中学生のぼくとヘッド博士の世界塔
来年リリース30周年をむかえる、フリッパーズ・ギターの3枚目にしてラストアルバムの『ヘッド博士の世界塔』。
アルバム3枚だけ残して解散したパーフリさんの、このアルバムだけサブスク配信、リマスター盤のリリースがされていない。
理由はファンはならみんな知ってるけど、無許可サンプリングが使われまくっていて、その権利問題が云々でリリースができないのである。
リリース当時の思い出
当時中学生だった自分は、1990年にテレビドラマの主題歌になってヒットした「恋とマシンガン」だけを聴いてフリッパーズ・ギターのファンになり、その次の年、
「フリッパーズ・ギターのニューアルバムが出るぞー!」
と楽しみにしていた。
そしてリリースされたのが、この『ヘッド博士の世界塔』である。
当時はもちろんYouTubeも無いし、近所のCD屋には試聴ブースが無く、聴きたいものは買うか借りるかしかなかった。
さてCD屋に行き、ワクワクしつつ試聴もせずに買って聴いてみて
「…?」
ってなるよねそりゃあ。
それまで日本のヒット曲しか聴いてこなかった中学生の自分は、『ヘッド博士』に詰められた初めて聴くジャンルの音楽たちを目の当たりにして、
「…これって面白い…のか?」
という、全くつまらなわけでもないし、刺さりもしないし、でも求めていた「恋とマシンガン」には程遠い曲ばかりで困惑した。
初めて聴いた場所も問題で、一緒にCDを買いに行った帰りにその友達の家で聴いたのさ。
めちゃくちゃ変な空気になったわ…。
ちなみに友達はチャゲアスの「SAY YES」を買っていた。
世渡り上手な人間はきっとフリッパーズよりもチャゲアスを選ぶだろう。
そこでひとつの差がついた。
3千円も出して買ったから聴くしかないし、でもずっと聴き続けていたら楽しくなってきたっていう、特にオチもない話なんですけどね😊。
むしろいまだに、思い出したら聴くくらい愛聴盤になっているし、たぶんこのアルバムがきっかけでヒットチャートばかり聴くのを少し避けたり、スッと入ってこない何か引っかかる部分を欲したりとか、いろんなジャンルの音楽を聴きたいと思い始めたんじゃないかな。
ただ、そのときにはこのアルバムが海外のマンチェスターサウンドや、シューゲイザーブームを元に作られたことを知らず、ましてやサンプリングという言葉も知らなかったので、ただただ楽しく聴いていた。
今となればそれが一番良い音楽の聴き方なのかもしれないね、ピュアな感じで。
のちのち、元ネタを調べていって、「あぁこれがあの部分のサンプルネタか~、そのまんまだなーワラ」とか思うのが楽しいよね。
インターネットって素晴らしいなー。
おかげでストーンローゼズもプライマル・スクリームもマイブラも知ったし、テクノを聴くようになってからはニューオーダーや808Stateも大好きになった。
というわけで自分にとって『ヘッド博士の世界塔』は、当時のUKブームが詰め込まれた大事な一枚になりました。
できればリマスター盤を出してほしいけどなあ…サンプリングの使用料が膨大にかかると思うんだよな、だから無理かもね~。
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