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#5 逃げて逃げたその先で【遙か山なみの隠れ家へ】

こんにちは、いちこです。
ここでは、読んだ本の紹介をしていきたいと思います。
1記事につき1冊または1シリーズ、ご紹介していきます。
こんな感想もあるんだな、と思っていただけたらと思います。
本に興味を持ったり、選ぶ時の参考になれば幸いです。

今回の主人公は、全てを捨てて逃げている女性です。
「逃げる」という選択を、私は悪いとは思いません。
その場にとどまる勇気も素晴らしいですが、己の限界を超えてまで我慢することはないと思うのです。
限界を見誤ると、取り返しのつかないことになります。
自分を守れるのは、自分だけですから(戒め)。


【今日の本】

本日ご紹介するのは、
ロビン・カー 著
「遙か山なみの隠れ家へ」です。

#4 でご紹介した「ヴァージンリバー」シリーズの2作目となります。
まだネットフリックスのドラマは見ていません。まずは契約からだ。


【内容】

季節はずれの冷たい雨が降る嵐の晩、ヴァージンリバーに一軒だけしかないバーに、幼い子供を連れたひとりの若い女性がやってきた。道に迷ったというその女性ペイジの顔には暴行を受けた跡があり、問題を抱えた様子だったため、料理人のプリーチャーはバーの二階の空いている部屋に泊まるよう勧めた。ペイジは夫から度重なる暴力を受け、身を隠すため逃れる途中だったのだ。大男で強面の外見と裏腹に女性にうぶなプリーチャーのやさしさに心を開いていくが、異常な夫が執拗に追ってきて…

二見書房ホームページより


【感想、雑談】

ここからは、私の個人的な感想や雑談です。

前作のヒーローであるジャックが経営するバーで料理人をしているプリーチャー(ジョン)とDVから逃げてきたペイジの物語てす。

前作では存在感を残しつつも、無口すぎてほとんど喋らなかったプリーチャーですが、今作では感情豊かな一面を見せてくれます。
しょっぱなから、ペイジを怖がらせまいと必死に説得する姿にびっくり。こんなに話せる人でした?アナタ。
この時点で、「これはもう一目惚れですねぇ」状態。
無骨な印象のプリーチャーが、ペイジとその息子マイクの世話を甲斐甲斐しく焼くのは微笑ましい。
ぬいぐるみを直したり、お菓子を作ったり、読み聞かせしたり。もはやパパ。

そんな彼が、これまで女性と縁のなかったというのは、この手の作品ではとても珍しく感じます。(たいてい女慣れしていたりバツイチだったりプレイボーイだったり)
フィジカル鬼強いイケメンマッチョがウブというギャップよ…。

前作のメルとジャックもいちゃいちゃしながら登場して、1作目のその後の姿が見られます。気になるカップルは他にもいるので、次作にも期待。

傷ついた魂を癒してくれるサンクチュアリー

訳者あとがきより

まさに。
ヴァージンリバーという町のあたたかな雰囲気が良いです。
そんな居場所を見つけた登場人物たちを見ていると、自分と故郷のことを考えずにはいられませんでした。

私の育った場所は、のどかで自然が多い普通の田舎です。
なので、ヴァージンリバーの雰囲気は想像できます。自然豊かな風景、野生の動植物との共存、緊急時の協力関係…。
皆が皆を心配し合う感じとか、どこの家に誰が住んでいて何をしているかを皆が共有している感じとか。
悪く言えば、人間関係が閉鎖的で何をするにもお互い観察しあっています。田舎は、多かれ少なかれそういうものでしょう。

私は故郷の空気に子供の頃から馴染めず、息苦しく箱に詰め込まれているような閉塞感の中で生きていました。
別に田舎が全部ダメなのではなく、その町の雰囲気やコミュニティそのものに馴染めなかったのかなと思います。
ここでは本来の私でいられないと思い、外に出ました。
(家族と不仲なわけではありません。笑)
住み続けたら、子供の頃に刷り込まれた息苦しさや所在なさが、うっすらと私を疲弊させていくだろうと思ったからです。
よくある話かも知れません。
故郷が嫌いなわけではないのでよく帰省しますが、外の人間として行くくらいが私には丁度良い場所でした。

全てはそのコミュニティとの相性だと思います。
だからこそ、ヴァージンリバーにたどり着いたメルやペイジが、携帯も繋がらない山の中の不便で狭い町に馴染んでいく姿はとても眩しく感じます。そこでずっと暮らす住民たちも。
田舎か都会かは関係なくて、選んだとか逃げてきたとかの経緯も関係ない。「ここが私の居場所だ」と思えるような場所を見つけられたら、幸せですね。

【おわりに】

日本では現状、今作までしか読むことができませんが、まだまだ物語は続きそうなので次作が出てくれることを切に願っています。

興味が湧いたら、読んでみてください。
では、今日はこの辺で。
ありがとうございました。

いちこ


【参考】

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