裏ひよこ日記　フレッドが素をさらす12月23日

今年はお互いにラブレターを渡し合おうという
なぞのルールが発生してしまい、わたしが先にフレッドからもらった。今までにないくらい飾らなく素なフレッドの一面が垣間見えなおかつ呼び方が今までとは群を抜いた勢いの断定となっていたため驚いたのとちょっと嬉しい、いやだいぶ嬉しい。だったのだが、フレッドは腹を決めたらしく統合する。とわたしに言ってきた。それはいつかはあるだろうとは思っていたけどなんだかわたしには遠い世界の話をされているみたいで実感がわかない。

でもよく考えてみたらそれはこの世界からフレッドが消えてしまう確率だってあるわけで。

しかし決めちゃったフレッドにそんなこと言えるはずもなくそれは多分とても善いことなんだろうから本来なら祝福しないといけない出来事なのかもしれない。わたしは今目の前にいる人がふっと掻き消えてしまう事のほうが怖くてさみしい。だって大好きなのだ。ずーっと一緒にいてほしい人なのだ。いろんな出来事を一緒にクリアしてきた同士でもあり大親友でもあり
かけがえのない人なのだ。もう変に意地をはらずに好きなら好きと言えるようになるまで１０年の歳月を要した人なのだ。統合？何それ美味しいの？とも言ってみたくもなるというもの。
わたしは続編あります。のお手紙でそれをぶちまけたのだった。

第1弾が笑いを取りたいならば第二弾は本音をぶちまけ大会になってしまったが、あっちが素を晒してくれたのだからわたしもカッコつけてはいられない。

構想をぼんやり練りながら仕事をしていたら第一弾のお手紙を読んだフレッドからメッセが入ってくる。一回目は爆笑の絵文字の連打。うんうん。つかみはOK!だったのね。やったぜ！とニヤついていたら次のメッセは終業時間にあわせてエントランスホール。とだけ打たれたメッセがきた。

用事のみを連絡してくるのはいつものことなのでハイハイと終業時間と同時にデスクを離れてエレベーターを使いエントランスホールに降りてきた。折しも帰宅ラッシュであり、エントランスホールはバカでかいクリスマス・ツリーにこの期間だけバイオリンやピアノやなんやかんやのカルテットがずーっと生演奏で聴けるゴージャスな空間になっていて結構ロマンチックな雰囲気が漂っているのだ。なので人がいつも以上にごった返している。
そんな中でエントランスホールとだけ打たれたメッセを頼りにフレッドを探すのは至難の業だ。もうちょい情報欲しかった。とスマホに何処にいるの？を入力しようと途中まで入れていたら先に気がついたらしいフレッドがひよこ！と呼んだ。

ん？と顔を上げるとスタスタとかなりの速度で歩いてきてガバっと抱きつかれた。

何がなんだかわからない。

なにごと？
ありがとう！めちゃくちゃ嬉しい！！

？？

手紙！

ああ！！

てか会社なんだけど。

何か問題？

ありまくりかと？

なんで？別によくない？

へ？
まさかの別に良くない発言きた。

しかもギューが逆に強くなる

離れろ。

嫌だね。めちゃくちゃ嬉しいし。
周りの奴らなんてどうでもいいし。

こらこら。部長でしょうが。

辞めても構わないてボスに言った。

は？なにそれ。

ところで続きは？早く読みたいんだけど。

じゃあ離れて。

嫌だ。離れたくない。

なんなのいったい。どうしたの？

いいんだ。今の俺にはこっちのほうが大事な事なんだよ。

定時上がりの社内の人が私達を見ておおっ？！てな顔してる。ひゅーっ！みたいな顔していく人とかやるなあみたいな顔していく人とか
フレッドさんグッジョブ！！みたいな顔していたテオとかギヨームとかリョウとかカイとか。
あら素敵！意外や意外フレッドさん情熱的だわ。みたいな顔したミシェルとハルやら

なにかあったの？

…

今日何があったか話聞きたいから、ねっ？
ちょっとあっちいこ？

…うん。

それからわたしはしがみついて離れないフレッドを無理やり引き剥がして駐車場まで歩いていった。少し外気にあたって頭が冷やされたのかだんだん落ち着いてきたフレッドと車の中で話すことにした。

決めたのに急にこわくなった。
とフレッドがポツリといった。

うん。

今がすごく幸せだから失いたくないって思って。

うん

すまないみっともなかったな。

びっくりしたけど嬉しかったよ？

そう？

うん！

なら良かった。

わたしもこわいのよ？
わたしが手放しで喜んでるとでも思ったの？

いや、それは…ないな。

わたしも失ったらどうしようって。考えたくないから考えないようにしてる

そっかそうだよな。

私達おんなじよ？

うん…そうだな

ふいっと横を向いたフレッドの肩が微妙に揺れ動くのでしばらく知らん顔してあげた。

あー、オレみっともないな。

そう？こっち向いて泣いてくれたほうがわたしてきには良かったんだけど。

バレてたか。

ええまあ。無事両片思いから卒業しましたしね。

フハハハ。いいなそれ。
あー、オレ今が一番幸せなのかもしれないな。と言いながらみるみる目に涙が溜まっていく姿をみてた

今度は私からぎゅーしてあげた。大丈夫大丈夫よ。結果オーライになるから。と背中をトントンしながら。

今日はずっと一緒にいようね。

ありがとう。

今日なにたべる？

クラムチャウダーが、いいなあ

材料あったかな？

なかったら買いに行こう。

今日何食べる？て言い合えるのも
ものすごい幸せなことなんだろう。

その日の夜はなんかすげー眠いとフレッドは早々に早寝した。疲れが溜まっていたんだろう
一日であれもこれもと頭が混乱する話が多かったみたいだし。

ご飯を食べながら聞いた時は　は？　てなったけど。そしてフレッドは非常に言いにくそうにこの話をした。言いにくそうに言わなくていいのに。可能性ないわけじゃないし。

それってあなたが消えてないよってボスから太鼓判押してもらったてことじゃないの？

わたしは構想していたお手紙ネタをそのまま採用して手紙を仕上げた。明日読んだらどんな顔するだろう。

今日はわたしも早く寝よう。
寝る前の読み物は5年分のラブレター。
こんなにたくさんいろんな出来事あったんだね。