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記憶の欠片の物語

12
19世紀のロンドン そこに生きてた「HE」のストーリー
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#19世紀イギリス

記憶の欠片の物語 12

記憶の欠片の物語 12

ロンドンのタウンハウスは当然だが父親の所有物で年に一回貴族院の会議期間中の時に滞在したりロンドンに用事があるときに使ったり。

俺は寄宿学校にずっといて大学に入ってそれからヨーロッパをゆるっと周るグランドツアーにでかけそのままフランスの大学に一年留学して戻ってきた。タウンハウスは家族や他人との共同生活をしなくて済むから楽だったけどうっかり拾いものしてしまい、また誰かとの共同生活がはじまった。

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記憶の欠片の物語9

記憶の欠片の物語9

※書き下ろし

結局あいつは家にまた泊まってそのまま朝ふたりで大学に行った。

夕食を食べたあとお互い好き勝手に本を読んだりバイオリンを弾いたり酒飲んだり色々してたりしていたら深夜になっていた。

寝ればいいのに何かの拍子で香料とか貿易とかの話になってあーだこーだといっていたら朝になっていた…。

ほとんど寝てない。講義中に気を失いかけ、教授から睨まれ大量の課題出された。講義が終わり教室を出るとあ

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記憶の欠片の物語8

記憶の欠片の物語8

※書き下ろし

夕方修繕を頼んでいたあいつの破れたジャケットを受け取りにテーラーに行った。

「こちらでございます。サイズ確認いたしますので
試着室へどうぞ」

あんなにビリビリだったジャケットが綺麗にされていて肘のところにも肘当てまでつけてくれていた。
ボタンも全部取り替えられていて裏地も新しいものになっていてヨレっとしていたジャケットが見違えた。それにシャツ3枚も仕立てられていた。
(内緒で頼

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記憶の欠片の物語7

記憶の欠片の物語7

※書き下ろし

チリンチリンてベルの音がする
眠りの沼から引きずり出された。
結構深く寝たらしい。たった30分くらいだけど

あいつ帰ったのか?シーンとしてる
辺り見回すと床に座り込んで本棚の本よんでた。

トマスがやってきた。床に座り込んで本を読んでる彼を見て小さく首をふった。彼的に行儀が悪いらしい
熱い渋めの紅茶を淹れてくれた。「おまえお茶いらない?」

本から顔もあげずに熱中してる何の本読ん

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記憶の欠片の物語5

記憶の欠片の物語5

わたしと彼が自宅にたどり着いてからしばらくして、ドアを激しくノックする音が聞こえた。

トマスがわたしの所に来た。

「フレデリックさま。おやすみの所申し訳ございませんが、急ぎお会いしたいという若者がみえております。先ほどまで、パブでご一緒だったと申しておりますが、いかがいたしましょう?」

こんな夜更けに誰だ?とおもったが
一人心当たりがあった。

「父上に言いつけてお前らふたりを追放する!」と

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