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少子高齢化と移民

少子高齢社会と移民 ―― 問題は移民がいなくなることだ
Foreign Affairs 2019 No.12
Charles Kenny

「欧米では移民を拒絶するポピュリスト政治が人気だが、少子高齢化が進む中でむしろ移民が必要で、移民を魅了するために競い合う必要がある」という内容。

• 高齢化と低成長
G7諸国の一人当たり GDP成長率は、退職者人口割合10%では+4%だが、10-20%では+2%、20%超では+0.4%にまで落ち込む。政府は、出生率引上げ政策を執るが、人口置換水準以上への押上げは困難で結局移民が成長を支える構図。

• 移民のインセンティブ低下
一人当たりGDP7500ドルを超えると、自国の豊かさから移民を選択するインセンティブが低下する。この水準を超える人口はすでに世界の 57%まで増加。現在の成長ペースが続けば2050年までにその移民を選択する水準の人口は9%まで減少する見込み。

• 移民なしではまわらない先進国
「移民の受け入れ」と「外国生まれ女性の出産」の2条件がなければ、アメリカの人口は向こう20年で約600万人減少する。しかし、この条件が満たされれば約9800万人増加する。

• 移民労働者は重要な戦力
低スキル部門ではあきらか(ノースカロライナ州の農家の季節雇用6500人のうちアメリカ人は 163人しかいない)。ハイスキル部門でも、シリコンバレー労働者の71%、米科学者の38%、医師の27%を占める。

• 課題は先進国の高齢者
若者は少子高齢化のコストへの対処の必要性から移民に肯定的(イギリスでは 62%vs.29%、アメリカでも59%vs.34%)。しかし、高齢者が反対する傾向。

労働者の減少が自国の低成長を招くことで高齢者の痛みとなるまでこの傾向が続いてしまいそう。ただ、高齢者にも将来世代に目を向けさせる努力をしなくてはならない。

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