第179怪~西成クラブウォーターに見学してきました
先日、訃報が届いた。
アングラ演劇四天王の一人、状況劇場、唐組にて巧みな会話術を以て数々の作品を作り上げてきた唐十郎氏が、ライバル同士であった寺山修司が眠る5月の空に旅立ったのだ。過去に紡いできた二人の関係性がもたらした因果なのか、奇しくも二人とも5月4日が命日となったのである。こんなト書き、この二人にしか書けないよ。
このnoteでも何回か書いたり、SNSで度々書いてあるかもしれないが、僕が寺山修司と出会ったのは中学生の頃。友人のお兄さんに教えてもらったのが初手だった。
で、時が経ち、1997年に京都の精華大学にて目劇した、元・天井桟敷の昭和精吾氏の公演が二回目の衝撃であった。こんな公演をやりたい!と思った僕は、それまでやっていたノイズバンドから、今のストロベリーソングオーケストラの演劇的要素が強い音楽をやる運びとなった事は、共犯者諸君なら誰もが知っている事であろう(ごめん!そんな事無い!)
その昭和精吾氏との初共演が2005年5月4日。
寺山修司の命日に、千日前クラブウォーターで2マン公演を行った。
スクリーンに寺山修司の眠る高尾山の墓標を投影しながら、観客は皆、焼香をあげた。昭和氏の素敵な演出だった。僕も白塗りメイクのまま手を合わせた。大好きな箱で、大好きな寺山修司のイベントをさせてもらった。なんて日だ!
この千日前クラブウォーターという箱は、ストロベリーソングオーケストラが駆け出しの頃、難波ベアーズと同じく、何遍とライヴブッキングに出させて貰ったし、色んなバンドのライヴも観にいったし、そのバンドの企画なんかに触発され、自主企画なんかも幾度とさせていただいた。初めて鳥肌実さんに企画で出演していただいたのもこの千日前クラブウォーターである。
先日、某バンドのモッシュ・ダイヴ問題でSNSが炎上していたが、当時のライヴハウスなんてものは、そりゃもうバチバチ危険なものだった。
僕が良く言ってる難波ベアーズも特異的バチバチ危険な毒電波が渦巻くライヴハウスだったが、この千日前クラブウォーターはバーカウンターは勿論の事、客席、ステージはおろか、楽屋迄もが酒浸しになるという、バチバチ危険な、臭それこそ深夜の西成を彷彿させる程のアルコール臭が漂う箱だった。
というか、ライヴハウスって、お酒呑んで楽しむとこっていうイメージが強かったから、最近のライヴハウスで、お酒があまり出ない的な話を聞くとホンマかいな?って思う事があるんだけれど、まあ、今ドリンク代も物価の高騰事情もあり、殆どの箱のドリンク代が一律600円となっている…水しか飲まない人に至っては、水1本に600円も払うんかい!と、川越シェフばりに怒りたくなる気持ちも解らないではないが、まあライヴハウスはドリンクを売る事によって成り立っておるからなあ…と、ここで疑問が一つ。なんでベアーズはドリンク代取らんのんやろ?ここで、ドリンクで成り立ってる説が崩壊するのはさておき…
まあ、僕等世代はお酒を呑むのが好きな人が多く感じる。今みたいに色んなコンテンツが無いから、お酒というコンテンツに流れる人が多かった時代だ。それは仕方があるまい。若い子達は故にあまりお酒を呑んでいるイメージが無い。それは僕も長年BARをやっているから解るが、若い子の半数はBARなのにお酒を呑まず、ソフトドリンクで楽しんでいる。凄い時代になったものだ。僕等が若い頃はBARはお酒を呑むとこ、と敷居が高い場所だった気がする。コレを読んでいる皆さん、特に僕等世代の皆さんは如何デスか?
そんな若者に告ぐ。
若者よ。ライヴハウスでお酒を呑みながらハッチャけるんも楽しいもんやぞ。まあ、色々失うモノも沢山あるがな。お金でしょ、築き上げてきた説得力や、信頼、尊厳でしょ、髪の毛でしょ(酒クズバンドメンの悲しい事情)。まあ、そんなこんなで、とにかく千日前クラブウォーターの床はどこもかしこも酒浸しであった。
しかし、千日前クラブウォーターはちゃんとしたライヴハウスだ。
酒浸しだけでは無い。ここまでの字面だけじゃ、只の立ち飲み大好きオジサンの酒場放浪記ならぬ墓場放浪記である。そう、ちゃんと皆さん音楽もしっかりやっておる(当たり前ダ)
僕の大好きなライターさんでもあり、個人でアンダーグラウンドシーンを紹介する雑誌を作ったり、時にはゴシックロックのギタリストでもあって(苺楽團と悪魔猫というスプリットアルバムのサタニャンコのギタリスト)、今は色んな山を登ってたりする登山家なんでしょうか、皆川さんが主催していたイベントを観に行った時なんかも衝撃だった。
10組程のスカム、ノイズ、ハードコア等のバンドが出演するオールナイトイベント。東京から遠征で来られていたボーカルとドラム2人組の肉奴隷というグラインドコアのバンドなんかは、自分たちの出番の前のバンドの演奏が終わったあと、転換でキチンとセッティングし、音出しも確認して、一旦袖に引っ込んだあと、出囃子で登場したかと思えばボーカルのヒトが「東京から来た肉奴隷です」と自己紹介したと同時に、ドラマーのワン・ツー・スリー・フォーと高速カウントが刹那入ったかと思うと、ヴォォォォォォォォ!とズタズタズタズタと2秒程の激しいブラストビートに併せて叫んだあと、
「ありがとう」
と言ってステージを去ったのだ。
諸君、理解出来るかね。
東京から何時間もかけて、大阪のオールナイトイベントに出演してヴォォォォォォォォ!ズタズタズタと2秒だけ演奏して「ありがとう」とステージから去る潔いライヴパフォーマンスを。
当時だから、まだ新東名高速なんかも無いだろうし、東京からの道中は浜名湖サービスエリアなんかで、うどんを食べたりして、もうちょいで大阪着くけど、俺、昨日徹夜でアルバイトしててさ風呂にも入りたいしなあ、って多賀サービスエリアで風呂に入ったかもしれん。当時なんかはネカフェなんか勿論無かった。ネスカフェはあったけれど。
そんな遠征という過酷な労力も惜しまずに繰り出されたクリティカルヒットの2秒。そりゃもう客席のオーディエンスがバチバチに盛り上がったのは言う迄も無い。それがライヴの力なのか、酒の力なのかは解りかねるが…
僕には到底こんな事を出来る器量は無い。せめて30分はライヴがしたい。そのうち15分は喋りたい!!
