サイトブロッキングと海賊版
海賊版サイトへの対応策としては、
1.サイトへの広告出稿を停止させる。(法改正不要)
2.サイトへのアクセスを遮断する。(要法改正)
大きく分けて、この二つが考えられます。
1の場合、インターネット広告代理店に海賊版サイトへの広告の停止を要請すると共に、広告主への当該サイトへの出稿取りやめを求める方法もあります。
海賊版サイト運営者は、サイトの広告収入によって利益をえており、その利益のために海賊版サイトを運営していると考えられる為、サイト運営によって利益を得られない状態を構築する事で、海賊版サイトが行われなくなる事を目的としています。この場合は、法改正が必要ありませんが広告代理店が拒む場合は裁判を行い新たな指針となる判例が構築される可能性もあります。
2の場合、ユーザーがどのサイトにアクセスしたか?を保持し、その上で特定サイトへのブロッキングを行います。DNSサーバーでブロックするのか?等ブロッキングの技術的手段は複数考えられます。
サイトブロッキングの場合、電気通信事業法3条、4条、179条に抵触する可能性が高く法改正が必要です。実行においては全てのプロバイダーがサイトブロッキングを実行する必要があります。 また、特定サイトへのアクセスを遮断するという行為は、検閲や言論統制に繋がる非常に大きな危険性を含有しています。
憶測ですが、某海賊版サイトが有料版を打ち出した背景には、広告の出稿停止の動きが進んでおり、それにより運営者は収益性を絶たれる可能性を感じ新たなマネタイズを試みているのではないかと思います。
つまり、広告の出稿停止によって対処する動きが進んでいるのと考えられます。
日本の著作権侵害は基本的に親告罪であり、海賊版サイトが摘発された際に原告に加わらなった権利者の著作物がどの様に扱われるのか?という問題もあります。 著作権侵害の非親告化が必要な局面もありますし、非親告化により漫画家を志す人の表現が抑制されてしまう危険性もあります。
ですので、著作権侵害の非親告化と同時にフェアユース規定の法制化とパロディ規定の導入が必要だと思います。現状は非親告化が必要な局面ですが、それにより表現の自由が抑制されない制度的担保が必要です。
権利侵害をされたより多くの権者が救済される有効な海賊版対策が必要である同時に、それが表現の自由の抑制や検閲に繋がらないことが重要です。漫画という創作物が存在するのも、表現・言論の自由があってこそです。
40カ国以上でサイトブロッキングが実施されていますが、英国などは当該サイトにブロッキングを行う決定権は裁判所が行っており、日本のよう立法を行わずに行政がIPSに要請してブロッキングを行おうとするのは、大変に危険だと考えます。今回のブロッキングも、当初は漫画村を主題とした議論だったはずですが、二つのサイトが新たに追加されています。緊急避難としてのサイトブロッキングを使用していく事は、なし崩し的に様々な表現へのアクセス規制を行うきっかけになり、マルティンニメーラーの”彼らが最初共産主義者を攻撃したとき”とにた危険性を感じます。
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