どうやって生きてきたんだろう?

[1]どうしようもない人
 子どもの頃、働いている大人は皆、しっかりしていると思っていた。学生の頃、自立している大人は皆、ちゃんとしていると思っていた。
 社会に適合できるわけがないと思っていた自分は、社会人になりたくなかったのに、働かざる者食うべからず、仕方なく社会人になってそれなりに時間が経ってしまった。
 先日僕は、今年度入ってきた新卒の子と軽く雑談していた。「一年近く働いてきて分かってきたと思うんですけど、社会人って割とどうしようもない人が結構いますよね。」「そうですねぇ、みんな、もっとちゃんとしていると思ってました。」
 雑談を終わらせた後、なんだかその会話を反芻しながらパソコンと向かい合っていた。「どうしようもない人」って、どうやって生きてきたんだろう?
 絶対に自分だけは責任を取ろうとしない人、面倒事を誰かがやってくれるまでひたすらやり過ごす人、怒ることで自分の意見を押し通し通そうとする人、揚げ足をとってとにかく優位にだけ立とうとする人、いやいや、本当、人生楽しいのかな?責任ない人生なんて、生きていないのと同じなんじゃないの?なんて思いながら、どうしようもない人にメールを丁寧に返していた。

[2]どうやって生きてきたんだろう?
 悪びれない人がいる。悪びれない、というと言い過ぎかも知れないけれど、何度同じ過ちを犯しても、まるで初めてのように「あぁ、わかりましたぁ」と言われると、心の中で「(もう5回目だけどね)」とミスの数を数えている意地悪な自分が少しだけ顔を出してしまう。
 「無能な働き者は銃殺せよ」という言葉がある。自己判断で相談せずに積極的に物事を進め大爆発するくせに、自己評価が何故か高いので反省せず、効率が悪く、人間関係をうまく保つことができず、壁にぶち当たったら全てを投げ出す。社会人になりたての時は「まさかぁ!そんな人滅多にいるわけないよ!」と思っていたけれど、現実は怖いくらいに案外存在するし、関わらないといけない場面がそれなりにある。
 その度に「この人は一体、今までどうやって生きてきたんだろう?」と毎回思う。沢山の人に配慮され、おんぶに抱っこされて生活資金を稼いでいる気になっている人を眺めては、まるで宇宙人に見えてしまったりする。
 けれど、この人も毎日生きていて、家族がいて、どこかのコミュニティに属し、趣味があって、なにか考えて生きている。僕にはそれが凄く不思議な現象に映るし、何を思って日々過ごしているか興味があったりする。罪悪感はないのだろうか、なんて興味はあるものの共感はできないので、相手にとっては僕の方が宇宙人かもしれない。沢山の人が関わる社会で、今日もまた、宇宙人に囲まれてため息をつきながら過ごしている。

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?