人の指摘で気づきました)のですが、あのタイミングで呪詛玉の送り提灯を思い出したのは最高に気持ちよかったです。
こういうヒラメキこそ推理ゲームの面白さですよね。

さて、真エンドのすごい点は2重の入れ子構造にあります。
興家シナリオの導入でも話したように、興家の呪殺はifの話であり、本編は興家が死んでいる状態からスタートするというトンデモ展開から作られていました。
しかし、本編のエンディングでは、「最初を間違ったであろう」結末が用意され、「興家編が無駄なのではなく、本編を見たうえで興家編をやる必要があった」というありえないルートが用意されています。
本編こそ、クリアにかかる前座だったのです。

…なんだそれは。
こんな2重の入れ子があっていいのか。

本編で知識を集め、「呪殺はいけないことだ」とプレイヤーに刷り込ませて、晴曼の精神と肉体を持つ人物が集まる瞬間を探させて、興家そのものの未来を変える。
興家が生きるルートがあることはアツい展開ですが、最初に解いたであろうトリックが最後の最後に大きなキーとなって現れるところは「信じられないほどの驚き」であり、とてつもない展開であった、と思います。

とんでもない規模で作られた二転三転するストーリーは、このゲームの驚きを象徴する、そして晴曼の精神であるプレイヤーを揺さぶる、あまりにも完璧な構成でした。
このゲームの最高の独自性であるとともに、現代アドベンチャーとして、過去のアドベンチャーを踏襲しながらも新しい一石を投じるという、あまりにも隙のないゲームになっていたと思います。
本当に、このゲーム、おかしいんです。出来が。

7.終わりに

いかがでしたでしょうか。

ネタバレオンパレード、言いたいことを全部言う記事でした。
本当に、こんなゲームが令和に出ていることが信じられません。
時代に逆行してPS1アドベンチャーを遊んでいて、その面白さも理解していたからこそ、このゲームのあまりにも強烈なリスペクトを理解できたと思います。
それに、最近のメタゲームをプレイして、トレンドを理解していたからこそ、このゲームの新しい演出も楽しめて受け入れられたと思います。
新旧夢の融合、アドベンチャーゲームの集大成ともいえるような完璧な一作として、強くお勧めしたいです。

とはいえ、ほぼすべての要素がネタバレになると思うので、おいそれとゲームの情報が出せないんですよね…。
僕が言えるのは「面白い!」「買いましょう」ぐらいなので、本当に悲しい限りです。
とはいえネットのレビューとかゲームメディアも積極的に情報を出しているので、コアゲーマーの目には留まりやすいのかな…と思います。
気が狂うほど面白いです。ぜひ(ここまで読んでいる人はやっていると思うのでここで宣伝するのは意味ないんですけどね)。

さて、次回ですが「メトロイドドレッド」の話にしようと思います。
「ふりかけ☆スペイシー」はPCとの相性が悪く遊べなさそうなのでなくなくですが没になりそうです、ごめんなさい…!
今はドレッドプレイ中なので気楽に待っていただければと思います。
それではまた次回。
長文お読みいただき、ありがとうございました。

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