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【映画】ワーカーズカップ【YFFFオンラインシアター】

こんばんわこんばんわ。この画像つけていいんかな?

ヨコハマ国際フットボール映画祭(YFFF)という毎年世界中のサッカー映画を見れる最強イベントがあるんですけど、コロナで中止になってしまった。

そこで過去の上映作品を1作600円でネット配信してしまおうとなったそうで、YFFFオンラインシアターなる最高のサービスが始まりました。

この映画祭、全国ツアーもやっていて、だいぶ前に札幌に来た時に「なんだこの神イベントは」となったんですが、来なくなってしまった。まあ正直、客はそんなに入ってなかった(小声)

その後、毎年「横浜行けん、働かないと横浜行く金がない、働くと横浜行く時間がない」と喚いていて、今年はついに行けるはずだったんですよ。それがコロナで中止になってしまった。そこにこのサービスが始まったので、全作見てやろうとなって、第1弾です。


今回見たのは、アダム・ソヘル監督『ワーカーズ・カップ』(2017年イギリス)です。以下、先ほどのヨコハマ・フットボール映画祭noteから引用。

スタジアム建設現場の悲惨な現状『ワーカーズカップ』
2022年カタールW杯のスタジアム建設現場には160万人にも及ぶ外国人労働者が集まっている。ある者は家族を養うため、ある者はプロサッカー選手になれると騙されて。
プレハブ小屋の生活環境は劣悪そのもの。会社にパスポートを預けているため逃げ出すことも許されない。
不満解消のため、労働者チームによる会社対抗トーナメント”Workers Cup”が企画される。何の娯楽もなかった移民たちの生活に笑顔が溢れ始める。国籍や人種の異なるチームで勝利を目指す彼らは果たして優勝を掴みとることが出来るのか…?
サンダンス映画祭 ドキュメンタリー部門出品作品。

オリンピックでごたごたしてますけど、来年ワールドカップなんですよね。忘れてた。あれ?ちょうど1年後?ってなったけど、いろいろあって冬開催(11月21日開幕予定)でした。

カタールで夏開催は無理でしょみたいな批判に「夏にやれます!スタジアムめっちゃ冷やせるので!」みたいなこと言って立候補して選ばれたのに、あとから冬はないだろみたいな話も、FIFAの汚職粛清祭りも、コロナでどっか消えていきましたね。

カタールという国には、みんな大好き、結婚したいランキング不動の1位の石油王さんたちがいる。それで経済的にめちゃめちゃ発展してるので、急にワールドカップ開催地まで昇りつめたわけですが、発展って何?豊かなのは誰?という問いが、この映画のメインテーマになっています。

ざっくり説明すると、ワールドカップのスタジアムの建設に動員されている肉体労働者(大半が出稼ぎ移民労働者)が、自分たちが建てたスタジアムのピッチで「ワーカーズ・カップ」という建設会社対抗のサッカー大会に参加するというドキュメンタリー。

労働者たちはサッカー自体は楽しんでるし、立派なスタジアムでサッカーができることは、彼らへの還元にも見える。でも実際には、この大会は搾取される労働者の問題を隠すための対外的なアピールに過ぎない。


この映画、サッカーのシーンが多いんですけど、サッカー映画じゃないんですよ。ワールドカップがあるから注目されただけで、カタールはもともと移民大国だし、オイルマネーつぎ込んで高層ビルどんどん建ててる人たちと、劣悪な環境で低賃金で働いてる肉体労働者にはとんでもない格差がある。

国内だけの格差の問題じゃなくて、カタールと周辺の貧しい国、映画で出てくるのはアフリカ諸国(ケニアやガーナ)と南アジア諸国(ネパールやバングラデシュ)との格差、この両方が絡んでる。母国よりはマシと言う人もいれば、母国より酷いと言う人もいる。

映画に出てくる登場人物はほとんどこれらの国からの出稼ぎ労働者で、豊かな国に働きに来たはずなんだけど、肉体労働の収入では何年働いても家族ビザの支給要件は満たせないので、家族に会うこともできない。

「カタールの実情を初めて知りました」なんてファッション優等生みたいな感想書くつもりはないけど、サッカーワールドカップという世界最大規模のイベントと対比して描かれるとリアルでしたね。


サッカーについて言えば、プロレベルの選手も何人かは出てきますが、基本的にはあくまでもレクリエーションのレベル。キーパーとかひどい。もちろんみんなガタイはいいけど。

それでも、サッカー選手になれると騙されてやってきた人たちは、大会に向けて本気です。大会に向けて練習場を用意してもらい、試合前に「スカウトが見てくれるかも」みたいなことを言ったり、クラブを紹介してほしいと会社に直談判したりする。

会社は大会中は思ったよりは選手に寄り添う姿勢を見せて、友好的に振舞ったり自由に練習させたりするけど、これはもちろん表面的なものでしょう。サッカーさせたら、そのぶん生産性落ちるし、せっかくの労働者をサッカークラブに引き渡すわけがない。最低限のガス抜きと対外的な労働者大事にしてますアピールは必要だけど、利益追求を最大の目的にする企業は本来、金のかかる福利厚生なんてやりたくないんです。


一番印象に残ったシーンは、大会が終わったあと、アフリカ系の労働者(すでに「選手」ではない)と南アジア系の労働者が対立するところです。

この映画で密着していたGCC社のチームは多国籍であることが特徴の1つだったんですけど、サッカーが終われば、人種を越えたつながりも、会社の経営陣と肉体労働者との友好関係もなくなる。人種や国籍ごとに食堂に集まるし、会社は労働者を搾取し続けるでしょう。

あとは見てください。そういえばこの映画、白人リポーター以外に女性が出てこなかった。


最後に、1つネガティブな話をするとしたら、配信してるVimeoっていうサイトがクソ使いにくいですね。外出先でスマホで見てたんですけど、アプリダウンロードして見ようとしたら音出なかったし、ブラウザ版だと1回落とすたびに最初から再生になるし。もちろん一時ダウンロードも倍速再生(PCでchromeなら拡張でいけるかも)もあるわけがない。

いまPCで見直そうとしたんですけど、10秒スキップみたいな機能ないし、再生バーからサムネイルも出ないので、どこに何のシーンがあったかわからない。1回見た記憶で書いてます。


次はたぶん『ヴァトレニ-クロアチアの炎-』です。セルビア戦の前に書けや。

残念でした。


追記:以下のマガジンにまとめてます


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