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記憶の欠片の物語

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19世紀のロンドン そこに生きてた「HE」のストーリー
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#ストーリー

記憶の欠片の物語 12

記憶の欠片の物語 12

ロンドンのタウンハウスは当然だが父親の所有物で年に一回貴族院の会議期間中の時に滞在したりロンドンに用事があるときに使ったり。

俺は寄宿学校にずっといて大学に入ってそれからヨーロッパをゆるっと周るグランドツアーにでかけそのままフランスの大学に一年留学して戻ってきた。タウンハウスは家族や他人との共同生活をしなくて済むから楽だったけどうっかり拾いものしてしまい、また誰かとの共同生活がはじまった。

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記憶の欠片の物語 11

記憶の欠片の物語 11

ベンチに項垂れて頭を掻きむしってこの先どうしようみたいな空気漂わせてるあいつをうっかり見つけてしまい、こっちがバツがわるい。

ああ…やっぱりそうなるよな

雨も降りそうな天気になってきたし。
さっき迄晴れてたのに。ロンドンはグレーの世界。

声かけたら家連れて帰るハメになるぞ?
いいのか?

自問自答したけど目の前に困りきったやつがいるのにどうしたって見過ごせない。

ノブレス・オブリージュ…

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記憶の欠片の物語10

記憶の欠片の物語10

アイツは自分の手帳開いて本を開いて床に座って何か猛烈な勢いで書付けしてる。

変なやつ

オレ勉強するから何か用事あったらあっちの部屋にいるから。

わかった。

他人が自分の家にいるのもなんか慣れてきた。

久しぶりに自室の机で調べものして課題している。
今迄これが普通だったのに。

なんか変な感じ

夜遅くリビングに寄ると帰ったとおもってたあいつがまだいたのに驚いた。

おい…帰らないのか?

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記憶の欠片の物語

記憶の欠片の物語

あいつにはじめて会ったのは論文の発表会だった。

わたしはひどく態度が悪かったらしい

(わたしは態度が悪いなんて微塵も思っていないけど)

あいつは緊張してひどく顔を赤らめて登壇して論文を発表していた。

聞いてるやつらなんているのか?

こいつの話を。顔を赤らめ、ひどく真面目に
訛りがでないように緊張しながら自分の論文を発表している。

ここはロンドン。大学構内

わたしはいつも一人きりで行

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