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裏ひよこ日記 特別付録版。2通目のお手紙と消えるフレッド、迎えにいくわたし。

ナーバスになっているフレッドをなるようになる。大丈夫心配いらないと励まし、夕飯は2人でクラムチャウダーとオイスタークラッカーとたっぷりのサラダを作って2人で後片付けし、気が紛れて少しだけ元気を取り戻したフレッドは早々に寝室に引き上げた。多分ものすごく疲れたんだろう。いろいろありすぎたから。
わたしから事情を聞いて理由を知ってるアルベルトは普段と変わらぬ態度でフレッドに接した

アルベルトはわかってはいたけれど、頭では理解してるんだけど感情が追いつかなくてごめんねひよこちゃん。と言った。
こうなるってわかってはいたんだ。だってひよこちゃんだから。僕の大切で自慢のひよこちゃんが見初められないわけがないわけがないじゃないか。こんなに近くにいるんだから。わかってはいたんだ。でも…僕は頭を冷やさないといけない。だから少し一人にさせて。と私をぎゅうぎゅうハグしてひとりで馴染のバー・ラウンジに出掛けていった。

取り残されたわたしはどうしようもないことはどうしようもないのだと頭を切り替える。
なるようにしかならない。わたしは自分の心に従う。と口にだして湯船に浸かった。
アロマオイルジェルを入れ、ぶくぶくぶくと頭からバスタブに潜ってみたり、ことさら丁寧にシャンプーしたりトリートメントしたり。お風呂から上がって明日も綺麗で素敵な女性でありますようにってお祈りしながらたっぷり化粧水を塗り込んでいつもの倍は手をかけて肌のお手入れをしてハーブティーを淹れて自室に引き上げた。2人の事は気になるけれど、わたしはわたしである。今したいことは2通目のお手紙を完成させるのと、二人に贈るクリスマスプレゼントに添える特別付録版でそれぞれ2人のいいところを取説したお手紙を書くっていうこと。

書くのたのしい。夢中になって書いてたらドアが控えめにノックされた。はあいと声をあげるとフレッドがドアを開けた。

どうしたの?

なんか変なんだ

え?

揺らぐんだ空気が。

ちょっ…

もしも消えたらごめん。

わたしはできあがったばかりの2通目のお手紙をひっつかんでフレッドに押し付けた。

い、今読んで!すぐに!いまっっ!!

は?今。

わたしのところに帰ってきたくなるようにお手紙今読んで!!

ハハ。いいなそれ。

笑い事じゃないっっ!!

ドアに凭れたフレッドは出来立てホヤホヤのわたしのお手紙を読み始めた。

しばらくして読み終えたフレッドは
無言でじいーっとわたしをみた。

えっと…感想なんか聞けたりする?

オレこれ後生大事に持ち歩くかも。まじで。ありがとう。

力作でしょ?

わたしはなんとなしに透けて見えるフレッドに
なるべく朗らかに声をかけた。

ああ。ほんとうに。

フレッド

わかってる。

帰ってきて。

わかってる。

すぐによ?

それからフレッドはふっと煙のように消えた。
手紙ごと消えた。

嘘よ。嘘でしょ?

消えないっていったじゃん。クリスマスはイギリスにみんなで帰るっていったじゃん。旅行どうすんのよ、職場どうすんのよ。わたしはどうしたらいいのよ。

意味がわからないすぎてクラクラする。

揺らぐ空気に廻る景色にクラクラする。
泣きたいのに泣けない。どうしたらいいかわからない。

お願いだから帰ってきて。

朝目が覚めるとアルベルトが手を握ってベッドに腰掛けていた。

こんなに大事なときにひよこちゃんを一人にしてほんとうにごめんね。アルベルトは目が赤かった。

あのね…

知ってる。すぐに戻ってくるから。大丈夫だよ。

わたしはやっと泣けた。
アルベルトは黙ってぎゅうぎゅうしてくれた。

泣きはらした目で会社に行った。今年は皆クリスマス休暇が与えられている。だから今日は仕事納めだ。

行かないといけない。それとこれとは別だから。わたしにはやるべきことがあり、すべき事がある。気が紛れるから殊更仕事に熱中した。

フレッドは消えたままだった。

夕方帰る時間になる頃ミラ部長から話しかけられた。ボスが呼んでいるから至急執務室に来てと。

わたしは急いで執務室に行った。

来たな、うちのコ。

はい。あの何か不手際でもあったのでしょうか…

いや。よくやってるよ。
ねぎらうようにみーちゃんがいう。

悪いけど二人にしてくれる?秘書さんにいってボスと二人にされた

おいでうちのコ

…はい

あいつらに怒鳴り込みされるかもな。とみーちゃんは苦笑いした

あいつら?

あー、ミラにエルンストだよ。

絶対帰ってくるって信じてます。

そう思ってるなら帰ってくる。
そう決めてるならそうなる。

直談判に行きます。行けますか?

勇ましいな。さすがだ。
…ほんとうに行くか?行くなら付き添いしてやる。ただしオレは介入はできない。

お願いします!!

お、即断即決だな。

はい。

やれるか?

