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 母・・・

認知症専門 4度目の転院 

転院前の病院で
点滴を抜こうとする理由で、両手を拘束されていた母
体は冷たく、表情は硬かった。

声を発することは無く、
ましてや会話など出来るはずがない。

ただただ、手を口に入れては出しての繰り返し。


転院先の病院に着いた。
車のドアを開けた途端に、土砂降り・・・


そういえば、二人で中華街に行った時
同じ場所で何度か土砂降りにあったっけ

傘は買わず、しばらく店の軒先で
雨宿りをしたことを思い出した。


駐車場から病院の入口へと走った。
振り返ると小雨になっていた。


記憶の片隅にある元気な母の姿が、
面会に行こうとする私の足を止める。

心臓の奥がきゅっと痛む 途端に涙があふれた。


病室に入ると、母は真白なタオルを握っていた。
それを口に入れたり、出したりしている。
けれど、表情は穏やか 肌もほんのり温かい。


顔を近づけると、ニコッと笑った。
職員の方が「挨拶をすると笑ってくれるんです」と言う。
辛い状態だろうに、微笑むなんて・・・。


愚痴ばかり聞かされていた私は不思議に思った。

愚痴の半分を笑顔に変えていたら、
病気などせずに過ごせたかもしれない・・・。


子供のための番組が始まったようだ。
元気な人がテレビを見ているのだろう、
と思ったら、小さなラジカセで音楽を流していた。

カーテンは開け放している。
患者さんたちは、天井を見つめているだけ。
動けず、眼を見開いたままだった。



ベッドに横たわる母の写真です👇










「わたしのことが わかったかな?」
やけどをしている私の右手✋

母は、ぎゅっと握ってくれたけど、
壊れそうな母の手を握り返せなかった・・・














#多様性を考える

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