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最近の半導体産業の動き(1)

ここ最近、日本で半導体産業の動きが激しい。

まずは、台湾TSMCの九州熊本への工場誘致。TSMCはファウンダリで半導体の製造だけを行う企業である。(設計はやらない、製造の委託だけを受ける)あのAppleのティム・クックがお忍びで熊本を視察したというのでも話題になった。

こちら、Rapidas(ラピダス)は日本企業であるが、北海道千歳に進出の話。Rapidasは「2nmプロセス以下の次世代半導体の製造」とあるが何を作っているのかよくわからない。トヨタも出資しているから車載関係なんだろうか?

経済産業省は2022年7月にキオクシアホールディングスの四日市工場(三重県四日市市)へ929億円(同2788億円)の補助金を決定。
2022年9月には、マイクロン広島工場(広島県東広島市)にも465億円(同1394億円)の助成を決定。

こういった、ハイテク産業のコメと言われる半導体産業が日本国内に誘致されたり、進出することは、日本の産業の活性化、雇用拡大の面でプラスに貢献することは確かであるが・・・何故か、ワニは両手でバンザイで喜べないのである。

そもそも・・・半導体産業のような大規模な工場は人件費の安い国、地価の安い地域に設立されるものである。

過去に、日本が高度経済成長期であった頃、製造業等の工場は安い人件費、安い地価を求めてどんどん海外に進出、移転していった。その、あまりにもあからさまな海外進出ぶりに、日本の第二次産業である製造業の空洞化が心配されたほどである。

半導体についても、このページの1ページ目のグラフで分かる通り、1980年代は日本は世界の50%のシェアを握っていた。

考えてみれば、このぐらいの時期、日本の多くのメーカが半導体を製造していた。あまりにも強すぎるので米国の茶々(日米半導体摩擦)が入ったあたりからおかしくなってきた。

今では上のページのグラフの通り2020年時点で上位10社に日本企業はいない。

そんな、こんなで高度経済成長期に製造業はどんどん海外に移転、半導体産業は本は空洞化状態だったのに、ここにきて、製造業がまた日本に戻ってきたり、海外の半導体会社の工場が誘致される逆の動きである。これは、一体、何を意味しているのか?

これには日本の賃金が大きく影響しているとワニは思う。

最近、よくニュースになっているのが、日本のここ30年は賃金が上がっていない。失われた30年ともいわれている。日本の平均賃金はG7の中で最下位。韓国にも抜かされている。昔は日本人はアジア諸国を賃金の低い国として見下していたが、今はそれらとほぼ同格なのである。

そこへ来てこの円安。円の力がどんど弱くなってきている。なので昔は日本の高い賃金を目指して、出稼ぎにやってきた外国人労働者も「こんなんじゃ、やってらんねぇ!」って、自国に帰ってしまうか、「他の国の方が賃金高い」って、他の国に出稼ぎに行ってしまう始末。

こんなんじゃ、これから日本は労働力不足だと言うのに、他国からの労働力の輸入もままならない。

要は、高度経済成長期に製造業はどんどん海外に移転していた時代、賃金の安い国として見下していた国。それが、今は日本が逆の立場になったという、その証でもある。

なので、ワニは両手離しでバンザイで喜べないのである。

ま、これ以外にも色々は国際情勢、特に中国と米国の動きとかも関係してくるかもしれないが・・・

ま、なんにしろ、こういった製造産業が日本にまた日本に戻ってくることは日本の第二次産業の活性化、雇用確保の面でこのましいことではあるが・・・高度経済成長期の時代に第二次産業の海外移転で金で魂を売り飛ばしてしまっているから、急に日本に戻したところで、どうなるもんか・・・


100ワニをパクって退職エントリでバズろうとしたけど、全然バズらなかったワニ。 副業のオファーあればよろしくお願いします。 Twitterのフォローもよろしくおねがいします。@180wani