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こよみだより *大雪*


今日の写真は、佐賀県 有田町の「陶山神社」。
約ひと月前に撮影した風景ですので、現在は 木々の色あいが変化していることと思います。

 
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大雪

2021.12.7
二十四節気の「大雪(たいせつ)」入りです。

山々は雪に覆われ、北国では平野にも雪が降り積もるとされる頃。
いよいよ本格的な冬の到来です。



二十四節気をさらに3つに分けた七十二候しちじゅうにこうは、

[初候] 閉塞成冬 (そらさむく ふゆとなる)
[次候] 熊  蟄  穴 (くま あなにこもる)
[末候] 鱖  魚  群 (さけのうお むらがる)

と続きます。

七十二候は、気象の動きや動植物の変化から、季節を知らせてくれるもの。
冬空は、高く澄みわたる姿にこそ清々しい美しさがあるように思いがちですけれど、寒さに閉ざされ、薄墨色にふさがれる空にも この時季独特の美があるのだと 初候に気づかされます。


また、次候・末候のように 生き物が登場すると、その命の営みを 愛おしく感じるのは 私だけではないでしょう。

冬に備えて たくさんの栄養を体に蓄えた熊が、のっそのっそと穴にこもる様子。
産卵のため、群れをなして一心不乱に川を上る鮭の姿…。


熊は、春の訪れまで すやすやと眠りにつきますが、妊娠中の雌熊については、冬眠中に出産・授乳をするというから驚きです。
また鮭は、懸命に川を上り、役目を終えると力尽きてしまいますね。


生きること。
命をつなぐこと。


七十二候は、そんなことも教えてくれるようです。



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『陶山神社』 について 


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今日の写真は、私がこよなく愛する有田の地で、人々から「やきものの神様」として親しまれる陶山神社です。
先月、有田を訪れた際に、一人で境内を散策しました。


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撮影当日に感じていたよりも空が白く、また今回はいつもに増して上手に撮れなかったのですけれど…  
これまでにも何度か訪れている 大スキな場所ですので、今日はこちらの写真に決めました。

「大雪」とは無関係ですが、少しこの神社のおはなしを。


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陶山神社は、正しくは「すえやま神社」といいますが、愛称のように「とうざん神社」と音読みで呼ばれています。

応神おうじん天皇を主祭神に、鍋島直茂なべしま なおしげを祭神に、李参平り さんぺいを記念碑に祀る神社です。(※)

鍋島直茂は、佐賀藩 初代藩主。李参平は、その鍋島直茂が 朝鮮出兵から招いた陶工です。
有田焼は、今から400余年前に、李参平が有田の地に作陶技術を伝え、また磁器に適した陶石を発見したことから誕生しました。
李参平は有田焼の陶祖と呼ばれ、地元の人々から親しまれ、崇拝されています。

(※) 陶山神社
祭 神 品蛇和気命ほむだわけのみこと(応神天皇)
 相殿神 鍋島直茂命
 境内社 八天社  祭神 火魂命
     稲荷神社 祭神 宇気持
     李参平碑 祭神 李参平命

陶山神社HPより)


神社の歴史を少し覗いてみると、1658(万治元)年に、伊万里の「神原八幡宮」から 応神天皇の 分霊を迎えて「有田皿山宗廟そうびょう八幡宮」という名前で建立され、
明治4年に、この地区の総称「陶山」にちなんで 現在の「陶山神社」に改名されています。
鍋島直茂と 李参平が祀られたのは、大正時代のこと。李 参平を奉りたいという町民たちの声がもととなり、氏の功績を称えて祀られたそうです。


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参道から続く石段を上ると、白磁に淡いブルーで唐草文様が描かれた、美しい磁器製の鳥居が迎えてくれます。


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この鳥居は、有田のシンボル的存在になっています。


境内には、他にもたくさんの磁器製の灯篭や 狛犬などが点在して、まるで野外美術館のよう。


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有田焼の技術と伝統がたゆたう空気に、すっぽりと包まれます。


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これらの磁器は全て、地元の窯業に携わる人々から奉納されたもの。
いかにこの神社が、有田の人々から愛されてきたのかがわかります。


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またこの神社は、山々に囲まれ、

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そして窯元やそこに暮らす人々を見守るように、
有田の町を見渡す位置にあります。


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人々も神さまから愛されている。
そんなふうに思わせてくれる場所です。



そして ちょっとおもしろいのは、参道にJR九州 佐世保線の線路が走っていて、踏み切りがあることです。

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なんと、遮断機はありません。
少しキケンな気もしますけれど、遮断機が無いことが景観を守っているようにも思います。


鉄道は、人々の暮らしに必要。 有田焼の発展にも必要。
だから、許してくださいね、 遮断機はつけませんから。
ということでしょうか。(全くの想像ですけれど…。)


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今、大雪を迎えて
うっすらと雪化粧をした この神社の姿を、懐かしく思い起こしています。
4年ほど前に観た風景です。

あれからいくつもの季節が過ぎ、また冬がやってきました。
季節はめぐり、繰り返します。

でも、あの時の冬は、あの時だけのもの。
この冬もきっと、今だけのもの。

「今、ここ」にある かけがえのない季節に、眼差しを向けてゆきたいと思います。


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ありがとうございました

~ 二十四節気を一巡しました ~


私の『こよみだより』は、昨年の「冬至」のときに、始めてみようと小さく決心し、綴ってきたものです。

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(画像:国立天文台HPより)


今回で、目標としていた二十四節気 一巡をしましたので、ひとまずこれで、一区切りとしたいと思います。


たったの1年間。
しかも約15日に一度だけのことですから、まったく大したことはないのですけれど、怠け者の私にとっては ちょっとしたチャレンジでした。
昨年の冬至で弱々しくも開始宣言をした(?)のも、自分が怠けないようにするためです。
クオリティーはさておき、なんとか1年間、細々と続けられたことは 良かったと思っています。


また、スタイルも統一せず、気ままに綴ってきましたけれど、一応、私なりに目的、目標、マイルールを定めていました。 
それらに照らして、どのくらいできたのか・できなかったのかは、私にとって振り返る価値がありそうです。

とは言え、公開するのはちょっぴり気恥ずかしいので、そのうち密かにしてみたいと思います。


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ということで。

拙い『こよみだより』でしたけれど、、、
どなたかにとって、わずかでも季節を感じるきっかけとなってくれていたら幸いです。

これまで こよみだよりをお読みくださいました方、
スキや、コメント、マガジン登録や、マガジンフォローをくださいました方、
記事をシェアくださいました方、
個別に応援メッセージをくだいました方、
みなさまに、心から 感謝いたします。


どうもありがとうございました!





あっ...
こよみだよりは一区切りですが、note自体はぼちぼちと続けて参ります。

また、こよみだよりも、思い出したかのようにポッ!と投稿することがあるかもしれません。
今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。(*^^*)






どうぞ、あたたかくしてお過ごしください。


*


次の節気は、冬至です。







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