裏ひよこ日記、ロンドン。朝から鼻がツーンとする。
朝ごはんのあとシャワーを浴びてバスルームで化粧水をバシャバシャしていたら
アルベルトがバスルームにやってきた
ひよこちゃん。予約できたらだけど、ひよこちゃんと行ってみたいなとおもったレストランがあるんだ。
ふうん、そうなの?
今週か来週かどちらかでちょっと伝手を伝って
予約できるかどうかやってみるから。
そんな人気のあるお店なの?
噂はよく聞く。2人きりでどこかに出かけたり食事をする時間がなかなかとれなかったから。
あー、そういえばそうだね
フレッドに聞いたよ。家の手伝いの件
あー、あれね?何したらいいのかさっぱりわかんないんだけど
ひよこちゃん、手伝いしたい?
…どうだろ…よくわかんない
わたしで大丈夫?が正直な意見かな
ひよこちゃんがタウンハウスのお手伝いでロンドンに来るときは僕も行くから
仕事は?
問題ないよ。
大丈夫なの?
それは僕がいいたいセリフだね
そこまでしてくれなくていいって
全然だよ。全然足りてない。
やりすぎじゃない?
…んー、もっと支えたいし、守ってあげたいし、甘えてもらいたいし。これは僕の望みでもあったんだ
今までだってずっとそうだったじゃない
全然足りてなかったよ?
あれで?!
妻を支えるのが夫の仕事だよ。
はあ…
だからいくらでも頼ってくれていいし、むしろもっと委ねて甘えてほしい。ハッキリ言って全然足りない。キミのために存在することこそが、僕の存在理由なんだから。遠慮されちゃう程度の男なのかなって時々不安になるよ。
いやいや、そんなことないって!
ていうか…今までだってさんざんサポートしてもらってるのにこれ以上なんて図々しくない?
聞いて。ひよこちゃん。大事な事いうよ
自立した人になりたいのもよくわかってる。
けれど自立した人というのが誰の手も借りない、問題は全部自分ひとりで片付けるものという考えがあるならそれは違うと僕は思う。
…はい
周りにサポートしてもらう事を弱くて何もできない取るに足りない人と思うのはやめたほうがいい。誰かの手を借りることは恥ずかしい事じゃない。今までそれでやれてきたかもしれないけれど…ひよこちゃんがステップアップした人生を送りたいならそれはとても大事な事になる。
はい…
怒っていってるんじゃないよ
わかってる
孤軍奮闘しないで。手を貸したい人がいる事を忘れないで。恥じゃないんだ。それは
鼻がツーンとする
おいで
大丈夫だから。全部ひとりでどうにかしようとしないで。僕にも手伝わせてよ。
結婚したんだ。委ねてよ。ね?
うん、がんばってみる
キミのような素敵な女性のサポートができるなんてこれ以上名誉なことはないんだよ。どうかその役目を僕に与えて
だから言い過ぎだって
ひよこちゃんの自分への厳しいジャッジも卒業しないとね。
厳しい?
かなり厳しいね。でもそういうひよこちゃんが好きだ。
喉がきゅうっとなる
おかしな話になっちゃったね。
出かける準備しよう。大切な時間だしね
うん、
アルベルト
なに?ひよこちゃん
ありがとう
さあ、いい時間を過ごしに行こう
フォートナムメイソンは行列になってるかもしれない(笑)
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