私が東京高裁に提出した陳述書(4)ー私のツイート

私がAV事業者から訴えられた名誉棄損訴訟(控訴審)で、私が提出した陳述書を順次公開します。今回は問題にされたツイートについてです。利害関係者、被害者の方のプライバシー保護のために一部匿名化をしています。

前号はこちらです。


第4  本件ツイートについて

1  E月K日、私は自宅でテレビを見ていたところ、原告らの逮捕の報道が放映されていました。

   その中で一瞬、原告がプライバシーを守るためか、顔を隠そうとしている様子が映されていました。


 これを見て私は驚くと同時に、怒りを感じました。


 私はこれまで、前述した■さんのように、無修正のAVへの出演をさせられ、その配信が続くことに苦しんでいる女性たちの相談に乗ってきました。


 女性器をむき出しのまま全世界に晒されて、後々まで女性たちは苦しみます。同時に、女性たち自身が公然わいせつ罪で摘発されるリスクも負わされるのです。

 無修正AVについては、被害の深刻さと被害回復の難しさを乙1の調査報告書25頁でも強調していましたが、

 私自身、2017年1月15日にYahoo!ニュース個人で改めて、当時の摘発事例に関連付けて被害の深刻さを訴えるなど(乙10-6) 、被害根絶を求めて微力を尽くしておりました。


 女性の顔と裸、モザイクをかけないむき出しの性器や性行為を露出させてそれを無修正AVとして制作し、販売・配信する、

 女性にはこのような過酷なプライバシーの露出を迫る一方で、

 無修正AVの制作に携わったこの人たちは

 自分たちのプライバシーは大切に守りたいと考え、

 顔すら隠すのだな、と思ったのです。


 加えて、逮捕容疑として報じられた、

「いくら金がかかっていると思っているのか」

 と違約金をちらつかせて脅すやり方が

典型的なAV出演強要の手口であること、

2人でも5人でも違わない

という発言から、

 女性が5人の男性と同時に性交をさせられたことが容易に想像でき、警察に訴えた被害者の心情に思いを馳せました。

 そして、これまで私が被害相談に乗ってきた女性たちの気持ちを思ったのです。


最初はタレントになれると夢を語っていたのに

急に裏切られたこと、

騙してAVの制作現場に送り込まれたこと、

法外な違約金を告げられて脅され、逃げ道をふさがれたこと、

一生忘れない辛い撮影での監督の冷酷な態度。


彼女たち被害者は思い出すたびに苦しんでいます。

女性うつむき


彼女たちは、

加害者であるAV業界関係者が一切表に出ないで、

彼女たちを地獄につきおとし、

彼女たちのAVで巨額の富を得て、

また新たな女性を食い物にし、

何の責任も問われないでぬくぬくと生きていることが許せない、

と私に涙ながらに何度も訴えていました。

 きっとこれらの加害者たちも、

逮捕されるようなことがあっても顔を隠すのだろう、と思うと

強い怒りを感じました。

2  こうした思いから、私が投稿したのが本件のツイートでした。


 「逮捕されて■■■■社長が顔を必死に隠しているシーンを見て思ったこと」

に続く

「嫌がる女性たちに出演強要し、顔や体、最も知られたくない屈辱的なことを晒させて拡散しズタズタに傷つけて」
「自分たちは陰に隠れて巨額の利益を得る。そんな鬼畜のような人たちはみんな顔をさらして責任を取ってほしい」


と書いた文章は、明らかに一般論です。

 なぜなら、

 「鬼畜のような人たちはみんな」と書いた通り、

「人たち」は、単数形ではなく複数形ですし、

「みんな」というのはM氏とY氏らD関係者でもなく、

AV出演強要に関わっている加害者全員へのメッセージとして、

私は書いたつもりです。

 私の意図としては、「みんな」の中には、既に紹介した(略)にAV強要した加害者たちも「みんな」含まれています。


 「嫌がる女性たちに出演強要し、顔や体、最も知られたくない屈辱的なことを晒させて拡散しズタズタに傷つけて」

 は、出演強要という人権侵害と被害の実態を、被害者の側の心情から詳しく説明したものです。
 こうした人権侵害の加害者には全員、隠れていないで責任を取ってほしいと言いたかったのです。
 原告の報道から想起されたものではあるものの、ツイートの第二文、第三文は原告を名指ししたものではありません。

 原告は逮捕段階であるため、弁護士として無罪推定原則に配慮して発言すべきであり、断定的な表現は避けるべきだと思いました。

 そこで原告を名指ししているとの誤解を避けるために、

私はあえて報道記事のリンクも張らず、逮捕事実も書かず、

まして名前も明示せず、「逮捕されて◾️◾️◾️◾️社長が」とのみ書き、

「鬼畜のような人たちはみんな」と複数形にして、

原告を攻撃したと受け取られないように努めたのです。

 原告がAV強要をしたとも断定していません。

 なお、私は今も、

本人の意に反して女性にAV出演を強いる人たちは許しがたく、

みんな責任を取るべきだと考えていますし、

司法と警察には被害に相応する処罰を実現してほしいと、

声を大にして言いたいと思っています。

                                                                                                       (続く)

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