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【良い会社認定 その3】世界で広がるソーシャルグッド&ベネフィットコーポレーション

前回の記事では「Certified Benefit Corporation=Bコーポレーション」について紹介しました。今回は、アメリカのみで認められる法人形態「Benefit Corporation Governance=ベネフィットコーポレーション」についてご紹介します。

国が認めた法人形態「Benefit Corporation Governance=ベネフィットコーポレーション」とは

米国内の26の州のみで法的に認められている法人形態の一種です。

ベネフィットコーポレーションが法的に認められた26州
Arizona, Arkansas, California, Colorado, Connecticut, Delaware, Florida, Hawaii, Idaho, Illinois, Louisiana, Maryland, Massachusetts, Nebraska, Nevada, New Hampshire, New Jersey, New York, Oregon, Pennsylvania, Rhode Island, South Carolina, Utah, Vermont, Virginia, Washington D.C.

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Benefit Statement(ベネフィット・ステートメント)

ベネフィットコーポレーションは、2010年メリーランド州で初めて法的に国で認められ、誕生した企業形態です。株式会社のように株主利益最大化だけを事業の目的とせず、働く従業員や取り巻く環境の利益も追求することを公約することが可能です。社会課題解決を目的とする企業や、ソーシャルビジネスが事業軸の企業にとっては大きなメリットになるかもしれません。

ベネフィットコーポレーションへの変更手続きについてはこちら

費用

ベネフィットコーポレーション公式ウェブサイトによると、州出願手数料$70〜$200が必要になるようです。なお登記する州によって申請費用は変動します。

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ベネフィットコーポレーション代表例(キックスターター)

「クリエイティブなプロジェクトに生命を。」をミッションに掲げ創業した米国発のクラウドファンディングサービスを提供するKickstarterは、2015年にベネフィットコーポレーションとして再登記しました。

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P=Public(パブリック)の意味。
Public Benefit Corporation(パブリック・ベネフィット・コーポレーション)

以下、Kickstarter Japan公式ブログより。

ベネフィットコーポレーションは、株主だけでなく、意思決定が社会に与えるインパクトを考慮することが義務付けられている営利団体です。社会に対するポジティブなインパクトは、ベネフィットコーポレーションの法的に定義された、根本的なゴールになります。会社がベネフィットコーポレーションになる際、会社は公約を追加することができます。Kickstarterの新しいチャーター(以下を参照)では、私たちのミッション、私たちのバリュー、そしてそれらを遂行するための公約を明確にしています。私たちは、これらのパブリックベネフィットを促進する努力の結果を報告する、ベネフィットステートメントを、毎年提出します。

3名のファウンダーたち
(左)Charles Adler(中央)Perry Chen(右)Yancey Strickler
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具体的なベネフィットステートメントは、以下の通りです。(一部抜粋)
ベネフィットステートメントは、毎年更新、そして公表されます。

1
Kickstarterの企業理念/ミッションは「クリエイティブなプロジェクトに生命を吹き込もう」
A

Kickstarterは、クリエイティブなプロジェクトに生命をもたらす助けになる、ツールやリソースをつくり、クリエイティブなプロジェクトや、クリエイティブなプロセスの周りの人々を繋げます。
B
Kickstarterは、エコシステムが健全であること、誠実であることを大切にします。
C
Kickstarterは、アーティストとクリエイターに関わる、より大きな課題と議論に、己の限界を超えて取り組みます。
2
Kickstarterのバリューを反映した運営方針。
A

Kickstarterはユーザーデータを第三者に絶対に販売しません。政府機関との取引を含め、サービスを利用する人のプライバシーの権利と個人情報を熱心に守ります。
B
Kickstarterの利用規約とプライバシーポリシーは、明確で、公平で、明白です。Kickstarterは、そうすることが可能で、業界の慣習だとしても、あらゆる未来の不慮の事故の可能性を援護したり、権利や権限を主張したりしません。
C
Kickstarterは、会社に経済的な利益があったとしても、自らのミッションとバリューに合致しない限り、公共政策やロビー活動を行いません。
D
Kickstarterは、納税負担を軽減するために、合法的であっても、難解な税金管理戦略や、抜け穴を使いません。Kickstarterは、税率計算に関する複数の要素を説明し、納める税率を透明性をもって報告します。
E
Kickstarterは、環境に与える影響の軽減を模索します。グリーン・インフラストラクチャーへの投資、グリーン通勤手段への支援、また業者選定時に環境に与える影響を考慮します。さらに、Kickstarterは、サービスの性質上、梱包や発送など頻繁に発生する作業において、クリエイターが環境に配慮した選択をする助けになる推薦やリソースを提供します。

内容の続きは、こちら

まとめ

ここまでお読みいただき誠にありがとうございます。

アメリカではモノづくりに関連する企業が積極的にベネフィットコーポレーションへ参加し、環境問題に対して警笛を鳴らしているようです。制度として国が提供することで、エコなエコシステムが新たに構築されていくだろうと感じました。

次回の記事では「Certified Benefit corporation=Bコーポレーション」 「Benefit Corporation Governance=ベネフィットコーポレーション」のメリットについて紹介します。

【著者プロフィール】
180株式会社(ワンエイティー)代表取締役 上仲 昌吾

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Twitter「@ShogoUenaka」でも発信しております


アメリカ・カリフォルニア州・サンディエゴで4年間過ごし、あらゆる価値観に触れてきました。現在ソーシャルビジネス事業化に向け構想中です。ソーシャルグッド、サーキュラーエコノミー、ベネフィットコーポレーションを実践されている方、是非とも意見交換をさせていただければ幸いです。