はい

さすがうちのコだ。強いな。部隊に欲しいくらいだ。ひよこお前、部隊に所属…いや、ミラから猛抗議されるな。

行くか。
はい。

わたしたちは
揺らぐ空気の中話し合いしてるっぽい2人を見つけた。それはわたしとわたしの出会いでもあり
まだ見たことがないもう一人のフレッドの姿だった。

迎えにきたよ。
割り込みして話しかけた。

ぎょっとする2人のフレッドが振り返る。

どうやってきた?

指差しした先にこれまた見たことがない姿のみーちゃんがいた。

でた。みーちゃん。
見たことがないわたしが笑ってる。

ほらほらひよこちゃんが迎えに来たよ?
かーわいいんだから。うちのひよこちゃん。
ヤバいくらい愛くるしくない?ガチ可愛いし。

からかうな
お前な…お前も似たようなもんじゃねーか

わたしはほらあんなに愛くるしくないし、可愛くはないわよ?

同じだろがよ。

もう一人のフレッドがもう一人のわたしにツッコミをいれている

…でもそれだと完全にならないじゃないか

わたしはそれでも構わないわよ?見たことがないわたしが不敵に笑ってる。なんかこのひと強い。

わたしはね、あんたに幸せになってもらいたいの。わかる?

ああ。

なんのためにと思ってる?
もう一つのフレッドがフレッドに言ってる。

幸せになりなさい。
わたしが守ってあげるから
もう一人のわたしがこっちのフレッドに言った。

何だよどっちのお前も同じこと言うんだな。
こっちのフレッドがもう一人のわたしにいっている。

お前果報もんだぞ。
迎えに来るんだからな。

ほんとそれ。あとはうちらでやるから。
あんたはそっちで楽しくやんなさいよ。それがわたしの生き甲斐の1つよ?

そうだ。それもオレが望んだことだ。

フレッド。帰ろう?

いいのか?ほんとうに?

何いってんの?わたしがそうすると決めてるならそうなるのよ。なんか文句あんの?

もう一人のわたしはめっちゃ男前だった。

ほらな?もう一人のフレッドがこっちのフレッドをわたしに押し出した。

じゃあね、またね?

またな、どうせいつでも会えるだろ?
お前はオレの倍は幸せになれ

何それまるでわたしのとこにいるのが不幸みたいに言っちゃって。

話しのアヤだろ?わかんねえやつだな。
オレはお前といるのが一番気楽でいいんだよ。
ほらさっさと融合するぞ。

ふうん?
何だそれ。

なによー
なんだよー

嫌なら止めて構わないのよ?

何よりオレがそうしたいんだよ。同じになりたくねえのかよ?オレが幸せにしたいんだよ。お前いい加減素直になれ。

え、口説き?まさか口説いてます?
はいはい口説いてます。だからさっさとオレに陥落しろっつうの。

えーどうしよっかなー。

この期に及んでしないなんて言わせないからな。どれだけ待ってやったと思ってんだ

わあ、やらしー

お前バカだろ?

二人軽口の応酬を楽しんでる。これから始まるのは融合なのに。ツンな会話とデレの極みの愛の行動が真反対過ぎる。
でもなんかそういうのも素敵て思わせる2人。


なんかこのひと達息ぴったり。大人の感じのもう一人のわたしにフレッド。


ならな。また来る。と、みーちゃんがまさしくミカエルて感じで羽をバサって振ると執務室に戻った。


けれど執務室にはフレッドはいなかった。

え…うそ

ああ、ヤツは多分家だろ。直前の場所に戻る。にしたから


さて。ではうちのコに一日早いクリスマスプレゼントを上げようかな。

メリークリスマス。

次の瞬間わたしは自宅にいて、瞬間移動してきたわたしをみて固まるフレッドを見つけた。

は?

え?あれ?

え、オレ、戻れた…?

バカーっっっ!!!
いきなり消えないでよっっっ!!

ちょちょ…ちょいまて

わたしがどんだけ心配したと思ってんの!!

バーカバーカバーカ、フレッドのバーカ。
バーカといいつつダバダバ涙がでてきた

ごめんな。ほんとうにごめん。

責任とって!!

は?

責任とって!

どんな?

手紙に書いてた事を守って!!

…ああー、うん、はい。

うえーん!!うわーん!!涙でグシャグシャ、とっても可愛い泣き顔とは言えない。もう少しあざとく可愛い泣き顔が良かった。

あー…ひよこ。その。

ゔゔ…

迎えに来てくれてありがとう。

みーちゃんに言って!!

あ?ああそうだな。

…ひよこ。

あい
ティシュで鼻水を盛大に噛みながら返事をする。

奥さんになってくれない?

…なんでこんなときに言うのよ

今しかないかな…なんて

わかるけど…やり直して

は?

もうちょいいいシチュエーションでお願いします。

はー?

だから、もうちょい夢あふれかえるシチュエーションでお願いしまっす!!

なん…わかったよ。

顔あらってくる。

洗面所で顔をあらっていると、向こうからフレッドがなんか知らないけど笑い転げている笑い声が聞こえてきた。めちゃくちゃ笑ってるんだけど

だって乙女の夢じゃない?
そういうのって。ちがうん?

個人的には誰もいない綺麗な雪が舞い散る外でそういうの言われたらめちゃくちゃ嬉しいんだけどなあ。


そういう乙女の可愛い夢をあやつは知ってか知らずかクリスマスプレゼントはそういうのが特別付録でついてた。

良かった。夢が叶った。





































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