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アマガエルは色を変える ~カエル日記#6~

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私が初めてニホンアマガエルのつくしに会ったとき、彼女はきれいな黄緑色をしていた。

「カエルってこんな色だよね」と一般的に言われるような、カエルらしい色だった。

毎朝つくしがケージのどこにいるか確認するのは、私のモーニングルーティンであるが、ある朝ビックリすることが起きた。

つくしがいないのだ。

ケージを前から見ても、横から見ても、後ろから見ても、つくしは見当たらない。

「こんなことってある?」

頭の中は???でいっぱいになった。

ケージの扉は締まっているし、抜け出せそうな穴はどこにも開いていない。どこかに逃げてしまうはずはないのだけど・・・

失踪したと思われるつくしのケージを現場検証していた私が発見したのは───

葉っぱになりすましたつくしだった。

カタチも色もケージの中にある植物の葉っぱと同じで、その葉っぱの上にちょこんといたものだから、まったく気が付かなかったのだ。

「こんなところに隠れてたの?!」

思わず話しかけてしまった。

返ってくる言葉はもちろん、反応する様子もないままに、つくしは葉っぱのように丸くなってじっとしていた。

ネットで調べたところ、アマガエルは植物の葉の上に居るときは黄緑色をしているけれど、茶色い地面に居る時は暗い色に、コンクリートの上に居る時はコンクリートに似た灰色っぽい色になるらしく、正常なアマガエルであれば、黄緑色、茶色、灰色、白色に色を変えることができるのだ。

今ではその変化にも慣れたが、白っぽい葉っぱになりすました「白いつくし」を見たときは、本気でつくしの体調を心配した。まるで、顔色の悪い人の体調を心配するように。

そんなつくしは現在、迷彩柄をまとっている。

迷彩柄になることでまわりの環境に溶け込み、体を隠して捕食者から身を守っているようだが、実はその迷彩柄がウチのカーペットの柄にそっくりなため、ちょっと困っている。

私は時々つくしを家の中で散歩させているのだが、カーペットに同化して見失いそうになるからだ。

「家の中に捕食者はいないから、安心していいよ」

と言ってはいるが、当然つくしにそれがわかるはずもなく・・・つくしは今日も野性味溢れる迷彩服を着て、家の中を気ままに飛び回っている。

ずっと狭いケージの中ではかわいそうな気がして始めた散歩だけれど、つくしの表情を見ているとなんだか楽しそうなので週に一度は散歩させている。

「カエルってペットになるの?」

ある友人にそう訊かれたが、最近、散歩をしているつくしを見ていると、もはやつくしはペットではなく家族だと思い始めている私がいる。

「今はコワいいきものに追いかけられる心配なんてないんだから、迷彩服は着なくてもいいんだよ」

そんな風に、今日も私はつくしに語りかけてしまう。

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