そんな千日前クラブウォーターが十三に移転し、そしてまた閉店してしまい、今年の1月に電撃復活!もはや、ライヴハウス界の大仁田厚の名を欲しいまま、西成の地に三度、新たな伝説を刻むべく姿を現した…
それが西成クラブウォーターだ!
(毎度の如く前置きが長い!)
で、この前、この度8月に行う単毒公演「夜雨に帰ル、AmE-1:50」の現調に行って参りまして、ステージのアクティングエリアの確認や、楽屋の確認等、諸々行ってきました。
西成!という不穏な奇異ワードで敬遠するピッチャーが殆どだろうかと思いますが、まあ、なんて綺麗な箱なんでしょう!
あんだけ、酒浸りや、ノイズだハードコアだ言ってはきましたが、そんな感じを1mmも感じさせない綺麗な箱に生まれ変わっておりました。
なので、皆さん安心してお越しくださいよ。
そして、肝心のドリンク代!(肝心なんかな)
俺達の生ビールが、、、
500円でした!!!!!(良かった)
なので10杯呑んでも5000円デスって。
やす~い、と夢グループの、ほしなゆりさんも絶賛して欲しい、ストロベリーソングオーケストラの単毒公演はコチラ!
今怪のコンセプトは、ズバリ、当時のストロベリーソングオーケストラが行っていた曲や演出を中心に選抜した、かなりガチガチなコンセプトありき公演となっております…が、しかーし!昨今「昔に比べたらぬるくなったよね」とか「あの頃が良かった」なんて言われがちのアンダーグラウンドバンド勢にはアルアルな都市伝説を払拭する、目劇者全員の眉間にドロップキック!的な、エックスジャポンも驚愕する程の、魔さに、破壊の夜、無謀な夜、創造の夜、ならぬ、
早く終わって新世界で呑んで帰って貰う夜
にしてみせますので、皆さん、8月4日の日曜日の夜は空けておいてください!
チケットを既に購入していただいている皆さんは本当ご期待くださいよ!!
絶賛、ちょこザップに通いつつ、この日に向けて肉体改造中の僕が、肉奴隷ばりに吠え散らかしますので!
まだチケットを購入していない方は僕のBARアニアニでお怪求めいただくか、ストロベリーソングオーケストラの通販サイトでお怪求めください。
そんな単毒公演を控えた当一座。
夏までに姿を見せるのが、他に2つあります。
ともにチケット発売しております。
松山座主催『松山魂』はWEBフライヤー上にあるチケット発売詳細をご覧ください。『松山魂』では、物販ブースに演者全員登場致します故、約1年振りに物販ブースにて『念写』も販売致します。この日は俗に言う、囲み念写や推しとの念写も行いますよ。
瀉葬文幻庫主催『怨塊禁書』はパスマーケット、そしてアニアニでも取り扱っております。
瀉葬文幻庫、この日は生バンドセット。
詳細はまたnoteでオシラセして逝きたいと思います。演目も整い、あとは僕の海馬にUSBメモリをブっ刺していくのみ!
ここからは毒者限定記事デス。
前回の特典がうまくUP出来てなかったようなので、今回は2つUPしていきたいと思います。
前回UP出来ていなかった2016年のアメ村DROPでのライヴと、同じく2016年、名古屋栄RADでのライヴ影像2本立てでお届けします。画質が悪いのは当時の影像なのでご愛敬。。この栄RADなんかは、共演がカリガリの青さんのバンド、LAB.THE BASEMENTと一緒だったり、DROPはSLUTBANKSと一緒だったりしました。
犬拐雄叫や灯イェー、叶畫レ夢が入団したてのライヴなので、初々しさもありますね。勿論僕も初々し…
お憑かれ様デス!やってて良かったnote! アナタのお気持ち(サポート)宜しくお願いします! いただいたお気持ちは今後の執筆活動・創作活動にドバっと注いで逝きます!!褒めたら伸びる子なんデス(当社比)