中学生の頃5~突然の別れ~
初めての彼と初めてのsex
そりゃ猿にもなるよね(笑)
彼もお盛んな高校生だし
ホテル代がいるわけでもなく
彼が調達してくるゴムはあっという間に無くなる
でも必ず予備がある(笑)
準備がいい
彼曰く
『大切にしたいから。だから無ければしない。でもしたいから、無くなる前に買っとく(笑)』
優しい
彼も経験豊富なわけではなかったと思うけど、私のために一生懸命気持ちよくしてくれた
今考えれば高校生なのにすごい!の一言
その頃は彼としか経験ないからそんなものかと思ってたけど、今ならわかる
大人になっても独りよがりな人も多い中、すごいよ
少しずつ体も開発されつつ、もちろんそれだけじゃなく、普通にデートもしたり順調に恋人らしく幸せいっぱいだった
喧嘩もしたことないし、いつでもお互いがお互いを尊重して過ごせていた
ただ、この頃彼のことは大好きだったし、毎日のように会ってはいたけど、同級生にも好きな人はいた
にっくんとゆたくん
二人とも大好きだったし、彼とは違う魅力があった
彼には心が穏やかになる何かがあって、本当に癒された
同級生の二人は中学生らしく元気いっぱいでそもそも私を女として見ている感じはなかったけど、一緒にバスケしたり廊下を走り回って追いかけっこしたり、休み時間にたわいもない話で盛り上がったり、とにかく楽しかった
一緒に弾けてたってかんじ
3年生になるとにっくんには彼女が出来た
私とは正反対のおとなしい、The女子!
大人になってから風の便りにその子と結婚したと聞いて驚いたっけな
二階の窓から部活へ向かう二人を見かけて大声で
『大好き~』
って叫ぶわたし
完全に変態
二人もまたかって顔しながら手を振ってくれる
その関係も好きだった
本気で告白したりはしないけど本気で好きだった
向こうがどう受け取ってたかは知らないけど
そんな青春真っ只中だった私にある日突然の不幸がやってきた
いつもの待ち合わせの場所に彼が現れない
学校で何かあったのかな?
そう思いながら2時間くらい待った
暗くなってきて帰宅しなくてはならない時間になったので半泣きになりながら帰った
嫌われるようなことをしてしまったのかもしれない
昨日もたくさん好きって言ってくれていたのに
明日会えたらとりあえず謝ろう
好きだって伝えよう
そう思ってたのに
1週間毎日待ったけどダメだった
彼は来てくれない
土曜日部活が終わって勇気を振り絞って彼の家へ向かう
どんな顔で会えばいいのか、なんて話しかけたらいいのかわからない
それでも彼に会いたかった
自宅に行くといつもそのまま彼の部屋へ行っていたけど、何度かお母さんとは挨拶したりおやつをいただいたりしたことがあった
それでも突然訪ねていくのは勇気が必要だった
思い切ってインターホンを押す
『はい』
とだけ元気のない声が聞こえた
『あの、このかです。Kくんはご在宅でしょうか』
震える声で伝えるとインターホンは切れてバタバタと足音がして、お母さんが走って出てきた
いつもの優しい笑顔ではなく、疲れ切った顔
急に不安になった
『このかちゃん!!!』
そう言って抱きしめられた
え?
棒立ちになっていると、お母さんが泣きそうな笑顔で
『こっちにきて』
と、私の手を握って彼の部屋に連れて行ってくれた
具合でも悪いのかな・・・
不安になる
いつもの穏やかな居心地のいい彼の部屋に優しい笑顔の彼はいなかった
彼と抱き合ったあのベッドにお母さんと腰掛ける
私の手を握ったままお母さんがこういった
『あの子ね、先週バイクで事故にあったの。もういないのよ』
そう言いながら大粒の涙が落ちていた
何がおきたのか理解が出来なかった
彼がいないって何?
なんで?
だってずっと一緒にいてくれるって言ったじゃない
私は混乱して涙も出ない
きっと顔は凍り付いていたんだろう
『あの子ね、とっても嬉しそうにこのかちゃんの自慢話をしてたのよ。
とってもいい子なんだって。大切にしなさいよって言ってたの。
それなのに・・・・一人でいってしまったの。
ごめんなさいね。
急にこんな話して。
すぐに連絡したかったんだけど私には連絡先もわからなくて。
良かったらあの子の残したもの持って行ってね。
形見分け。』
そう言ってお母さんは私の頭を撫でて部屋から出て行った。
どのくらいの時間そこにいたか覚えていない
でもお母さんの話を何度も何度も思い出し、彼のいない部屋を眺めて少しずつ理解した
もう二度と彼に会うことは出来ないんだって
そしてベッドに突っ伏した
まだ彼の匂いが残っていた
この匂いにずっと包まれていたかった
もっと抱きしめてもらいたかった
ずっと一緒にいたかったよ
部屋のどこを見ても彼との思い出しか出てこない
一緒に見たテレビ、一緒に乗ったバイクの私専用のヘルメット
デートしたときの洋服
一緒に愛し合ったベッド
泣いて泣いて泣いて
でもあまり長居するわけにもいかないから
机の上にあった彼がいつも手首につけていた革のブレスレットを手に取り何度も振り返りながら部屋を出た
もう一度インターホンを押すとお母さんがおうちに入れてくれた
彼の祭壇に手を合わせる
実感湧かなかったけど遺影の中でほほ笑む彼を見たらまた涙があふれた
お母さんと抱き合って泣いた
私が握りしめたブレスレットを見て、
『それ事故に遭ったあの日もつけてたのよ。このかちゃんに持っててもらうのがいいね。でも、ちゃんと前に進んでね。これに縛られちゃだめよ』
そう言ってくれた
私はなんと答えたか覚えてない。
何度もお母さんに頭を撫でてもらってお礼を言って外に出たことだけは覚えてる
私の人生最悪の日
きっと一生忘れない
今まで付き合った人たちは別れてもまた会えるかもしれない
でも彼だけは絶対に二度と会えない
全力で愛して全力で愛された1年
恋愛依存になった原点はそこにあるのかもしれない
後悔しない恋愛をしたいと思うきっかけでもあったかもしれない
人は突然死ぬこともあるんだから
明日が必ず来るとは限らないから