#6 あなたの絶望に寄り添うアンソロジー【絶望書店】
こんにちは、いちこです。
ここでは、読んだ本の紹介をしていきたいと思います。
1記事につき1冊または1シリーズ、ご紹介していきます。
こんな感想もあるんだな、と思っていただけたらと思います。
本に興味を持ったり、選ぶ時の参考になれば幸いです。
「絶望」って、選択肢のなさや諦めの中で希望が失われることだと思っています。
私にも、絶望した経験があります。ある日、当たり前に過ごしていた日々が反転し、失われていくのは「絶望」と言う以外のなにものでもなかった。
そして、生きていれば多かれ少なかれ、誰にでもあるのではないでしょうか。
そんな時に心を慰めてくれるのは案外、何の関係もない見ず知らずの人の言葉だったりします。
【今日の本】
本日ご紹介するのは、
頭木弘樹(かしらぎひろき)編、
「絶望書店 夢をあきらめた9人が出会った物語」です。
編者は「絶望図書館」などのアンソロジーもいくつかあり、「絶望」への向き合い方のスペシャリストだと思います。
【内容】
【感想、雑談】
ここからは、私の個人的な感想や雑談です。
読書は大抵、「楽しみ」や「娯楽」としての側面がメインになると思います。
でも、こういう「絶望」とか「苦しみ」の物語は、現実の絶望に向き合わないといけない時に励ましてくれます。
何よりも珍しいのは、短編小説のアンソロジーではなく、エッセイ、ノンフィクション、漫画、歌…なんでもありの構成。
大きな絶望を知っている人は、手紙でも歌詞でも、どんな文章の中からでも力になってくれる言葉を見つけられるのでしょう。
こちらは、「生きるということ」というアンソロジーの序文。斬新です。
でも、その短い文章の中に「断念」についての考え方や生き方についての言葉が詰まっていました。
悲しくて、出来ることはたかが知れているけれど、それでも生きていかなければならない。みんな、自分で気持ちの置きどころを見つけて生きていくのだと思います。
別れた男女の会話が、静かに進みます。病気をして一時的に声を出せない生活を送った男性は、(女性にとっては)意外な一面を語り始めます。
人は、元気な時とそうでない時、全く違った顔を見せるのかなと思いながら読みました。けれど、きっとそれは元気な時には出て来ないだけで、その人のベースにあるものなのかも知れません。
私は、本当に苦しいとき、耳ざわりの良い言葉にはうんざりしました。
前向きに、とか。
いつか明るい未来がくる、とか。
越えられない試練はないのだ、とか。
ああ、うるさい。と思いました。
今は息もできないくらいの苦しみを、どうにかするエネルギーも気力もないんだから、と。
絶望に浸ることが必要な時間でした。
そういうときは、汚くても本音の言葉を聞きたいと思うのです。
【おわりに】
編者の頭木弘樹さんは、若い頃に難病を患っています。入院中に読んだフランツ・カフカに感銘を受けて、カフカについての本を出版するまでにいたります。
カフカと言えば「変身」くらいしか知らなかった私ですが、彼の本ではカフカの生涯に触れ、手紙や日記からどのように生きていたのかの片鱗が伺えます。そちらもとても面白く、興味深いのでいずれご紹介したいです。
興味が湧いたら、読んでみてください。
では、今日はこの辺で。
ありがとうございました。
いちこ
【参考】
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